「彼は僕を女性と思い込んだ。そりゃそうだろう。
ただでも東洋人は小柄で華奢だし、
当時の僕は変声期前だった。」
しかも母親が作った着物のワンピース姿。
間違えるなというのが無理な話だ。
「男と知られたらきっと…傷つくのが怖くて
嘘に嘘を重ね、逢瀬を重ねたよ。
気付いた友人にはやめとけと言われたけど…
僕には難しかったな。」
それでも気づいて。
それでも受け入れてほしくて。
「僕というシルシをピアスに託したんだ。」
けど、現実は残酷なもの。
髪を耳にかけピアスをアピールした翌日。
彼の前に普段の、ありのままの姿で会いに行ったが
気付いてもくれなかった。
僕だよ、と声をかけられず嘘の上の愛は儚く散った。
残ったのはじわりじわり痛む耳たぶだけ。
どんな姿でも「似合ってるね。」と言ってほしかった。
「なんて、無理な話だよね。
ん-、もしかしたらピアスで僕と気づいても
知らないフリしたのかもしれないな。
彼はノーマルだったわけだし。」
天城のピアスと淡く切ない幼い恋に
世良が胸を締め付けられているのが良く分かり
目で小さく笑いあう双子。
実に素直な男だと言葉にせずとも通じ合う。
嘘に嘘を重ね…100とは言わないだろうけど。
兄のエンタメに弟はほとほと呆れるのであった。
大きな窓からは暖かな陽が差し
天城のピアスをキラキラと輝かせた。
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