「なんかもう、顔みたら泣いちゃいそう」
 
 
私は、自分で車を運転しながら
助手席に乗っている娘に言った。
 
「そんなん失礼やん。
まるでもう死んじゃうみたいだから
やめなさい」
 
娘に怒られた。
 
 
 
 
母の親友が、癌になった。
 
中学の同級生で、もう、人生の半分 どころか
60年以上を共にしてきた一番の友だち。
 
いつもバスと電車を乗り継ぎ、
片道一時間もかけて
母に会いに来てくれるひとだ。
 
私も幼い頃から
家に来ると遊んでくれたり、
娘が生まれてからは
その相手までしてくれていた
優しいおばちゃん。
 
最近では、おばちゃんのお嫁さんの
愚痴をきいたり、
お孫さんの成長の話をきいたりと
私にとっても 友だち のような
存在のだいじなひと。
 
その彼女が、膵臓がんの末期だと。。
 
 
 
 
個人院での診察で、直ぐに総合病院を
紹介され、即入院という診断。
直ぐには無理だと話して
入院を2日後に延ばしたと聞き、
私と娘は急いで会いに行くことにした。
 
 
お寺が開いたと同時にお詣りし、
御守りを授かった。
 
おばちゃんがいつも喜んで食べてくれる
ひじきの煮物をつくって、
母からのお見舞いと一緒に持った。
 
元気づけよう と
とにかくがんばってほしい と
 
その想いだけで車を走らせていたが、
いろいろ巡らせていたら、涙が出た。
 
 
 
 
母が乳がんになったときは
自分のことの様に心配してくれて、
リンパへの転移が無くて本当によかったねぇ
って、泣いて喜んでくれた。
 
こうやって、元気に話が出来るうちが花だね
って。
美味しいもの食べられてしあわせだわ って。
遊びに来る度に言っていたおばちゃんが、
こんなことに。。
 
 
 
 
つらくて
遣る瀬無くて
どうしようもない想いが
いっぱいになる。
 
 
 
 
おばちゃんのお家に到着し、
顔をみると案外元気そうで安心したけれど、
話していたら、やっぱり泣けてきちゃった。
 
 
「遠いところわざわざ来てくれてありがとね。
まさか自分がこんなことになるなんて。
普通に暮らせて元気でいられるって
本当に有難いんだよね。
みんな健康に気をつけてね。
お母さんもだいじにしてあげて。」
 
って、あったかい言葉をかけてくれた。
長時間の移動が無理で
同行できなかった母にも、
電話で何度も感謝の気持ちを
伝えてくれた。
 
 
 
 
母の手術や入院時の様子を
支えてきたからわかる。
高齢の身体にかかる負担の大きさ。
精神力を保つことの難しさ。
気力で負けたら病魔に
襲われてしまう怖さ。
 
余りあるほどの恐怖と
闘っていく不安は、
はかり知れない。
 
 
 
 
先ずは検査入院乗り切ってね。
今度は母も連れて顔見に来るから。
食べられるもの食べてがんばって!
 
ってバイバイして車に乗り込むと
また娘に怒られた。
 
 
「母さん泣くなよ〜」
 
 
 
 
 
 
 
 
健康が有難い ってこと。
支えてくれる大切なひとがいるから
生きられる ってこと。
“生きがい” がだいじ ってこと。
いのちは尊い ってこと。
 

骨身に沁みて感じた40歳おわり。
 

41歳も、ガンバっていかなくちゃ。