見炉巣講は 天の声が聞こえる一人の人間から始まった
皆はその師の話を聞きに集まった
感激したものが師の弟子になり 師に認められた弟子が師範代になり 師の言葉を伝え広める役目をした
また 講の一員であることを示す札があり それがあれば天が守ってくれると言われていた
兄者は遠いところまで何回も師の話を聞きに行ったので 気がつくと生活が苦しくなってきていた
行き詰まった兄者は村の庄屋さんに 田圃を譲り渡し いくばくかのお金を受け取って 村を出て行った
行きついたのは少し離れた町にある長屋だった
先祖代々の土地を食いつぶしたような形にしてしまった兄者だった
つづく