進藤宗佑は疲れていた。


39歳働き盛り。

大手家電メーカーに勤めてからなんのしがらみもなく気がつけば職場結婚し、

課長になっていた。


どちらも特にこだわりがあったわけもなく

本当に気がつくとそうなっていたという感じで。


それなのに、なぜか疲れていた。


進藤はスマートフォンを持っていない。

25歳で結婚した妻の有希に持たされた連絡手段は

ガラケーのみ。


浮気をしたわけでも放置したわけでもないのに

なぜか他との交流を制限してくる。


子どももこれと言った趣味もなく仕事も辞めてしまった主婦にとって進藤そのものが趣味になってしまったのかもしれない。


進藤の唯一の趣味が草野球であった。

しかも社会人になってから始めたという異色の経歴で。

手足が長く身長も高い進藤はみるみるうちに?頭角を表し、今はチームのエースなのだ。


チームの屋台骨となると楽しくないわけがない。

毎週早朝から練習するのが楽しみで仕方ない。


もちろん妻は反対してくるが結婚する前からの趣味なこと、仕事仲間もいるということでここは譲らなかった。


ほとんどのことに興味がない進藤だったが唯一我が出るほどだ。


3ヶ月に一度市の大会に出場しているチームだったが、その日も朝早くから登板の準備に球場に向かった。


その日から少しずつ進藤の日常に変化が訪れることとなる。