放置でクルマが錆びる? 「塩害」に遭いやすい地域は? 海沿いでサビやすくなる本当の理由とは
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2021/09/05 18:33
放置でクルマが錆びる? 「塩害」に遭いやすい地域は? 海沿いでサビやすくなる本当の理由とは
くるまのニュース
2021/09/05 14:10
海沿いに出かけた際に、「すぐに洗車しないとサビる」ということを聞きますが、どのような仕組みでクルマはサビるのでしょうか。
海の近くはクルマがサビつくって本当? クルマの劣化が早まる?
クルマには、金属製のパーツが多く使われており、時間の経過とともにサビなどにより劣化してきます。
では、海が近いことによってクルマの劣化が早まることはあるのでしょうか。
2013年に福井大学が報告した論文「沖縄県における潮被害(塩害)の現状とその対策に基づく新ビジネス創出の可能性検討」では、潮風による被害(塩害)を強く受ける沖縄県を中心として、その被害の大きさやクルマがサビつくメカニズムを発表しています。
この論文によると、サビの発生はクルマに潮が付着することで起きるのではなく、付着した潮が直射日光を受けて蒸発する際に、クルマの鉄部分がサビついてくるといいます。
とくに、沖縄県では、同じように海に面した福井県などと比較すると平均風速が約2倍と海水が飛散しやすいうえに、日光の照射も強く、結果として塩害を受けやすい地域となっているようです。
また、電機メーカーである三菱電機は、国土交通省が公表する「飛来塩分量全国調査」をもとに「各地域における塩害地域の目安」を公開。
この調査資料では、沖縄県全域に加え、瀬戸内海沿岸から1km以内、東北・関東・北陸地域では太平洋沿岸から2km以内などの地域が塩害を受けやすい「塩害地域」としています。
海の近い地域に居住している場合について、ある自動車販売店の整備士の男性は以下のように話します。
「海が近い地域だと、クルマの金属パーツはサビつきやすいと考えられます。
パーツ類のサビつきについて悩む声も多く、パーツが傷んで新品に交換した事例もあります」
※ ※ ※
このように、日常的に塩害の影響を受けることは、クルマの劣化を進める一因となり、サビが重症化することで、パーツに穴が開いてしまったり、ナット類も固着したりすることがあるようです。
塩害地域に住んでいる場合はどう対策する?
塩害地域に居住しているからといって、かならずしも重度の塩害の影響を受けるわけではありません。
前述の論文からわかるように、海が近い地域が無条件に塩害の影響を受けるのではなく、金属部分に塩分が付着した状態で強い日光にさらされるといった一定の条件が重なることで、塩害の影響を受けるのだと考えられます。
よって、塩害地域に該当する地域に居住している場合でも、洗車をこまめにしたり、日光に当たらないようにガレージに保管したりといった配慮をすることで、クルマのサビを比較的抑えることは可能であるといえます。
では、具体的なサビの防止方法としては、どのようなものが考えられるでしょうか。
洗車をおこなう際は、ボディ表面だけでなく、足回りや下回りを重点的に洗い流し、マフラー類などのむき出しになっているパーツ類のサビを防止することが重要でしょう。
また、ボディカバーを活用したり、「シャシブラック」や「アンダーコート」といった防サビ剤を施工したりするのも効果的です。
ボディカバーは、そもそもの潮風からクルマを守ることができ、直射日光を防ぐこともできるため、クルマのボディへの塩害にとっては有効的なアイテムであるといえるでしょう。
一方で、シャシブラックは、黒色のスプレー塗料で、クルマのボディではなく、足回りなどに施行することが目的とされた塗装剤です。
シャシブラックには油性と水性があり、油性のほうが乾きが早く、耐久性にも優れていますが、そのぶん一度施工すると落ちにくいため注意が必要です。
水性は油性に比べて耐久性は劣りますが、塗装ムラが出にくく、色艶が綺麗に仕上がるため、初心者でも比較的施工しやすくなっています。
また、アンダーコートも塗装剤のひとつですが、シャシブラックに比べると耐久性が高く、サビだけでなく飛び石などの細かいキズを防ぐこともできるようです。
こうしたサビを防止する対策方法について、前出の整備士の男性は以下のように話します。
「サビを防止する方法としては、やはりシャシブラックやアンダーコートの施工が代表的です。
自動車整備工場や販売店では、クルマだけ持ち込んでいただけたらリフトアップした状態で施工できるため、ムラなく綺麗に仕上がります」
※ ※ ※
塩害の影響を受けやすいのは海が近い地域だけではないといいます。
実は、豪雪地帯で冬に道路へ散布される、融雪剤や凍結防止剤にも塩分が含まれているため、そうした地域も塩害の影響を受けやすくなっています。
よって、降雪量が多い地域でも、冬にはいる前にシャシブラックやアンダーコートを施工し、サビ防止対策をおこなうのが良いかもしれません。