刑訴法一二三条一項による押収物還付の還付先
検察官がした押収物の還付に関する処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定/昭和62年(し)第15号
【判決日付】 平成2年4月20日
【判示事項】 刑訴法一二三条一項による押収物還付の還付先
【判決要旨】 刑訴法一二三条一項による押収物の還付は、被押収者が還付請求権を放棄するなどして原状を回復する必要がない場合又は被押収者に還付することができない場合のほかは、被押収者に対してすべきである。
【参照条文】 刑事訴訟法123-1
刑事訴訟法222-1
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集44巻3号283頁
刑事訴訟法
第百二十三条 押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。
② 押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる。
③ 押収物が第百十条の二の規定により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた記録媒体で留置の必要がないものである場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者とが異なるときは、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならない。
④ 前三項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
第二百二十二条 第九十九条第一項、第百条、第百二条から第百五条まで、第百十条から第百十二条まで、第百十四条、第百十五条及び第百十八条から第百二十四条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条、第百十一条の二、第百十二条、第百十四条、第百十八条、第百二十九条、第百三十一条及び第百三十七条から第百四十条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条の規定によつてする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第百二十二条から第百二十四条までに規定する処分をすることができない。
② 第二百二十条の規定により被疑者を捜索する場合において急速を要するときは、第百十四条第二項の規定によることを要しない。
③ 第百十六条及び第百十七条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条の規定によつてする差押え、記録命令付差押え又は捜索について、これを準用する。
④ 日出前、日没後には、令状に夜間でも検証をすることができる旨の記載がなければ、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第二百十八条の規定によつてする検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることができない。但し、第百十七条に規定する場所については、この限りでない。
⑤ 日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。
⑥ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第二百十八条の規定により差押、捜索又は検証をするについて必要があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができる。
⑦ 第一項の規定により、身体の検査を拒んだ者を過料に処し、又はこれに賠償を命ずべきときは、裁判所にその処分を請求しなければならない。