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＜ベルリン映画祭便り＞「すずめの戸締まり」ベルリン映画祭で公式上映　観客に笑い、涙も

ドイツで開催中の第７３回ベルリン国際映画祭で２３日午後、日本のアニメ映画「すずめの戸締まり」（新海誠監督）が、メイン会場のベルリナーレ・パラストで公式上映された。「すずめの戸締まり」は、最高賞の金熊賞などを競うコンペティション部門に出品されている。
　上映開始前に新海監督と、主人公すずめの声を担当した原菜乃華さん、プロデューサーの川村元気さんが紹介され、拍手と歓声で迎えられた。上映中は満席の観客の間に随所で笑いが起こり、終盤では涙ぐむ姿も見られた。
　上映終了後、大きな拍手の中で舞台あいさつに立った新海監督は「映画の中ですずめは東日本大震災に遭い、西日本に引っ越した。すずめたちが通過する町に誰もいないのは、福島原発事故によって人が住めなくなったから。日本に現実にある風景で、今でも故郷に帰れない人がたくさんいる。１２年前にあったことを、エンターテインメントとして楽しみながら知ってほしいと思って、ここに来た」と訴えた。
　上映後に新海監督と原さんは「楽しかった」と口をそろえた。コンペ部門で上映されたことについて新海監督は「アニメも実写映画と同様、文化的営みとして受け止められていることを実感した。今まで以上に映画と真剣に向き合いたい。時代性や娯楽性、芸術性も持たせ、映画祭の関係者にも１０代の観客にも、予想できない映画を作らなければいけないと思った」と話した。授賞式は２５日に行われる。
　「すずめの戸締まり」は、高校生の主人公すずめが、災厄が噴き出す「後ろ戸」を探して日本を旅し、戸締まりをして災害を防ごうとする冒険ファンタジー。日本では昨年１１月に公開されて大ヒットを記録している。海外でも３月のアジアを皮切りに１９９カ国・地域で公開される。【ベルリン勝田友巳】

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