原審弁護人が別件(ピッキング防止法違反)による現行犯人逮捕の違法性を強く主張し,その後の身柄拘束下において採取され被告人の犯人性を裏付ける被告人の口腔内細胞に関するDNA鑑定の結果等を含めて違法収集証拠であるとして証拠能力を争っている状況においては,現行犯人逮捕の適法性が,本件の住居侵入,窃盗被告事件の訴訟の帰趨に直接影響を与える重要な争点の1つであって,当事者に攻撃,防御を十分尽くさせるべきであるのに,現行犯人逮捕手続書や現行犯人逮捕に至るまでの状況を目撃した者の供述調書を不同意のまま採用することをもって事足りるとし,原審弁護人からの現行犯人逮捕に関与した警察官等の証人尋問請求をすべて却下した原審には,証拠採用に関する合理的な裁量の範囲を逸脱した審理不尽の違法があるとされた事例
東京高等裁判所判決/平成21年(う)第1642号
平成22年1月26日
住居侵入,窃盗被告事件
【判決要旨】 原審弁護人が別件(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反)による現行犯人逮捕の違法性を強く主張し,その後の身柄拘束下において採取され被告人の犯人性を裏付ける被告人の口腔内細胞に関するDNA鑑定の結果等を含めて違法収集証拠であるとして証拠能力を争っている状況においては,現行犯人逮捕の適法性が,訴訟の帰趨に直接影響を与える重要な争点の1つであって,当事者に攻撃,防御を十分尽くさせるべきであるのに,現行犯人逮捕手続書や現行犯人逮捕に至るまでの状況を目撃した者の供述調書を不同意のまま採用することをもって事足りるとし,原審弁護人からの現行犯人逮捕に関与した警察官等の証人尋問請求をすべて却下した原審には,証拠採用に関する合理的な裁量の範囲を逸脱した審理不尽の違法がある。
【参照条文】 刑事訴訟法298
刑事訴訟法317
刑事訴訟法379
【掲載誌】 東京高等裁判所判決時報刑事61巻1~12号25頁
判例タイムズ1326号280頁