桜の花びら舞う並木道の中私の名前を呼ぶ三人の声
「美姫ー!!みーきー!」
出会ったのは遠い昔
今年も一緒に桜をみる
4人でむかえる春はこれで何度目だろう
「おいてくよー?」
まってよーぉー!!!!(泣)
私の泣き言が空高く響いた。
これが私の朝の日常。いや、私たちの日常である。
おとなしいが言葉に配慮が足りない=毒舌な 木下 瞳 (きのした ひとみ)
双子の兄とは思えないほど元気でやんちゃ坊主な 新庄 陽輝 (しんじょう はるき)
双子の弟とは思えないほど冷静で頭脳明晰な 新庄 陽向 (しんじょう ひなた)
そして私、山田 美姫 (やまだ みき)
はスカイマンション3階に住む世間で言う「幼なじみ」、まあ腐れ縁と言ったほうがいいのかもしれないが。
物心ついたときには、遊んで、ケンカして、泣いて、笑って・・・何をするにも4人一緒だった。
そんな関係が続いて早10年と少し。
私たちは今日で中学3年生になる。
「美姫~起きるの遅すぎ」何とかギリギリバスに乗り込むと陽輝が口を開いた。
「別に間に合ったんだからいいじゃん!」幼なじみって怖い。長いこと一緒にいると遠慮とか配慮だとかはとうの昔に忘れ去られている。
「渋滞しててバスがくるのおそかったからなー」余計なことを言うな陽向!!と心の中で毒づくと案の定、瞳がとどめをさした。
「うちらが遅刻するときの原因ってだいたいあんたの寝坊でしょ?」
ぐはぁ・・・もう・・・そんな痛いとこつかなくてもいいじゃん・・・・。
・・・・ごめんなさい・・・。私は小さくつぶやいた。
バスを降りると一気に周りが騒がしくなる。
きゃあー♡陽輝くんと陽向くんが来たわ!!!かっこいい♡
こっちむいてーー!!!・・・・など女の子の黄色い声。
ああー・・・うるさい
春休み明けだからかな。いつもよりより一層雑音にきこえる。
隣りで瞳がボソッとつぶやいた。
全く・・・・可愛い顔してとんでもなく口悪いんだから。
「瞳も男子に噂されてるじゃん」
美人で超毒舌な辛口お嬢様・・・・・言いかけて口を手で押さえる。
その時すでに遅し。
「・・・・この前の放課後校門とこで美姫告られてたよねーテンパってあっえっとごめんなさいって勢いでふっちゃってたよねー」
毒舌攻撃きたあ!ってかなんでしってるの
「あれ近くの男子高のひとだよねーめっちゃイケメンだったじゃん。残念だねえ」
・・・・・・・・ムカつく!この子なんで図星ばっかつくのがこうもうまいのかな!
そう。確かに2日前私は北高の男子に告白・・・・(いやあれはナンパだったと思う)された。
「ねえ 俺と付き合わない?」
授業が終わり瞳と一緒に帰ろうと校門の前で一人待っているところに現れた陽輝と陽向顔負けに整った顔立ちをした男の子。
「俺 大久保 修也(おおくぼ しゅうや)。北高2年」
私の思考回路は完全にフリーズ。まさかこんなイケメンに告白されるなんて・・・
「聞こえてる?」
はっ・・・なんて答えればいいんだろう?と、とりあえず場所を変えたい。瞳に見られたらまたなんていわれるか。
「え・・・あっえっとごめんなさい ここじゃまずいんで・・・っ」
「そっか~残念」・・・・え?
「ごめんな」そう言って身をひるがえして行ってしまった。
・・・・・・・・・・・なんだったのあの人・・・・。
心に残ったのは疎外感と少しの不快感。