一年前の私が見ていた景色

この頃お昼休みを休憩室で過ごすことが苦痛で仕方なかった
休み時間になると人目を気にしながら駐車場に行き
灼熱地獄のような車に乗り込み
滴り落ちる汗を拭いながら
一秒でも早く一人になりたかった
こっそりと車を動かして
コンビニにアイスコーヒーを買いにいき
いつもこの場所に車を止めて
午後の仕事が早く終わるようにと考えていた

懸命にやってきた仕事
なのに
それまでの人生の選択間違いの集大成に思えて
そこに存在している事がイヤで仕方なかった
責任と肩書きを返上して軽くなったはずなのに
気持ちはますます重くなるばかり

その上
気持ちを誰にも理解してもらえないから
ひどく孤独だった

このあと、1カ月もしないで
この職場を辞めた


今、分かることは
アイスコーヒーを飲みたかった自分のこと
そこにわざわざ悲しい気持ちをくっつけていた
本当は冷たくて美味しかった

休憩室で休まなければいけないって思いこんでいたけれど
私は休みたい場所を選んで休んでいた
わざわざ惨めな気持ちをくっつけていた 
本当はこんなきれいな空を見上げていた

理解してもらうようには伝えていなかったのに
一人ぼっちをまわりのせいにした
実は一人でゆっくり休みたかった 


全部全部
自分でやりたいことを選んでいたんだ

だけど
これじゃいけないって気持ちが  
喜びや楽しさを全部覆い隠していた


それも
あの場所を離れたから分かったこと 
そうしないと離れられなかったんだ


久しぶりにあそこに行ってみたい
二度とあの場所には行かないと握っていた拳を開いて
秋の気配を含んだ風を手のひらに感じたい