クリストフ・ヴィリバルト・グルックの「精霊の踊り」という曲
グルックは18世紀のドイツの作曲家で、オペラの改革者として知られます。オペラの音楽の流れが台詞によって崩れるのを防ぐために、レチタティーヴォ・アッコンパニャート(recitativo accompagniato=伴奏付レチタティーヴォ)という、台詞のリズムや音程を指定したものにしようとしました。これは後にワーグナーの楽劇につながることになります。
さて、この「精霊の踊り」ですが、彼の歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』中の間奏曲で、単独でも頻繁に演奏されます。
ちなみにこの歌劇は、ギリシャ神話における”オルペウスの冥府下り”が元になっています。オルフェオが死んだ妻のエウリディーチェを冥界へ取り戻しに行って途中までは上手く行ったものの、その時にしていた冥府の王との約束を破って振り返って妻を見てしまったために妻は冥界に戻されオルフェオは自殺しようとします。ここに愛の神が現れて2人を助けてめでたしめでたしという話。(ちなみに愛の神出現以降はこのオペラのオリジナルとしてハッピーエンドにしてあります)
「精霊の踊り」は、オペラの第二幕第二場、死んだエウリディーチェが冥界で精霊とともに歌いながら踊っている時の曲であって、甘美でたおやかな曲調ながらどこか寂しさをたたえているのが人気の秘密でしょう。
曲は、三部形式になっています。
踊りの音楽とはいいながら、非常にゆっくりしたテンポで、メロディーと伴奏部が優美に絡まりながら曲の糸を織っていきます。全体に息が長くスラーが目立ちますがときどき休符が効果的に入ってリズム感を出しています。中間部は短調になって哀感を誘う歌うような旋律が美しい。