「あれ、どういう意味?…俺から離れるなって…。」
「…!」
松本の問いかけに櫻井は息を呑んだ。
長いまつ毛に縁どられた大きな瞳がじっと櫻井を見上げてくる。
(ああ、綺麗だな…。)
青山の劇場で初めて会った時から惹かれていた、美しい星のように輝く目――。
この澄んだ瞳の前では、嘘や誤魔化しは一切できない、そう思った。
告白することで松本に避けられる可能性も考えたが、櫻井は腹を括った。
「…そのままの意味に決まってるだろ?」
そこで、ひとつ息をつく。
「しょおくん?」
「お前が好きだ。だから俺から離れるな。」
一気に言うと、松本のただでさえ大きな目が更に大きくなり、動きを止めた。
「…。」
「突然こんなこと言われて引くよな。けど俺は本気で…、」
反応のない松本に、言い訳のように言い募ると、
「しょおくん!それ本当?」
突然、櫻井の言葉を遮るように、松本が叫んだ。
「俺、しょおくんのそばにいていいの?これからもずっと?」
「あっ、ああ…。」
「嬉しい!しょおくん、大好きっ!」
勢いよく抱き着いてきた松本に、ソファに押し倒される。
「良かったぁ。俺、しょおくんに嫌われたかと思ってた…、」
「ごめん…、」
最近の自分の態度が松本を傷つけていたことを、櫻井は素直に謝った。
「ううん、いいよ。両想いって分かったんだから。」
「潤…、」
櫻井は松本の背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめた。体にかかる重さが愛おしくて堪らない。
(良かった、手遅れにならなくて…。)
腕の中の松本を、もう何があっても離さない。そう心に誓う。
「ふふっ、しょおくん、ドキドキいってる。俺とおんなじだね!」
櫻井の胸に頭を乗せた松本が可愛らしく笑う。
「…なあ、潤。ちょっとだけ離れてくれねーか?」
「えっ?」
驚いたように顔を上げた松本を抱いたまま、体を起こす。
「だって、あの体勢じゃ出来ねえじゃん。」
「?」
「こーゆうこと。」
そう言うと、きょとんとした表情の松本の唇に、自分の唇を重ねた。
「…しょおくん。」
軽く触れるだけのキスだったが、松本の頬はみるみる赤く染まっていく。
(可愛い…、)
初心な反応をもっと見たくて、再び唇を寄せた時、ドアの外からガヤガヤと
賑やかな声が聞こえてきた。
「みんなが帰ってきたみたい。」
「タイムオーバーか…。」
名残惜しさを感じながら、ソファから立ち上がる。
「続きは日本に帰ってからな?」
「うん…。」
照れたように頷く松本の肩を抱き、櫻井は仲間たちを出迎えるためにドアを開けた。