こんにちは、ムーンストーンです。
今日は鬼頭莫宏先生の漫画「なるたる」の感想、考察を書いていこうと思います。
正直、この漫画はヤバいです。狂気がこれでもかとにじみ出ています。おそらく作者の鬼頭莫宏先生自身も意図していなかった狂気だと思います。「なるたる」についてネットで調べてみると、エロやグロといった表現が散見されます。確かにそのような描写はあります。しかし、この作品の本当の恐ろしいところはそこではありません。
一度読んだだけではこの漫画を理解することは難しいでしょう。
私もこの漫画を初めて読んだとき、内容が理解しきれず混乱していました。
その後何回か読み返すうちにだんだんとストーリーが理解できるようになったのですが、なんて恐ろしい漫画なのかと戦慄しました。
まず、登場人物たちはそれぞれに目的があり、各々がその目的に向かって行動するために読者は混乱します。
その中の多数は自らの目的のためには他者を殺しても構わないと考え、実際に多くの人間が犠牲になっています。
そして、彼らのほとんどは目的を完遂できません。その点でも物語としてより難解なものになっているのです。
また、登場人物はだいたい死にます。主人公も一度死にます(その後生き返るのですが)。
最終的に人類は主人公ともう一人を残して滅亡します。
主人公の家族や友人、大切な人は全員死にます(しかも各々の死にざまを彼女は見ています)。
しかし、鬼頭莫宏先生はこれをハッピーエンドだと言っています。
いったいどこがハッピーエンドなのか、僕には理解できません。
ストーリーとしては初めからある程度構想があったらしく、全体を通して矛盾しているところはなく、それぞれの言動も考えてみれば納得できるものになっています。ですから、かなり丁寧に書かれた作品であると感じます。
それにしても理解する難易度は高いです。
この漫画の中には心理学、宗教学、神話などのエッセンスがふんだんに盛り込まれており、いちいち気になる言葉があったら調べなければなりません(内容としてはフロイトの夢分析やホモデメンスなど調べれば難しくない範囲ではありますが)。
読者に対して読みやすい作品であろうとする気は全く感じられません。
それでも「なるたる」が気になるのであれば一度読んでみるといいでしょう。
興味を持った時点ですでにおかしいと思いますので。