色々書いてるけど、20インチはまだポタリング旅行みたいなことをしたことがない。トランジットライトをクルマのトランクに積んで、旅先で乗ったりしたことも数えるぐらいしかない。それも思い出せるのは、実家に行ったのと、オートキャンプに行った時と、森林公園に行った時の3回だけだ。しかも買ったばっかりのモチベーションの高い時期だけだったような気がする。家族で伊豆高原に行った時も持っては行ったけど、(高原なので)坂道が多くて使えなかった思い出がある。


 結局のところ、自転車ってかなりストイックな乗り物じゃないですか。自分の足でこがないと進まないし、ひとりで乗るものだし。だから家族旅行とかで自分だけ自転車を持っていっても活躍の場が無かったりするワケ。そうしたストイックさの反動として風とか、景色とか、暑さとか寒さとか、高さとか低さとか、においとか香りとか、飛んでる虫とか、些細なコトに対しても感受性が研ぎ澄まされていくのかもしれない。


トランク01

 トランジットライトを折りたたんだ様子を撮影してみた。撮影協力車両はVWポロ。5ナンバーの5ドアだ。もともとトランクスペースが小さいので無理をせず後部座席を倒している。ゴルフバックを積むときもこんな感じである。普通のセダンなら充分トランクに収まるよ。

トランク02

 今回は20インチのトランジットライトに関するネガティブ要素を紹介しよう。これはまあ他の折りたたみ自転車にも当てはまるケースも多いので参考にしてほしいポイントだ。

 まずひとつめのポイントとしてはホイールベースが短いということ。ホイールベースとは前輪接地面から後輪接地面までの長さのことであるが、これは直進安定性に比例する。長ければ安定性が増し、短いと安定しなくなる。トランジットライトは普通の自転車と比べるとホイールベースが短いので、安定感という面ではやや劣る。その分、ハンドルの長さを短めにすることで前輪のふらつきを抑えている。

 もうひとつは前輪が16インチと小さいため、少しの段差や小石などでもハンドルを取られやすいということ。車道から歩道へ、あるいはその逆の時なども注意して運転しないとバランスを崩す恐れがある。段差を超えるときには出来るだけ角度をつけて(段差に対して90度に近い角度で)運転する必要がある。

 こう書いてしまうとなんだか危険な乗り物みたいに感じちゃうかもしれないけど、あくまで普通の自転車と比較すると、ということなのでそれほど神経質になる必要はない。ある意味ミニベロの宿命と受け入れた上で、それを補ってあまりあるミニベロならではの優位性を楽しんでほしいということだ。


すじぐも?

 昨日、荒川土手を走っていたらおもしろい雲があったので写真にとってみた。こうやって何気なく空を見上げて小さな発見とかできるのも自転車の楽しみのひとつじゃない。

 以前、折りたたみ自転車1.0と折りたたみ自転車2.0の話を書いたことがある。主観的な物言いで恐縮ですけど、トランジットライトは1.0時代のプロダクトモデルだと思う。そこかしこに割り切った部品を使ったり、折りたたみ機構自体もフレームの真ん中からボキッと折るタイプで、ディティールにこだわる輩にとっては物足りなさがあると思う。


折りたたみ方法

 しかしそれはどんな商品にも言えることで、BMWとカローラを同じ土俵で評価しないのと同様、予算内でどれだけ自分に夢を見させてくれるかが大事なトコである。そういう基準に立つと、さすがは日本車、エモーショナルな部分も含めてコストパフォーマンスは高い。もともとドロよけ(これは無いほうが確実にカッコイイ。基本的に雨の日や、雨上がりには自転車にのらないのが鉄則だ)も付いてなく、ライトやカギもない。そういう基本的なカスタマイズからはじめてもそこそこ費用はかかってくるので、自転車本体だけで予算目いっぱいかけてしまうと後々の楽しみが半減してしまうのでご用心。


TL踏切

 トランジットライトの機能面で最も優れたところはその軽さだろう。付属品を付けても11kgを切るぐらいなので、クルマのトランクへの出し入れも容易で機動力に富む。輸行バック等に入れて電車で運ぶことも難しくない。


TL鉄橋

 そういうことを知ると、だんだん想像力がかきたてられてこない?「想像してください!」愛車と電車に揺られて見知らぬ港町に行き、漁港をポタリングして、地元の新鮮な料理を出してくれる店で食事して、潮風のにおいをかいで、みたいな。「リンリンしませんかっ!」みたいな。


 そんなライトな夢を現実にするにはちょうどいい自転車がトランジットライトなのだ。


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20インチが買ったトランジットライトは内装3段変速の「TL183」というタイプだ。ランジットイトは前16インチ、後ろ18インチという異径モデルで、止まっていても変速できる内装段変速を持ったモデルだ。

トランジットライト02

現在はすでにカタログモデルでは無くなっているが、まだ在庫品が市場には流通していると思う。現在のトランジットシリーズの主力は外装7段変速トランジットライトスポーツなのではないかな。(逆に20インチが買った頃はこのモデルは無かった)

トランジットライト03

なぜこれを買ったかというと、心情的な理由は昨日書いた通りだけど、当然それ以外にもハードとして優れた商品力を備えていた。まず立ち姿が美しい。折りたたみ自転車って機能優先になりがちなため、シュッとしたデザインになりにくい。そんな制約の中で美しいフォルムを実現できた要因のひとつに前後輪のサイズを変えたことがあげられると思う。そうすることでやや前のめりな、いかにも走りそうなフォルムが成立しているのだと思う。

トランジットライト04

 けっこうサボってしまった。川越自転車散歩を書き上げてしまったので気が抜けたかな。また心機一転、新たな気持ちでがんばろう。

 今日からは20インチのミニベロ遍歴について書いていこうと思う。といってもまだミニベロは2台目なので、最初に買った一台と、今乗っているもう一台についてだけど。

 BD-1に恋してミニベロにはまった20インチはさっそくネットや雑誌で現実的に購入可能な折りたたみ自転車探しに取りかかった。いろいろと調べているうちに折りたたみ自転車の奥深さにのめり込んでいった。

 世界中のメーカーからリリースされている折りたたみ自転車は上は100万円を超えるものから、ホームセンターで売っている1万円を切るものまでピンキリである。そんな中からたった1台に決めるのは至難のワザだった。

 もちろん最初からBD-1に行っとけば迷わないのかもしれないけど、そのころの20インチはほんとに自分は自転車が好きなのか、単にメカニカルなモノとして興味があるのか判然としなかった。もし高価な自転車を買って、すぐに飽きてしまったらもったいないとか、安物を買うとすぐ飽きちゃうとか、どうせ買うならMTBとかの方がいいかもとかあれこれ悩んだ。まあ、そうやって悩んでいる時期が一番楽しいんだけどね。

 あれこれ悩んだ結果、ブリジストンのトランジットライトアルミニウムという折りたたみ自転車を買った。


トランジットライト01

 やっぱり日本製がアフターケアも含めると安心だし、コストパフォーマンスも高いのではないかと思ったから。台湾などは自転車王国と呼ばれており、本当は自転車界においては日本より優れた技術国だったりするのかもしれない。しかし当時の20インチ的には、やっぱり日本製が安心できたのだろう。近くの自転車屋に電話して注文するというベタな手段によりシルバーのトランジットライトを買った。