紅葉には少し早いが、連休が取れたので那須に行ってきました。
那須岳は比較的容易に登れるのですが、風とかで人が死んだりする、なかなか侮れない山らしいです。
せっかく行くならば、三斗小屋温泉に泊まってみたいと思っていたので、紅葉真っ盛りシーズンだと難しいだろうと、この時期に行ってみました。
毎回気になる天気です。
今回も、多少ヒヤヒヤした時もありましたが、無事っぽい感じで安心しました。
ただ当日、那須塩原駅からロープウェイ駅行きのバスに乗ったのですが、その時は曇り。
まあ、昼近くなって晴れてくれるのだろう、と思っていましたが、ロープウェイ駅で降りた時はまだ曇りで、ガスが出ていました。
ここから、峠の茶屋登山口に向かってまずは朝日岳、次に茶臼岳に行って、三斗小屋温泉に向かうのが今日の予定です。
ガスで始まる登山。雨でない分、前回の白馬岳よりいいと思うことにしましたが、やはり残念です。
登山口から少ししてすでに地獄的になってきました。
地獄というのは、時々山にあるのですが、噴火のために植生があまりなくて石や砂がゴロゴロしている殺風景な場所のことです。
ここ那須の少し下の、殺生石もそんな感じで、岩がゴロゴロしていて、以前行った時にとても心惹かれました。
近くの鹿の湯も良くて、那須っていいところだな、とその時に思いました。
私は地獄の風景に心惹かれます。
もちろん死んでから地獄に行くのは嫌です。
天国に行けるとも思っていないし、天国に行きたい気持ちもないです。
天国はなんだか、退屈そうです。
輪廻の輪から外れるのはいいですが、天国ってそれとは違うイメージで(ちなみに仏教徒なので仏教的イメージであって、キリスト教的な天国は思い描けません)、ただ平穏で何もなく安穏、みたいな。それは退屈だろうな、と思うからです。
だからって地獄の日々の刺激も欲しくないですし、できれば地獄送りにはなりたくありません。
でも、今生に、地獄の風景を味わうのは別です。
同じ意味で天国の風景も見たいです。
山に行くと、両方見ることができます。
天国は花が咲き乱れていたりいなかったり、晴れ渡って開けていてとにかくすごくて、「ここは天国じゃ!」と何度も思いました。
同時に地獄的な風景もまた、別の意味ですごくて「地獄がここに!」と何度も心揺さぶられました。
比較的、日本の山において会う機会が多いのがこの地獄です。
私はそもそも、建築工事中などや、解体中、すでに使用されてない古い建物、なと荒涼とした場所に惹かれる傾向にあり、私の中では地獄的景色もその一環です。心が寒い人間なので荒涼と親和性が高いのです。
でもだからこそ、自分とは縁遠い天国みたいな場所に、生きて行けるのも嬉しいのです。
とにかく、那須にはそれがありました。
残念ながら、ガスの中ですが、地獄と思うとそれも趣深く、「いい山だな」という感慨が高まります。
そうこうしているとすぐに避難小屋に到着し
朝日岳に向かう、のですが先は何も見えません。少し先は霧の中です。
白馬岳の時もほぼずっとガスでした。
でも今日は雨は降っておらず、かつ風もあまり吹いていないのはでまあよし、そう思って進みはじめました。
天気は朝より昼のほうが良くなると見ていたので、向かっている途中で晴れ渡るかも、という期待を持ちつつ。
結局朝日岳に着いてもガス、戻りの道もガスでした。
しかし、そこから茶臼岳に向かっていると急に青空が。
急に天国来たー!てす。
わくわくしながら茶臼岳頂上に。
同じ場所でも天気一つで印象は変わるし、同じ天気でも捉え方一つで天国にも地獄にもなるといったような。
とにかくそんな風景に出会えるのだから、山はやめられません。
茶臼でまたガスが出てきました。
でも途中また一瞬晴れ渡り、私の心も晴れ渡ります。
ここから三本槍まではずっと天国を進む感じ。
後ろも前も横も、眺望抜群でした。
しかしガスだらけの状態から急に晴れてきて青空が見えるとずっと晴れているよりかえってありがた味があるのかもしれません。
晴れの眺望は味わえたし、変化に富んだ色々なコースがあってとてもいい山だな、と思いました。
中の大倉尾根を下り、北温泉に。
風情のあるいろいろな温泉があるのも那須のいいところですね。
旅館内は怪しげな雰囲気でしたが、それも味わい深く、温泉も複数あってよかったです。