「オレほどすごい男はいない」

「オレって神様か教祖になれると思う」

「オレはこんな自分が大好きだ」

・・・クソ旦から、何度そんなセリフを聞いたことだろう。


そして私がクソ旦からよく言われた言葉。

「お前は何も出来ないダメ人間だ」

「人間以下、サルだ」

「お前といると恥ずかしい」

激昂すると、

「最低のカス人間だ!」

「死ね!」

とまで言われた。


何度もこの表現を使うが、

「支配者が奴隷を見下す」態度を表した発言、そのものだった。


普段はそんな風に偉そうな態度ばかりではなく、

一転して幼児が母親に甘えるような

子供じみた態度を取ることも多かった。

しかしほとんどが、「○○をしろ」と命令や注文ばかりで、

あとは「とにかくオレ様を機嫌良くさせろ」だった。


「おい!コーヒー!」と言われればすぐにコーヒーを入れ、

果物が好物のクソ旦が「おいリンゴ!」と言えば

すぐにリンゴの皮をむいて皿に入れ、出さなければいけなかった。

太りすぎで狭心症となり、食事の自己管理をしろと医者から忠告されてるにも関わらず、

「おいオヤツ!」

「何か食べるものはないのか!」

と怒鳴った。

ダイエットしないといけないから、オヤツは止めた方がいいと忠告しても、

「ああうるさいな!」と怒るか、

会社の帰りに勝手にお菓子を買って来て食べていた。


食べる事で言えば、とにかく好き嫌いが多く、

品数も多くないと許されなかった。

別におかしな味はしないし、腐ってるわけではないのに、

自分の味覚と合わないだけで、

料理をクンクンと臭いでゲッ!とした顔をし、

「臭い!」

「キモチ悪い!」

「吐きそう!ムカムカする」

と言って、目の前から皿ごと除けた。


もったいないから、と食べる私に、

「お前はゴミでも食べられるな」と笑い、

外食で何か食べてる時に

自分が食べられないもの・・

椎茸とか三つ葉とかが入ってると、

ポイポイと私が食べている器に捨てた。


もう食べられないカスの部分まで・・

エビフライだったら、尻尾、

骨付きのチキンだったら骨を私の器にポイポイ捨てていた。

自分の器か取り皿にでも捨てれば良いのに、

「お前、こんな残飯でも食べるんだろう」と笑いつつ、

私の器に捨てていった。


とにかく、好き嫌いが多くて

ちょっとでも合わない味だと

作った私が傷つくような言葉を平気で吐いて、

食事が終わっても、

「ああキモチ悪い。

 お前の料理のせいで胃がムカムカする」と

顔を歪めて怒った。


そして何日か経った後でも、

「あの時のお前の料理、キモチ悪かったな」

と笑ってバカにしていた。


私はクソ旦が難癖つけて残した料理を、もう食べないで

すぐに台所の流しに持って行き、ゴミ袋に捨てた。

何にも感じないように、心を真っ白にして。

惨めで悲しいキモチをこれ以上感じたくなかったからだ。


心を真っ白にしてゴミ袋に捨てる・・・

それは、料理だけじゃなかった。


デブでなかなかサイズが合う服を売ってなかったために、

服選びには本当に苦労した。

クソ旦のサイズは3L。

私が住んでいた町にはどこもそんなサイズを置いてる店がなく、

電車を乗り継いで大きな街のデパートのキングサイズコーナーまで

行かなければならなかった。


しかし、クソ旦は決して自分では買いに行かない。

クソ旦の会社はデパートの近くの大きな街にあったし、

仕事の帰りに寄ろうと思えばいつでも寄れたはずだ。

それに本人が直接行って試着をすればすむことだ。


でも、「試着が面倒くさい」と言って

決して自分一人で行こうとしなかった。

「自分で買いに行って」と頼んでも、

「うるさい!もういい!」と怒る。

それと、デブだと言うことを恥じていたのだろう。

私が一緒について行くと安心するのか、

まだ行こうとした。


が、それも「エサ」が必要だった。

「帰りにどこかでおいしいものを食べさせてくれるのなら行く」と言う。

経済感覚が乏しく、食にうるさいクソ旦が言うおいしいもの・・とは

有名店の高い食事だった。

後でまた書くが、クソ旦の稼ぎは管理職と言う立場の割りに

相当安かった。

それでも自覚がなく、いいお店でおいしいものを・・

旅行するには高くてもいい宿を・・と

