【七転び八起：初めての回転寿司】

　今回は、36歳でゼネコンをリストラされて、資格取得の為、栄養士の専門学校に通っていた時の思い出をお話致しましょう。

　入学式も無事に終了し、クラス内でのグループが出来上あがり、なんとなくクラスの雰囲気も出来上がり、ほとんどの学生が、高校を卒業したばかりの女子が９０％以上の中に、おじさんが女子高の迷宮に迷い込んだ不思議な空間でした。

　そんな中でも、他の女子と少し雰囲気が異なる、小柄で、メガネをかけており、いかにもガリ勉少女を絵にかいた様なクラスメイトがおりました。

　彼女は、東北地方から一人上京し、友人も無く、休憩時間や放課後も他のラスメイトと話したり、遊びに行く事もせず、放課後、一人寂しく教室で下校時間まで勉強している姿をよく、みかけていたので、心配しておりました。

　私は、社会人経験者などの女子たちと仲が良く、お昼や放課後にファミレスで勉強会などして、2度目の学生生活を楽しんでおりました。

　ある日、いつも放課後、一人勉強している姿を見かけていたので、休憩時間やお昼に声をかけて、一緒に過ごすようになり、グループの輪の中に加え仲間になりました。

　基本的に、勉強一筋の様な感じでしたので、放課後も下校時間まで、教室で一人勉強をしている姿は、勉強などしたことがない私には、頭が下がる思いでした。

　ある日、みんなでお昼と食べているときに、回転寿司の話題となり、盛り上がっていた所、彼女は、回転寿司に行った事が無い様でしたので、放課後数人で、学校近くの回転寿司に行く事となり、彼女にとって、回転寿司デビューをすることとなりました。

　お店に入ると、カウンターには、様々なお寿司がお皿に乗せられて、ベルトコンベアーを流れる状況にびっくりとしておりました。

　カウンターに並んで座り、回転寿司の食べ方や注文の仕方等を教えた後、湯呑にお茶を注ぎ、お寿司を食べ始めました。

　初めは、珍しさもあり、流れてくるお寿司のお皿を取り、食べておりましたが、我々が好みのお寿司を注文して食べている姿をみて、真似をして自分の好みのお寿司を食べる様になりました。

　初めて食べる回転寿司は、彼女にとってよほど感動したのか、教室では、見られない満面の笑顔で、お寿司を食べている姿は、25年過ぎた今でも、回転寿司を食べに行った時など、思い出されます。

　回転寿司を食べに行った事をきっかけに、放課後には、学校近くの焼き鳥屋さんの店先で、立ち食い（お酒無し）やファミレスで勉強会など行う時など、声をかけて一緒にワイワイ出来たことは、勉強漬けの彼女にとって少しでも、楽しい思い出のお手伝いが出来た様に感じます。

　卒業して、10年程経った頃、スカイツリーで偶然、旦那さんと一緒の彼女と再会した時に、数年前に結婚し幸せな家庭を築いていると報告を受けた時、嫁に出した娘の父親の気持ちが、理解できた様な気がしました。

#優しさを感じたちょっとした事【七転び八起：初めての回転寿司】