率直な意見。 -28ページ目

率直な意見。

個人の立場で個人の意見を。

出版社の人達は芸能人に賞を取らせたり、売れそうな本をマーケティングと称した浅知恵で企画したり、雑誌にオマケを付けてみたり、そんなことばかりやってるんじゃないだろうか。マスコミで働くのがカッコイイという風潮がしばらく続いたおかげで、出版社には何事も如才なくこなし、欠点の少ない優秀な学生が、本が好きなだけの学生、変わり者の変な奴を押しのけて大量にストックされているのではないだろうか。
何でも上手にこなす人達は具体的な命題を効率良く捌くのは得意だが、突飛なアイディアを思いつき、軋轢を気にせず形にするのは苦手だ。本や雑誌はマニアックな層をターゲットにして、個々の作家の名前だけで買われ、また個々の雑誌が定期購読され、利益に濃淡はあっても敢えて選別せず、たくさん束ねることで成り立っているビジネスだ。ライトな不特定多数を相手にマスを狙っていく商売では、平均的な出版物が平均的な購買層を軽く刺激するだけの、市場の真ん中だけを食い争うとするだけのものになってしまう。ところが実際の出版社は、そういう感覚から遠い人ばかり社員にし続けて、多くのニッチ市場をネットに取られてしまったのでないだろうか。さらに鈍感にも出版社ではこの「奪われた」という感覚を、ネットがメジャーになってからやっと持ちはじめたのではないだろうか。
パソコン通信と言われたインターネットの黎明期、従量制課金の中、細い回線で途切れ途切れの情報発信、情報受信していた人々が、定額制のテレホーダイで若干のメジャー化に晒された瞬間に持った「これから世の中が変わる」という感覚を、自分の仕事に結びつけることができなかった、またはそういう機会を持つことなく過ごしてしまった、悪い意味で常識の世界の住人が大多数を占める状況に、この業界はなってしまっているのではないだろうか。
であれば、彼らはまず自分達には、この業界に必要な発想も判断も出来ない、という前提に立って欲しい。そしてマニアックな人達に自由に企画させ、それを掘り下げる方向にエスカレートさせて欲しい。出版や流通についてはプロなのだから、業界の決まりごとを制約事項としてではなく、加速させるように、持てる知識とコネクションを使うように動くべきだろう。
例えば、2ちゃんねるでは、興味深そうなスレッドのリンクを踏むと、全く関係のないダム板やパン板に飛ばされたりするが、それを逆手に取って、そういう本当にコアな変わり者しかいないスレッドで身分を明かして企画に協力してくれる人達を募集し、ダム板の連中がダムについて、パン板の連中がパンについて、掘り下げられるだけ掘り下げた、関係無い人には何の感銘も与えないが知る人には感涙ものの本などを作らせたら、きっと面白いものができるはずだ。そして書店や広告で「誰もが一度は飛ばされたあのダム板の住人が構想10ヶ月で作り上げた超コアな知識の集大成、これであなたも明日からダム板でシッタカできる」などと煽るなり、タモリ倶楽部などに取り上げてもらうなりすれば話題は取れるはずだ。自分の興味や嗜好の範囲で起案したり判断したりするのをやめ、普通ではない人に、普通ではないことをさせないとダメだ。そういう試行錯誤の中から当たる企画を作り出さない限り、出版の世界はリスクを取れない平均的な企画が飽和する縮小均衡の中で衰退するしかないだろう。