稽古場撤収、そして芝居は劇場へ。
待ちに待ってた劇場入りを間近にして
役者の僕たちが身構えてしまうのは何だろう。
稽古場のセットが崩されて搬入へと向かう。
もう少しだけ、あとちょっとだけ。
なんだかふざけ合って居た僅かな時間ですら
勿体なく思えてきてしまう。
いつもその時々で全力を尽くしてきた筈でも
何処かパワーバランスを調整してしまいたくなりがちで、
「このままの方向でもっと高めていけ
このままほ方向でもっと深めていけ」
そんな演出家の視線をかいくぐる様にして、
「何かもっと出来ることは無いだろうか
この役に足りない物は一体何だろうか」
そんな明かりの射さなそうな迷路に迷い込む。
最後の通し稽古をしながら
迷いは無かったつもりでも、
あとになって思い返すと、
探せば探す分だけハテナにぶち当たる。
好きなことを仕事に選んだって
悩みはつきない、難しいことは沢山在る。
どんな仕事だってそう。
結論、僕は。
終わって美味しいビールが飲めればそれで良い。
うん。
今日は、そんなつもりで稽古終了打ち上げを
手のあいた者同士で行ったのだけれど、
気付けばナインの芝居の話になって居て、
お酒の勢いでどうでもよくなってしまう人物の居ないことに驚く。
春田役の橋本真一君は放っておくといつも悩んで居て、
正解を語られてももっと純度の高い正解を求める性格のようで
強く輝きながら、たまに瞬くその姿勢が
なんだか空気の澄んだ山で見る星のように思う。
「本番で台詞が全く出てこない夢を見てしまった」
そう吐露する彼を笑い飛ばしながら
内心ではみんなが似たような不安感と闘って居るのかもな、
なんて思って宵を越す。
間もなく、初日。
ご来場頂く全ての皆様に抱えきれない程の熱量を
お届け出来るよう僕たちの本当の闘いがここから始まります。
稽古は終わったけれど、
ここからが正念場です!!











