悲しみよ今晩は

僕は今日財布を失った


悲しみよ今晩は

干していた洗濯物が飛んでた


悲しみよ今晩は

別れた彼女の携帯番号が変わってた


悲しみよ今晩は

おばあちゃんの命日をスルーしてしまった


悲しみよ今晩は

時々、不整脈が起こる


悲しみよ今晩は

4月から無職になる


悲しみよこんにちは

今年で30になる
最近ウチの民夫(父)が変だ

民夫の部屋にある冷凍庫の中に思いもよらないものが入っていることが多々ある

・マーガリンを塗ったパン(遠い異国の料理番組でも見たのだろう)
・宝くじ
(冷凍庫には神棚的な役割もあるのだろうか?)
・軍手
(あれれ?)


さすがの俺も不安になり明江(母)に相談


明江が言うには、パンは凍らせたらうまくなるのかどうなのかの実験で、宝くじはあまりにも当たらないのが悔しいからで、軍手に関しては謎だとのこと


それを聞いた俺も少しは安心

民夫が認知機能障害かもなどと少しでも父を疑った自分を恥じた


そしてさっき帰宅した俺に民夫がこう言った


「健作(俺)神奈川県って静岡だよな?」


いつから都道府県が市町村のように合併できるようになったのかは知らないが、民夫の無邪気な顔を見て「違う」とも言えずに、ただ一人星を見る僕
とにもかくにも部屋が汚い
どのくらい汚いかというと、猪木とアントニオが闘ってジャイアント猪木になってしまったぐらいのはちゃめちゃ振りだ

この部屋では俺の未来の嫁予定の愛くるしい彼女を部屋に呼ぶことなど夢のまた夢だ
勿論彼女はまだいない


昨夜寝る前に布団の横に置いておいたパンッパンの灰皿が、俺が寝ている間にウルトラC級の技を体得それを駆使し、パンッパンだった灰皿は今やスッカスカになってしまっている

吸い殻と灰がカーペットの細部にまで入り込み俺の気持ちを逆なでする


俺は一人思う。

灰皿が一体いつ、オリンピック選手さながらの技を繰り出したのかと


それよりも昨日の真夜中 トイレから帰ってきた俺の部屋の漆黒の闇の中、何かに派手にぶつけた足の指が痛い