
建築家を夢見つつもグリーティング・カード会社で働くトムは、社長秘書として入社してきたサマーに一目ぼれをする。
運命の恋を信じるトムは果敢にアタックし、遂に一夜を共にするのだが、サマーにとってトムは運命の人ではなく、ただの「友だち」でしかなかった。
そんな、トムとサマーの500日の出来事を軽快に描くビター・スウィートなラブコメディ。
主演は「G.I.ジョー」のジョセフ・ゴードン=レビットと「ハプニング」のズーイー・デシャネル。監督はCMやミュージック・クリップなどで活躍する映像作家のマーク・ウェブ。
本作が「ビター・スウィートなラブコメディ」かどうかはともかく、何とも痛々しいカップルの登場です
特に男子にとっては、昔の自分の痛いところを突っつかれ、
ああ恥ずかしい、と身を捩りたくなるような映画です
サマーが入社した(1)日目、彼女に一目惚れして、それでも隠しているつもりがダダ漏れな視線の先
恋愛初期、「あばた」が「笑くぼ」となり、その「笑くぼ」の素晴らしさを一々友人に吹聴する能天気なトム
こんな可愛い娘ですし

充実期、恋人サマーの複雑な人間性を少しは尊重すれば良かったのですが、トムは段々自分の気持ちを押し付け気味となり
倦怠期、明らかに気持ちがすれ違い始めているのに、気がつかないフリをする
サマーは会社を辞めついに破綻、「笑くぼ」すら醜い「おでき」となり、それをまた友人相手に罵るほど堕ちていくトム
トムの周りは良い人ばかりなんです
友人も同僚も、会社の社長までもが(的外れなところもありますが)落ち込んだトムに気を使ってくれます
それなのに、トムは八つ当たりで周りの人々を傷つけ、会社の事業までも侮辱して、仕事を辞めてしまいます
元々は建築家志望だったトムは、一念発起して建築関係に再就職しようと動き出します
そして新しい恋の予感が
今度はその彼女、オータムとうまくいけば良いのですが・・・

もう一人重要な人物がいました

トムの妹、レイチェルです
トムは、一応社会人として家を離れ、自分で部屋を借りているようですが、実家は近所のようです
それで、10コ以上歳が離れてそうな妹レイチェルにチョイチョイ恋愛相談をしています
私もこの歳になっても女心なんて分からないんです
男女なんて一生分かり合えない
そう言った方が正しいか
だから、きっとレイチェルのアドバイスは正しいんでしょう
でも、それをローティーンに求めるか?
サマーとの関係が怪しくなってきたトムは、友人たちに当たり、皿を叩き割って自分は不幸だとアピールしまくる
夜遅く、困り果てた友人たちはレイチェルを呼び出します
自転車で駆けつけたレイチェルは、冷静に友人たちとトムの愚痴に付き合ってくれるのです

もうレイチェルはトムのメンターです
トムは、兄としての態度を取り繕うことすらしません
自己中で20代とは思えない幼さををこれでもかと見せてくれます
更に、トムはサマーと別れた後、友人の紹介で女性とデートをしますが、酔っ払ってその女性相手にサマーに振られた愚痴を語ります
そもそも最初から、君とは付き合う気はない、みたいな失礼な態度のトムの話を聞いてくれる、素晴らしい女性ですが、
終いには愛想をつかれてしまう、どうしようもないトムです
彼女もいい人だったのに
さて、素敵な恋人?サマーです

このコはこのコで、ちょっと困りものです
トムの恋心を知ると、積極的に近寄ってきます
「私のことが好きなの?」からの、

コピー室での熱烈なキス

彼女の語る過去の恋愛話には「ガールフレンド」まで出てきます
「どうせカップルは別れる」とか「友達ならいいけど恋人はだめ」とか言うならトムにちょっかい出さなければ良いのに
男によっては「俺がお前を本気にしてみせるぜ」みたいなマッチョな気分になるのかもしれません

