古代ローマの独裁官であったカエサル(シーザー)が、暗殺された際に残した有名な言葉とされます。信頼する者の裏切りを示す科白です。

この科白は、最近トヨタ自動車の会長である豊田章男氏が、車の型式指定での不正発覚時に会見で述べ、マスコミに取り上げられました。

トヨタ自動車は、車の世界販売台数世界一。売上高45兆円、営業利益5兆円超の日本一の企業です。

実は、章男氏は私の大学の同級生。学部も一緒でしたから(学科は別)、同じ授業を隣の席で受けていたかもしれません。残念ながら単に同窓同学年だけで、学生時代もその後も知己を得ることはありませんでした。数年前、トヨタの元幹部社員が「トヨタには章男氏レベルの人は巨万(ごまん)といる」と言っていました。トヨタクラスでは日本の最高学府から沢山の優秀な学生を採用していますから、学力的にはその通りなのかもしれません。章男氏は豊田一族の御曹司でありトヨタのトップに就くのは必然であったのかもしれませんが、企業でも何でも組織のトップは必ずしも一番頭の良い人が就く必要はありません。逆に頭だけ良い頭でっかちな人間には務まらないのではないでしょうか。

組織である以上組織で動きます。完全な唯一人のトップダウンでの経営は難しいからです。どんなに優秀でも全ての分野で常に一番には成り得ないでしょう。車好きの章男氏でも法学部出身ですから、車作りや新技術の開発は理系に任せないと出来ません。

トップに求められる要素は沢山ありますが、その一つは情報を集め最適解を求めて情報の整理が出来ること。情報を集めるということは他者の話を聞く力でもあります。そして決断する力。判断は誰でも出来ますが、企業や社員の行く末に影響する決断は、トップが行い責任を負うものとなります。

章男氏は創業一族というカリスマ性だけでなく、EVに限定しない車作りという方針の堅持に類まれな決断力を発揮しました。

全国の企業数は170万社を超えます。170万人の社長が居るとすると、何も自分が全て一番だと無理をする必要はありません。一人孤独に生きる必要はありません。社員や仲間を育て信じて、耳を傾け経営の決断をする。

トヨタの会長ですら「巨万といる」と言われるのです。社長の皆さん、少しだけ肩の力を抜いて頑張りましょう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(雀)

ブルータスお前もか!!