Netflixドキュメンタリーシリーズ

『マイケル・ジャクソン:ザ・バーディクト』は、マイケル・ジャクソンが2005年に未成年への性的虐待で起訴され、無罪判決を受けた裁判の裏側に迫るNetflixのドキュメンタリーシリーズ。
実際に裁判に関わった陪審員や関係者の証言を通じ、世紀の裁判の全貌を3エピソードで詳細に検証していく。
2003年、
自身が撮らせたテレビ・ドキュメンタリーで、マイケルは男の子とキングサイズのベッドで一緒に寝ている、と語ります
彼の傍には恋人繋ぎで手を繋ぐ13歳のギャビンがいます
この番組がきっかけでマイケルの大邸宅ネバーランドは家宅捜査を受けマイケルも逮捕されました
そして、2005年、少年に対する性的虐待その他でマイケルは訴追され裁判が始まりました
本作は当時の刑事裁判に関わった関係者、陪審員、傍聴人、ジャーナリスト、果てはパパラッチにまでインタビューして、
マイケル・ジャクソンが無罪となったこの裁判について、「検察、弁護側の視点から2005年の裁判に迫る」、としていますが・・・
本作は、マイケルが無罪になったのは、検察側証人は信用できないと陪審員に思わせることに成功したから、という印象を強く打ち出しています
マイケルは「無罪」ではあるが「無実」ではない、というスタンスです
私も成程そういうことか、マイケル、やっちまったな、と観ていたのです
ただ、ちょっとした違和感がありました
警察がマイケルの豪邸「ネバーランド」を家宅捜査した時、


マイケルは撮影で不在で、警察も検察もマイケルの行方を知りません
その後の記者会見で検事は一人の女性記者を指して、マイケルの行方なら彼女に聞かなければ、と言って笑いを誘います
何だ?
捜査当局とジャーナリズムのこの馴れ合ったような雰囲気は
実際、その女性記者、ダイアン・ダイモンドはコネクションを使いまくってマイケルが別荘にいることを突き止め、その別荘やその時のマイケルの様子も本作で語っています
警察より先にそこに辿り着いたようです
彼女の身分は「調査報道官」と字幕で表されますが、もともと地元でマイケルを追っかけ回していたゴシップ記者ではないか
私にはそう見えます
その当時の報道は「小児性愛者のマイケル」「マイケルは犯罪者」一辺倒だったようで、その真っ只中にいた「ジャーナリスト」と言っていいのか疑問ですが、その一人がダイアンです
終始マイケルを糾弾する姿勢を崩さない彼女は、本作では捜査から無罪の言い渡しまでの経過を、時には涙ぐむ様子まで見せながら語ります
尚、当時の報道はあまりにも偏向していた、金のために
裁判記録を精査してそうメディアを批判したジャーナリストもいたようです
もう一人、マイケルを告発した心理学者カッツも全編にわたって語っています
彼がギャビンを診察して「パンツに手を入れられて触られた」とか「一緒にポルノ雑誌を見た」などの発言を引き出し、その診察の遣り取りを撮ったビデオも出てきます
アメリカって凄いなあ、性的虐待云々と言いながら、こんな診察ビデオまで平気で出しちゃうんだ、制作者のNetflixがやってることは二次加害にはならないんか?
そんな疑問からネットを漁っていくと、
このカッツも本人が言うほどの正義の人でもないらしい
1993年にマイケルが2300万ドルで示談した同様の事件でも診察を担当していたり、冤罪だった保育園の性的虐待事件にも関わっていたり、彼自身の著書にも矛盾したことが書かれていたり
そこをマイケル側弁護人から突っ込まれるとまずいので、被害者を診察した医者なのに検察側証人としてあまり出番はなかった
それが事実かどうかは私には断定はできませんが、怪しい話がポコポコ出てきます
当時の担当検事は既に亡くなっています
なので検察の立場から語る人間が不在なのは分かりますが、その代わりがこの二人?
私には違和感があります
それならば、裁判記録を丹念に拾ってそこでの遣り取りを再現すればいい
それではドキュメンタリーではない?
ただの再現ドラマ?
ところが本作では、マイケルが性加害者であると印象付ける再現シーンを見せています
1993年の事件では、当時の被害者?ジョーディー・チャンドラーがマイケルのペニスのアザ(白斑症)を絵に描いた、とされています
その絵をもとに、当時の警察はマイケルを全裸にして写真を撮りました
CGで描かれた夜の「ネバーランド」の窓が、そのフラッシュが炊かれるたびにピカッ、ピカッ、と光る
そんな象徴的なシーンとともにマイケルのペニスのアザと描かれた絵は一致した、とナレーションが流れます
しかし、それは当時の警察側の発表に過ぎなかったようで、
今回の2005年の裁判では証拠として採用されていない、と伝えられていますが、本作はそこは触れません
明かな印象操作のシーン、ではないのかな?
そして一番大事なのはギャビン自身の証言です
本作では、
マイケル側の弁護人に嘘つきと激しく痛罵され、15歳になったギャビンは攻撃的に答えて陪審員の信用をなくした
と伝えています
また、ギャビンが以前にも万引き犯として警備員に捕まりながら、ギャビン一家は暴行を受けたと主張してデパート側から15万ドルの賠償金をせしめていた
更にそんな大金がありながらこの一家は生活保護を受給していた
そのような事実を弁護人が暴いたことも出てきます
弁護人が被害者一家を信用できない人物と見せることに成功した
本作では、弁護活動をそう矮小化してみせます
しかし、ギャビンがその時に「性的」暴行を受けた、と訴えたこと、そのために親子で訴えの訓練をした(親が言わせた)とも伝えられていたことは本作では触れません
こういう遣り取りは実際の裁判のギャビンと弁護人の間であったのでしょうか?
ただ攻撃的だった、といった感想みたいな表現より、そのままの裁判記録を出せばいいのに
マイケルがギャビンと知り合ったきっかけは小児がんに罹患したギャビンを見舞ったことから
治療費がない(これも嘘だったらしい)ギャビン一家を助けたマイケル
ギャビンは手術を受けて助かった
現在、この一家は沈黙している、と本作は伝えます
マコーレ・カルキンは子供時代からマイケルと親しく、

彼はマイケルから性的虐待を受けていない、とこの裁判で証言しています
ほかに同年代の二人の青年が性的虐待はなかったと証言しました(のちにあった、と発言を翻した)
この証言が陪審員にも大きく影響を与えたようです
本作を観ていたウチの家族は、
ジョニーデップとアンバー・ハードの裁判を引き合いに出し、

誰が嘘をついているのか、分からない、どのタイミングで嘘を言い始めるのかも分からない、怖いと言います
嘘でも裁判で勝てれば、もしくは相手が裁判を嫌がれば、大金を手にすることが出来る
訴訟大国アメリカらしい話といえば話なんでしょうが
もうすぐこの映画「Michael/マイケル」が公開されます

それにあやかってこのようなドキュメンタリーを配信するNetflix
これもアメリカらしい、のでしょうが、マイケル・ジャクソンはもう反論できません
ちょっと疑問を持ってしまったNetflixのドキュメンタリー「マイケル・ジャクソン:ザ・バーディクト」でした