ひとりの卒業生の話
父親は、その日を楽しみにしていた。
家族で、花火を見に行く日。
娘が花火を見て大喜びする姿を想像して、父親はワクワクしていた。
すごく、楽しみだった。
「すごいねー。」
花火を見上げ、父親は娘に言った。
「・・・」
「ほら、きれいだよ。」
「疲れた。」
「まだ、花火、終わってないよ。」
「お腹すいた。」
父親はがっかりした。
レストランで、さっきのがっかりはイライラに変わっていた。
「お前のためだったのに…、お前が喜ぶと思ったのに…。」
腹を立て、心の中で娘を責めていた。
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僕、思ったんです。
娘が、自分を押し殺して、僕の思い通りに振舞ったとしたら僕は満足だったか。
それは、悲しいな。
それって、僕が望んでる関係じゃないな。
そう気付いたら、嬉しくなりました。
今、自分が望んでいる親子関係ができているんだなって。
この関係を大事にしたいなって。
娘にありがとうって思いました。
