宮沢賢治と気象学
1:雨ニモマケズ
「・・・ヒドリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ・・・」
東北地方の太平洋沿岸には夏になると、オホーツク海高気圧から冷たく湿った大気が流入します。この北東気流は奥羽山脈を超えられず太平洋側に滞留します。この大気が、あまり高くない北上山地の背を越えるとき灰色に見えるので「やませ」と呼んでいます。宮沢賢治の時代には稲が今ほど品種改良されてないので冷害が起き農作物に多大な被害をもたらしました。
「やませ」が強いとき岩手県では8月でも、一日の日照時間がほとんどなく最高気温が20℃に届かない日もあります。
やませ
2:風の又三郎
「どっどど どどうど どどうど どう。青いクルミを吹き飛ばせ、すっぱい花梨を吹き飛ばせ。
どっどど どどうど どどうど どう」
この風の音から湿った空気の感じがします。又三郎は小学校に突然転入してきて、夏休みが終わるとまた突然転校して行って
しまいます。「やませ」の始まりと終わりを暗示しているのでしょうか?
又三郎はガラスのマントを着ているときがあります。マントはキラキラ輝いています。ガラスのマントって何でしょうか?
ダイアモンドダスト
キラキラ輝いて美しいもの、きっとダイアモンドダストだったのでしょうか?
3:雪渡り その一(小狐の紺三郎)
「堅雪かたゆきかんこ、しみ雪しんこ。」
「お日様がまっ白に燃えて百合の匂を撒まきちらし、又雪をぎらぎら照らしました。
木なんかみんなザラメを掛かけたように霜でぴかぴかしています。」
霜
ザラメを掛けたような木は樹氷でしょう。美しい表現です。
4:銀河鉄道の夜
「そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪の柱がいつかぼんやりした三角標の形になって、しばらく蛍のように、ぺかぺか消えたりともったりしているのを見ました。それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青のそらの野原にたちました。いま新しく灼いたばかりの青い鋼の板のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと立ったのです。」
さて、天気輪の柱って何でしょうか?
考えられるのは太陽柱でしょう。太陽光線が雲の隙間から地上に届きます。よく見られますが、賢治は詩的な表現で天気輪の柱
と言ったのでしょうか?
宮沢賢治は気象学の知識も豊富で作品に生かされています。