公園デートをすれば、「ペニス!」って大声で連呼する
デートがてら入ったレンタルビデオ店で、大人のビデオコーナーにサマーから積極的に入り込み、自宅のシャワーで二人でそれを実践する、そんなシーンもあります
まあ迷惑でもあり、コケティッシュ過ぎる女の子なんですが、
その一方でトムに寄り添おうとしてくれた時期もありました

離れてしまった二人ですが、あのグリーティング・カード会社の元同僚の結婚式に向かう列車の中で偶然再会します
いや違うか
トムは列車の中でさりげなくサマーを探していました
ドレス姿のサマーは美しく、彼女とダンスするトムの胸にはまた恋の炎が燃え上がったようです
サマーは自分のアパート、あの懐かしいサマーのアパートで開くパーティーにトムを招待します
勝手知ったるアパートの階段から、トムの妄想と現実が、スプリット・スクリーンっていうそうですね、左右に分割されて映されていきます
ドアを開けてじっと見つめ合う二人、とか、

屋上で親密そうに語りあう二人

現実は一人寂しく飲むだけ

サマーの左手に婚約指輪を見つけ、
トムはアパートを飛び出します
女を忘れるには仕事が一番!
真剣に真剣に就職活動に取り組むトム
トムが就職活動に勤しんでいる頃、サマーは結婚します

そして、二人が以前デートしたあのベンチで、

結婚したサマーはトムを待っていました

「結婚した夫が運命の人だった」そうです
トムは「運命の人」ではなかっただけ
まだ就職活動がうまくいっていないトムに何を言いたいのか?
サマーの話によると、あの結婚式で再会した時、すでに夫となる人と付き合っていたそうです
でも、その時はプロポーズはされていなかったとのことで、
だから、トムをパーティーに招待した?
そのココロは?

本作は、脚本を書いたスコット・ノイスタッターの体験がもとのようです
映画冒頭に書かれた言葉では、元カノを"Bitch"と表現しています
あくまでも演出なのか、本当に恨みが残るほど酷い扱いを受けたのか、そこは分かりませんし、
あくまでも男の視点からしか描かれていないので、サマーの行動は観る人の解釈に委ねられています
私は、あのラスト近くのベンチのシーンは、「謝罪」、但しその半分はサマー自身が後ろめたさから解放されるための、身勝手な「謝罪」とみています

さて、私は本作を観た方がどんな感想を持ったのか、とても知りたくなりました
ネットを漁ると色々出てきました
案の定、女性と男性では全く解釈が分かれます
女性の意見で一番面白かったのは、あのベンチの再会シーン
あれは別れてもトムを気にかけていたサマーの優しさ溢れるシーンだそうで、彼が成長していく様子を確かめたんだそうです
男性で一番過激だったのは、実はサマーは二股掛けていた可能性もあるぞ、です
「ペニス!」って叫んだり、アダルトビデオみたいにシャワーで過激なSEXを楽しむ
こんなことは本命の彼の前では出来ない
「恋人ではなく友達」だから出来ること
同じ男だけど、そんなことは全く思いつかなかった
この方は過去にどんな恋愛をしたのか、そっちが気になります
最後に、本作は、
アニメの小鳥が絡んでくる往年のミュージカル仕立てのシーンや、様々な映画のオマージュ、リンゴ・スターいじりをはじめとするポップス等の選曲
観る人が観ればもっともっと楽しめる映画なのでしょう
そこを楽しめるほどの素養がないのは私の問題です
一方で、私がガッカリしたのは、トムの退職後は周りの心優しき人々との交流の様子が一切出てこないことです
あれだけ迷惑をかけた友人たちや妹
彼らとの関係はその後どうなったのか
トム一人だけで失恋の痛手から雄々しく立ち上がったみたいですが、どうも嘘くさい
その辺りがもう少し丁寧に描かれていれば・・・
残念です
最後までお読み頂き有難うございました

私の友人にも、
エレベータの出会いから結婚に至った方がいました