夏の地区予選決勝。
夢の全国大会まであと一勝。
決勝までの連戦で、俺の肩は悲鳴を上げていた。
しかし、この試合の間だけで良いから、俺の肩よ、俺の体よ持ってくれ。
俺はこのチームのキャプテンとして、辛い練習にも耐えてきた。
チームメイトとは、毎日の様にぶつかった。
後輩には、張り手をした事だって、数えきれない。
しかし、これはチームが強くなるためには必要なんだと割り切り、心を鬼にしてチームを纏めてきたのだ。
俺だって、入部した当初は、先輩には幾度となく、顔をぶたれたり、張り倒されたり、ぶん投げれたりしたっけ。
けど、それが先輩からの愛情であり、俺はかわいがられていたんだなと、今ではありがたみがよく分かる。
先輩だけじゃない。
この高校に入学した当初は小手先の投げ方しか知らなかった俺に、ちゃんとしたフォームでの投げ方を教えてくれた先生。
本当なら洗うのも躊躇うような汚れた練習着も、嫌な顔1つ見せずに洗濯してくれたマネージャー。
色んな人に支えられ、俺はここまでこれたんだ。
今日のこの会場には、プロのスカウトも来ているらしい。
この試合で良い結果を残し、俺は卒業と同時にプロの世界に飛び込むつもりだ。
そしてトップまで上り詰め、沢山稼いで両親に恩返しをしてやるんだ。
そのためにも、この試合には勝って、全国大会に行かなければならない。
そろそろ、試合が始める。
俺は地ならしをして、審判の試合開始の合図を、今か今かと待っている。
高まる鼓動。
観客からの歓声。
チームメイトからの応援。
審判の準備も整った。
運命の試合が始まる。
審判から試合開始の合図が大きな声で告げられた。
『はっけよ~い…のこった』と。