「今すぐ病院に来て」と母親からの電話。
「多分、いい事ではないんだろう。。」と思いながら、電話を切るとすぐさま病院へ向かった。
病院に向かう道中、「親父、どうしたんだろう?何かあったんだろうか?」と心臓がバクバクバクバク鳴っている。
病院に着きいつもの病棟へ行くと、母の姿...
そして、集中治療室で酸素マスクを付けて息がしづらそうで苦しそうな親父の姿。
「オトン、どうしたん?」
母は、涙を浮かべ「オトンもう今日が山かもって」
「えっ?」私はなにがなんだかわからなかった。
「病室で話していたらいきなり苦しそうに倒れて看護婦さん呼んだの」
「お父さん、お父さんと呼んでもあまり意識がなさそうなの」
「先生から、敗血症と診断された。」
敗血症とは、病原体によって引き起こされた全身性炎症反応症候群である。
親父の55歳の歳なら体力があるので打ち勝つ事が出来るのだが、親父はもうゲッソリと痩せていて体力もほとんどなかった。
そこへ先生が来て先生から、「多分、今夜が山かも知れない。。」
「喉に穴を開けて管を通して空気を入れる事も出来ますけど、それで命を救えたとしても多分、意識も、もう戻らないかもしれません。どうしますか?」
私は、まだ何が起きたのかも分からず、今までの親父との思い出が走馬灯の様に頭を駆け巡ってくる。
「少し、考えさせてください。」
親父は、生前、「もし死ぬ時は楽に死なせてくれ。心臓だけ動くだけとかは嫌ぞ」と再三私や、母親に伝えていた。その時は、そんなすぐ死なないんやけぐらいしか思っていなかった。
親父のいる集中治療室へ行き、親父の手を握って親父に話掛ける。
「オトン、大丈夫??頑張って!!」
「う~ん。。きつい。。」と息が困難になりながらも返してくれた。
「頑張ってよ。」
あんな、不死身そうな親父がこんなんなるとはと思うと涙が出てきた。
親父はかなりの大酒飲みだったがビックリするほど肝臓の強い人だった。あんだけ飲んで肝臓の数値は平常を保っていたらしい。
親父の手を握って励ましながらもまた過去の思い出が走馬灯の様に出てくる。
私の親父は福岡県の小さな町に生まれた。
つづく