我が家には今、約1週間の予定で長男が帰省している。


京都大学法学部6年生の我が長男…


本来ならとっくに大学を卒業して社会人となっているはずなのに、なかなか卒業してくれない我が長男…


それでも…


いい加減、来春こそは卒業してくれるだろう…そう信じていたのにも関わらず、来年は7年生をやるかもしれない…


そんな突拍子もないことを言ってきた我が長男…


いやいや、「ニトリ」とか内定もらってるんだし…そこに就職したら十分やんか!


せっかくなんやから就職しいな!


ネット記事とか見てると、「ニトリ」は文系就活生からの人気No.1らしいで!


仕事に、遊びに、恋愛に…きっと楽しい社会人生活が待ってるはずや!


なんて…


まあ、そんな親の願いも空しく…


生まれながらのゲーマーである彼は…ゲーム業界への就職を強く希望して…


来年度は京大法学部で7年生をやりながら、改めてしっかりとゲーム関連企業への就活をしたい…


そんな無茶なことを言い出す始末…


では…今現在


我が家に帰ってきた彼が、果たして何をしているのかというと…


8月初旬に行われる、法学部専門科目の定期試験に向けた…勉強をしているのだった。


そう、まだ専門科目の単位が26単位も残っているのだから…


就活うんぬんの前に、単位を取得して卒業しないことには…何も始まりやしないのだ。


いやでも、そんなん…わざわざウチに帰ってきて勉強しなくても…


京大の図書館とかで勉強した方が、よっぽど集中出来るんちゃうか?


と、ツッコみたくなるところだが…


まあ、本人が帰って来るというものを冷たく断る訳にはいかないから…


結果として…今週一杯は我が家に滞在する予定となっている。


それにしても…やっぱり落ち着かない


ただでさえ、我が家には昼夜逆転男である騒々しい次男坊がいるのだ。


そう…立命館大学経済学部5年生の我が愛しき次男坊


夜になると毎晩酒を飲んで…


キッチンに降りてきては…


夜食のうどんやら何やらを、ガチャガチャとうるさく調理したり…


酒が足りなくなれば、コンビニに買い出しに行ったり…


私の安眠を妨げ続けて久しい、彼という存在が既にいるのにも関わらず…


さらにそれに加え…


もう一人、私の安眠妨害をする存在が増えてしまった…という


事実…昨日も


昼間には爆睡していて、夜になったらイソイソと起き出して勉強を始めた長男が…


夜中に…


自分でカフェオレを作っては、それを「チリンチリン」とスプーンで掻き混ぜる音や…


エナジードリンクの缶をプシュッと開ける音や…


大きなくしゃみの音や…


様々な騒音で私は何度も起こされたし…


それに加えて…


いつもの定番である、次男坊が夜食を作る音でも…


私は何度も目を覚ましたし…


とにかく…彼らは


夜通し、代わる代わる…何かしらの騒音を巻き起こしていたのだった。


そんな私は今朝…


4時起きして、静岡へと仕事に行く準備をしなければならなかったのだが…


うつらうつら…夢と現実の境界を彷徨うかのような一晩を過ごしたのち…


時間通り4時に起床して、二階の寝室から一階に降りてみると…


そんな私のことなど露知らずの長男が…


一階のダイニングテーブルで、エナジードリンクを飲みながら堂々と勉強していたのである。


あぁ…それにしても、しんどい朝だった…


何とか老体に鞭打って朝のルーティンをこなし、雨の中を駅まで歩いて出勤したが…


何となく…静岡で仕事をしている今も、寝不足でボーッとする…


とはいえ…こんな日々が永遠に続くという訳ではないし


まあとりあえずのところは…たかだか今週一杯の話である。


そして、今はまだ我が家に居候している次男坊だって…


来春には我が家を出ていくはずなのである。


実際、彼は来週の金曜に本命の公務員試験があるという話だ。


もちろん、それに合格するかどうかなど私には知る由もないが…


もし仮に不合格だったとしても、どこかしら民間企業の就職先を見つけ…


きっと独り立ちしていくはずだ。


なんせ彼は今でも常に、早く家を出て行きたがっているのだから。


そう…


だからこそ…


たとえ今が落ち着かなくても…


たとえ今が寝不足でしんどくても…


今しか味わえない、この空気をしっかり味わうこと…


二度と訪れないこの時間を…


煩わしく思ったり、嫌悪したりするのではなく…


ただただ無心で…


自らの心と身体に刻み込むこと…


将来…


今という時間をいつか振り返った時に…


言葉として…ではなく…


西田幾多郎の言う「純粋経験」として…私自身に深く刻み込まれたこの記憶が…


私の心や身体の中で、鮮やかに蘇るように。


なんて…


我が長男が帰省し…


それによって、かなりしんどい思いをしながらも…


そんな現在進行形の…「愛しき日々」の大切さを…


遠く離れた静岡の地で改めて想う…


寝不足気味の私なのであった。