2012年の中国は、経済政策などでさほど目立つ変化がみられなかった。11月に習近平氏を共産党総書記とする新体制が発足することは既定の路線であり、胡錦濤政権は新たな重要政策を推進することを控えたとも考えられる。一方で、プラス面でもマイナス面でも、中国のこれまでの「蓄積」は次々に表面化した。ロンドン五輪で、中国のメダル獲得数は米国に次ぐ第2位。ノーベル文学賞も中国人が獲得した。さまざまな見方はあるが、国としての“地力”が向上しつつあることが反映されたと言ってよい。ただし、「12月21日に世界が滅びる」との噂に不安を感じる人も続出するなど、社会の脆弱(ぜいじゃく)が表面化する現象も見られた。各種事故が多いのも、相変わらずだった。(写真は「CNSPHOTO」提供)
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■中国勢またも好成績のロンドン五輪、“政治的主張”の問題も
近代五輪大会には、スポーツを通じて「平和でよりよい世界をつくることに貢献する」との理念がある。国ごとの対抗という色彩が強いが、ナショナリズムを健全な方向に昇華させる機能があると言ってよい。しかし、メダル獲得数などを安直に「国威発揚」に結びつければ、五輪大会が他国に対する自国の優越を示す場に堕してしまうことも否定できない。
中国は五輪ロンドン大会で、メダルの獲得数が88個と、米国の104個に次ぐ第2位だった。金メダルは38個で、やはり米国の46個に次ぐ第2位だった。「国威発揚の目的を強く感じる」、「あれだけ人口が多いのだから当然」との批判はあるが、選手育成や環境整備のために長年にわたって続けてきた努力は高く評価されるべきだ。
ロンドン五輪大会では中国に直接関係ない部分で大きな問題が出た。サッカー男子の朴鍾佑(韓国)選手が、日本相手の3位決定戦終了後に競技場内で「独島はわれわれの領土」と書かれたプラカードを掲げたことだ。韓国では称賛の声が多かった。仮に日本選手が同様のアピールをした場合、日本国内で評価や同情の声が主流になったとは考えにくい。歴史的な経験により安易な国威発揚には警戒心も持ち、五輪のルールと精神は順守すべきと考える国と、自国の“国威”を最優先する国との落差は、極めて大きい。なお中国では、朴選手がメダルを剥奪(はくだつ)されたとしても「自業自得」と考える意見が多かった。
■中国人作家にノーベル文学賞、待望の「体制側人物」受賞
中国人作家の莫言氏がノーベル文学賞を受賞した。中国人として初めてノーベル賞を受賞したのは民主活動家の劉暁波、2010年の平和賞だった。さらに、「チベットは中国の固有の領土」とする中国側の言い分を適用すれば、1989年に同賞を受賞したダライ・ラマ14世も“中国人”ということになる。いずれにせよ、中国当局に反対する活動を展開しつづけている人物がノーベル平和賞を受賞したことになる。
莫言氏は違った。中国共産党員であり、中国作家協会副主席でもある。中国当局のインターネット規制を是認する発言もある。いわば中国の「体制側人物」だ。中国では、莫氏のノーベル賞受賞を官民挙げて歓迎した。ただし、莫氏が常に体制側を肯定する作品を発表しているわけではない。中国の国策の1つである計画出産(一人っ子政策)のひずみを指摘する作品もある(「蛙鳴(あめい)」、2009年発表)。
莫言はペンネームで、「言うなかれ」の意。「自分自身の意識を目覚めさせるには、思ったことを“爆竹”のように繰り出すのではなく、言葉を選んで少しだけ発言すべきだ」との考えにもとづくという。
■「人類滅亡の日」巡る騒ぎ、背後には当局禁止の宗教団体も
12月になって世界的に「マヤ暦の予言によれば、12月21日に人類が滅びる」との噂が広まった。中国はとりわけ大きな影響を受けた。中国当局は唯物論の立場をとっており、科学的根拠がないとみなされる予測は「迷信」として排斥される。12月中旬が近付くと北京天文台長が「天文学上はきわめて普通の1日」と評したと報じられた。当局の意向を反映した記事と考えることができる。
12月中旬になると、中国当局は「新興宗教集団『全能神』が“マヤ暦にもとづく世界最後の日”を利用して人々をだましている」として大規模な摘発を行っていることが明らかになった。「全能神」は中国共産党を「赤い龍」と表現し、「赤い龍」と戦って倒し、中国を新しい国にすることを重要な教義としている。
12月20日までに中国全国で身柄を拘束された「全能神」関係者は1000人以上に達するとされている。宗教団体と言っても社会全体との「親和性」にはさまざまな程度があり、一概に論ずることはできないが、現在の中国では、共産党の主張や説明に飽き足らず、「心の世界」に救いを求める人が多くいることが、改めて示された。
■事故多発の経済大国、相次ぐ陥没、倒壊、爆発
目覚ましい発展を続けてきたかに見える中国だが、脆弱(ぜいじゃく)な部分、未成熟な部分も多い。その象徴とも言えるのが、「身近にある事故」だ。道路は陥没する。住宅は倒壊する。自動車は火を吹く。そしてテレビが、湯沸かし器が、住宅が、下水道が、船が、椅子が、便器が、変圧器が、電池が、スイカが爆発する。
10年前と比べれば、たしかに裕福になった。世界第2位の経済大国になった。海外旅行をする人も増えた。有人宇宙船も打ち上げている。スポーツの国際大会では、中国人選手が優勝することが普通の光景になった。自国の躍進に大いに満足しながらも、多発する事故に「まだ、われわれは劣っている」と感じる人も多い。死傷者が出る事故も多く、単に「呆れている」だけでは済まされない問題だが、相次いで発生する「ありえない事故」の報道は中国人にとって、自らの社会の現状を再認識し、先進国との差を改めて実感するための「精神上のバランス機能」を果たしているとも解釈できる。
■中国国際コンテナがB株を上場廃止、外貨ニーズの変化を象徴
コンテナ製造で世界最大手の中国国際コンテナが12月14日、深セン証券取引所のB株を上場廃止にした。B株の既存株主の救済措置として、中国国際コンテナ側に保有株を売却するオプションを付与。オプションを行使しない投資家については、保有B株をH株(香港市場)に転換した。これにともない、中国国際コンテナは12月19日、公募・売り出しによる資金調達を伴わない「紹介上場」の方式で香港証券取引所に上場した。
中国国際コンテナのB株上場廃止は、中国経済の発展と関係がある。中国は1978年以降、改革開放を行い、外資企業を中国に誘致した。外貨不足に悩んでいた中国は、外貨を受け入れるために、上海と深セン市場に、外貨建てで決済できるB株市場を創設した。一方、世界一の外貨準備高保有国となり、様々なルートで外貨を取得できる現在、あえて流動性の少ないB株市場を通じて外貨を調達するニーズは低下している。市場の利便性から、香港市場を上場先に選ぶ企業が増えてきている。中国国際コンテナのB株の上場廃止は、時代の流れに沿ったものと考えられる。
(編集担当:如月隼人)
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