医師は「一部の理解しがたい行動で、感染が広がっているケースがあるのも事実だ」と話す。

 

 

 

 
 
 
 「俺をばいきん扱いするのか!」。大阪市内の総合病院で怒号が飛んだ。声の主は、発熱症状を訴えて来院した男性患者。マスクにゴーグル姿の医療従事者を見るなり怒りを爆発させ、唾も吐きかけたという。

 

 

 検査結果を自宅で待つように伝えた男性とあるとき、音信不通になった。何十回も連絡してようやく出た男性の電話口からは、にぎやかな騒ぎ声が漏れ聞こえてきた。飲食店のようだった。医師が男性に陽性だと告げると、「最悪。なんで入院なの」と愚痴をこぼされた。

 

 

 

 別の男性の場合、健康診断のエックス線写真で肺炎の症状がみられると指摘すると、他の医療機関で「すでに陽性と診断されていた」と明かされた。

 

 

 医療従事者として、感染への不安は常につきまとう。感染が判明すれば病棟の閉鎖や、一般の入院患者への影響も考えられる。「責任を取りようがない」。寝つきが悪い日も増えた。

 

 

 「仕事に対しては忙しくても使命感があるが、私生活の自由がないので、気持ちの持ち方が非常に難しい」と医師。「リスクが高い行動をとれば、感染するのは当然。感染を減らすために会食や旅行の自粛に従ってほしい」と求めた。