優男は、背中なんかじゃ語れない…

優男は、背中なんかじゃ語れない…

    海水が塩辛いのは、
    クジラが背から塩を吐くからと思っていた。
    たけど、
    それは真実ではないと誰が言えるのだろうか…

 

 

その日は参かん日。

 

三時のおやつはブドウでした。

 

3さいのむすめはブドウが大好きです。

 

一つぶ、一つぶおいしそうにニコニコしながら食べました。

 

白いまあるいお皿には、

 

ブドウの皮と、

 

せんこう花火がはじけたような枝だけになりました。

 

むすめはブドウが大好きです。

 

とつぜん、

 

ブドウの皮をムシャムシャたべはじめました。

 

もちろん、ぼくのむすめだけ・・・

 

ニコニコしながらおいしそうに食べています。

 

“ブレーキ”はききません。

 

その日は参かん日。

 

まわりのお父さんやおかあさんは、

 

えっっ!? と、いうかんじで、

 

むすめとぼくの顔をのぞきこみます。

 

ぼくの顔はかがみを見なくても、

 

真っ赤になっているのがわかります。

 

ぼくはだれとも目があわないように、

 

ただ口にはこばれていく‘皮’をながめました。

 

“ブレーキ”はききません。

 

一皮、一皮おいしそうにニコニコしながら食べつくしました。

 

ブレーキ解除。

 

おいしかった?って、あたまをなでながらきくと、

 

「うん!」って、ニコニコわらいながらいいました。

 

ぼくの顔は、ずっと真っ赤のままでした。