東京高等裁判所判決/平成20年(ネ)第2483号
平成20年9月10日
損害賠償請求控訴事件
菓子店セクシュアルハラスメント事件
【判示事項】 1 被控訴人Y社経営の菓子店の店長であったAと高卒で入社後同店配属となった契約社員の控訴人Xとは上司と部下という関係にあり,Aの各発言(「頭がおかしいんじゃないの」,「エイズ検査を受けた方がいい」,「処女じゃないでしょう」等)は全体的に見ると,XにおいてAの発言を弾圧的なものとして受け止め,または性的な行動を揶揄し,または非難するものと受け止めたことにも理由があるというべきであり,男性から女性に対するものとしても,上司から部下に対するものとしても許容される限度を超えた違法な発言であったといわざるを得ないとされた例
2 Aの各言動について,男性であるAがY社の経営する本件店舗の店長としてその部下従業員で女性であるXに対して職務の執行中ないしその延長線上における慰労会ないし懇親会において行ったものであり,Y社の事業の執行について行われたものと認められるとされた例
3 XのY社に対する損害賠償請求を棄却した1審判決が取り消され,慰謝料,逸失利益および弁護士費用合計169万余円の限度で請求が認められた例
【掲載誌】 判例時報2023号27頁
労働判例969号5頁
労働経済判例速報2019号3頁