京都・奈良・三重に広がる領家帯花崗岩中のペグマタイトからは立派な柘榴石、鉄電気石やフェルグソン石、変種ジルコン、褐簾石といった稀元素鉱物を多産していた。かつて私の近所にあった珪石鉱山からもこれらの立派な標本が採れたようだ。しかし、現在は住宅などの開発により軒並み無くなってしまった。上の写真は北河内の珪石鉱山跡だが鉄塔工事でこの有様だ。夢の残り香としてここに供養しておこう。







して、全ての珪石鉱山がこのような訳では無いことは周知の事実である。特に三重県下では多くの鉱山がその姿を留めており、現在でも採集会などで多くの鉱物採集家が訪れている。
今回は全国でも有数の柘榴石、褐簾石の巨晶を産出した福田山鉱山を訪れてみた。



抗口から入るとこのようになっており、割と急な傾斜が3m程度続く。降りてみると割とこじんまりしている。黒雲母が濃縮している場所を適当に掘り進むと早速褐簾石がでてきた。


黒雲母から長石に向かって成長する褐簾石。
周りの石英や長石は褐簾石などの放射線の影響で焼けており、毒々しい色合いとなっている。このような焼け方は他の産地では見たことがない。だいたい焼けというと赤かったり赤褐色のイメージなので、福田山鉱山の産状は何か特異性を感じる。




他にも排水管?らしきものや水没した坑道もありなかなか見応えのある鉱山である。ズリもあり、探索の余地もありそうだ。



ー以下採集品ー


〈褐簾石〉(1枚目リペアあり)






〈鉄礬柘榴石〉