毎日、電話で話しをしているのに母の話は尽きない。
「ふーん」 「へぇ・・」「そうなんだぁ~」と
笑ったり、感情を同調させながら話しを聞く。
途中、来客があり私一人になった時、
壁にぺたぺた貼ってある紙に目が行った。
うわっ・・・勉強しているんだ・・・
面白そうな本も読んでる
数字を記録している紙になり、何なんだろうと考えた。
多分・・・一から順に足していった数なんだろうと思うけど
1~10が55は分かるけど、11~20が220と言う数字が分からない。
多分、11~20とは、1~20を足すと言うことなんだろうけど
1~20までの数字を足すと210。
でもここに書いてあるのは220なんだよね。
傍にあった計算機で検算してみる。
するとやっぱり、1~20は210。
来客との話しが終わり、戻ってきた母にこの紙のことを聞いてみた。
すると、手と頭の体操のためソロバンで数字を足していると言う。
母に1~20を足すと220ではなくて210になると伝えると
「そんなはずはない!」と自信満々。そして母も計算機で検算して・・・
ハッと驚く・・・「ほんとだ・・・210になる・・・」
でも、ソロバンで何度やっても220になるため
それから二人して原因追及が始まった。
どうも、ソロバンをはじく指の動きのどこかに悪い癖があるらしい。
ゆっくりはじくと、210になるが、早くはじくと220になる。
なので早くはじきながら、1~11で止め、1~12で止め、
1~13で止めた時に13をはじくやり方がおかしいことに気付く。
十の位を二回はじいていたため、合計が十多かったのだ。
そこで大いに盛り上がった母と私は介護保険で通っている
リハビリ施設で母がやっている数独ゲームに話題が行く。
初級なのに、どうしてもできないと母が言うので
私は生まれて初めて、母に勉強を教えることになる。
どうやって解いていくのか母に教えていたら
昔、息子に公文のプリントをやらせていた時のことを思い出す。
公文のポリシーは『褒めてのばす』。
できないことよりも、少しでもできたことを探して褒める。
そして、最終的にプリント終えた時に私が百点満点を付けるシステムになっていた。
最初、母が数独に頭を抱え、解き方を言っても「分からない」と言い切る。
それを辛抱強く教えていき、最後には何とかやり終えた。
「やったー!」
そして、母が自分で五十丸を付けて「今日はこれでおしまい!」と言った。
昔は普通にできていたことが、できなくなり
今、こうやって努力している母の姿があった。
お互い疲れたから、もう寝ようと言うことになり
明日の朝食は母が作るから、ゆっくり起きてくればいいと言われる。
翌朝、5時に目が覚めるも、しばらく布団の中でまどろみ
それに飽きると、数独の中級偏を楽しみながら時間が過ぎるのを待ち
6時半頃、母の元へ行ったが・・・母はまだ眠っていた。
私が朝食を作り、キュウリの薄切りをしているまな板と包丁の音で起きてきた母。
昨日のソロバン騒ぎと、数独ゲームのせいで熟睡できたとすっきり顔で笑う。
私も頭の体操しないとな・・・と影響を受けた、これが二つ目のお話し。
読んで頂いてありがとうございました。