• 1949年、W.F.リビー(W.F.Libby)、C14年代測定法
  • 1951年、リビーによる市川市姥山貝塚出土試料の測定結果を報告。
  • 1960年代にはベータ線法によるC14年代測定が行われる。
  • C14年代測定法は以下の理由で長い間日本では考古学的手法と認められていなかった; ① 1960年代のベータ線法によるC14年代測定には100年以上の測定誤差があった、② 過去の大気濃度の変動から特に型式順序と逆転するような測定値が得られてしまった、③ 多量の資料を要する限界から精密な土器編年が体系化されている日本考古学では必要としない、④ 2000年以降のAMS法や暦年較正法、海洋リザーバー効果の影響などの急激に発展した研究成果と考古学的年代測定研究のすり合わせが不十分であった。
  • 上記ポツの問題点が整理・解決されてきており、C14年代測定法は考古学的手法として確立しつつある。

 

 

 

1. 草創期

  • 大平山元 I 遺跡の測定結果で、日本列島の土器発明の実年代がおよそ16,000~15,500年前に求められることが確認された。
  • 東京都御殿山遺跡などの草創期の土器付着物・伴出炭化物の測定より、東日本の隆線文初期は、約15,000年以上前に遡ることを確認(小林2007b)。
  • 隆線文土器を縄文時代の始まりとすると約15,500年頃に成立したと考えられる。
 

 

 

2. 早期

  • 測定例少ない(特に沈線文系)。
  • 福島県の常世式、滋賀県入江内湖遺跡での東海系土器。
  • 青森県野辺地蟹田遺跡や田向遺跡での測定が進行中。

 

 

3. 前期

  • 前期前葉の測定例少ない。
  • 千葉県野田貝塚、埼玉県水子貝塚の竪穴住居内出土種子類の測定より黒浜式古段階の年代測定を得、約7,500~7,000年前と推定で来た。
  • 山形県高瀬山遺跡や小松遺跡の大木4~6式について約6,000~5,500年前と推定
  • 青森県三内丸山遺跡の円筒下層式を中心にそくてい資料は増えてきているが、東北地方では海洋リザーバー効果の影響をもつ土器付着物が増えてくる傾向があり、海産物を多く調理している可能性が考えられる

 

 

4. 中期

  • 東京都大橋遺跡の加曽利E式の竪穴住居、東京都下野谷遺跡、多摩NT520遺跡、神奈川県川尻遺跡群の中期住居の炭化物で、約5,000~4,500年前の年代を測定。
  • 住居跡の細かい層序検討からライフサイクル論の研究に貢献。
  • 新地平編年より五領ヶ台1~勝坂1式期はそれぞれ20年程度で細別時期が区分、一方、勝坂2~3式期や加曽利E3式は、同一タイプの土器が70~90年程度続くなど、細別時期にも長短があることは分かった。

 

 

5. 後期

  • 関東地方では170例以上の測定資料あり
  • 堀之内式期では、神奈川県稲荷山貝塚で層位ごとに出土した炭化材を測定し良好な結果を得ている。また、多摩NT243遺跡、新潟県分谷地A遺跡で南三十稲葉式を測定。
  • 後期中葉加曽利B1~3式については、千葉県西根遺跡や東京都下宅部遺跡で集中的に測定

 

 

6. 晩期

  • 広域に広がる東北地方大洞諸形式土器群で測定
  • 大洞A~A’併行期は、過去の大気濃度の変動により年代を絞りにくい時期で『2400年問題』と俗称されるが、大洞A式は前8~前5世紀の中に含まれる。