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vol de nuit

その昔、人知らぬ孤独と寂寥の夜を超えて、手紙を届け続けた飛行機乗りたちがいた。

僕もまた、いつ終わことのない旅の中で出会ったものを、だれかに届けていこう。

見も知らぬ、名前さえも知らない誰かの救いになれることを信じて。

幼い頃から、空を飛ぶものが好きだった。
空を渡る雲、その間を切り裂くように飛び去る飛行機。
その姿が描く軌跡は、とても孤独でだからこそ美しく見えたものだった。
飛ぶものの姿はいつも美しい。
それは彼らが孤独だからだ。
編隊を組んで飛ぶ鳥たちも、飛ぶのはいつも自分の翼だけが頼りだ。
誰も翼を貸してはくれない。
自分の力で飛び続けなければならない。
実際、渡り鳥たちの旅では、
自分の力で目的地にたどり着くことが出来ない鳥たちは脱落していく。

飛ぶものの美しさは、孤独と自由が根底にデザインされているからこそだろうと思う。

今日の届け物は、そんな飛ぶものの形をテーマにした寓話だ。
飛ぶことが、憧れではなくなった飛行機の黎明期において、
フランスからアフリカへの長距離飛行を行う飛行機乗りたちの日々が展開していく。
実際に、郵便飛行士であった著者の体験を元に描かれているだけに、
今のように飛行が安全に管理されておらず、一度の飛行が死と隣あわせだった時代の
飛行士たちが活き活きと描かれている。
しかし、シビアな現実を描きながらも、その筆致はリリカルな語彙に溢れており、
ドキュメンタリーのようなとげとげしさは少ない。
飛行機という手段を手にしたことによって、それまで絶対であった神の加護(大地という約束の地)を逸脱し、それにより手にした「空」という自由な世界に挑む人類の孤独と孤高の精神が、美しく描きだされている。
それは、どこか美しいおとぎ話を読んでいるような気持ちにさえなってくる。

孤独に悩む時、一人ぼっちだと感じ、どうしようもない時
そっと手にとってみてほしい。
人は孤独だ。でもそれは悪いことではない。
人の精神は、孤独だからこそ、強くしなやかに磨かれる。


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