身分不相応なことをほしがった。


しかし、ただでさえデブのキングサイズの服は高いのに、

デパートの服ならもっと高い。

それに「エサ」を与えるとなると、すごい出費になる。


結局、クソ旦の服を買うのは私の役目になった。

クソ旦が普段来ているジャケットやパンツを持って

デパートまで行き、

「これと同じサイズのを下さい」と頼んだ。

「ご本人さんが来られた方が・・」と店員さんに言われても、

「本人は忙しくてなかなか来れないので」とウソを付き、

予算が合う中から良さそうなのを選ぶしかなかった。

私は一人で買いに来ている男性客を見るたびに、

「自分の服なんだから自分で買いに来てくれればいいのに」と

ますますクソ旦が恨めしくなった。


ある時、こんな事があった。

近所の大型スーパーの紳士服売り場で

「大きなサイズあります」という張り紙を見かけた。

嬉しくなってクソ旦のサイズがあるかどうか尋ねると、

明らかにぎょっとした顔で、「そんな大きなサイズありません」と

まるですごい事を聞かれたかのように答えた。

そして私が帰ろうとすると、その場にいた二人の女性店員が

私の背後でブッと吹き出した。

「3Lだって~」

・・私は悔しくて涙が出そうになった。

なんでこんな思いをしなければいけないのか。


それから、こんな事もあった。

ますます太るクソ旦のパンツのウエスト部分をリフォームしてもらおうと、

違うスーパーの「服のリフォームコーナー」に持って行った。

その時はたまたまクソ旦も一緒だった。

受付のおばさんはジロッととクソ旦と私を見比べ、

「○○日に出来ますので取りに来て下さい」と言った。

さて、その日に私が取りに行くと、受付のおばさんは笑いながらこう言った。

「あんた、よっぽどご主人に愛されて結婚したのね」

「え??どうしてですか?」と驚いて問い返すと、

「だって・・あんなすごい不格好なご主人・・

 あなたみたいな小柄で可愛い人が、よく一緒になったなあ、と思って」

そしておばさんはクスクス笑った。

私はよっぽど何か言い返してやろうとおもったけれど、

黙って帰ることにした。


・・私はそんな悲しくて悔しい思いをしながら

クソ旦の服をあちこち買いに行かなければいけなかった。

クソ旦に事情を話しても、ただ「うるさい!黙れ!」とキレるだけ。

そんな事ぐらいガマンしろ!と言いたげなその態度に

もう黙るしかなかった。


そのうち、通販でもキングサイズを扱う所が出来、

しかもデパートよりも値段が安いとあって、

やっと楽にクソ旦の服が買える、とホッとした。

ただ、気に入らないデザインがある場合はデパートにも行き、

通販とデパートを併用することにした。


でもこんな思いをして買った服を、

クソ旦は、「こんな服イヤだ」と一度も袖を通さない事もあった。

キングサイズの服はオヤジっぽいデザインのものが多い。

と言うか、同じデザインでも、キングサイズと言うだけで

ダボッとしまりのない、冴えないデザインに見えてしまう。

それを「ダサイ」とか、「お前もセンス悪いなあ」と責めた。

安くで買った通販のシャツを、

「こんな安物のペラペラ、着るのイヤだ」

と吐き捨てるようにいうこともあった。


うちの家計じゃ、こんなものしか変えないのよ!

それに、あんたがもっと自己管理してダイエットしてくれれば

安くて良い服なんか、そこら中で買えるのよ。

自己管理もしないで全部私に任せて

文句だけ言うあんたが悪いんじゃないの!


・・私はのど元まで出かかった言葉を飲み込み、

クソ旦が「イヤだ」と言った服を黙ってゴミ袋に捨てた。

料理の時と同じ。

心を真っ白にして。


もう、何度、こういう風に心を真っ白にしたことだろう。

「悲しい」「辛い」「みじめ」と想わないですむように

感覚を麻痺する習慣が身に付き、

私はクソ旦に自分の本当の気持ちが悟られないよう、

ウソの笑顔がとてもうまくなっていった。



・・・服のことだけじゃない。

クソ旦は生活の全てを私に任せっきりと言うか、

本当に、

本当に何もしない、してくれない人だった。

「仕事さえしてたらいい」と想っていた人だった。


よくクソ姑が、

「あなたの内助の功のおかげで、息子も仕事が出来てるのよ。

 夫婦はそうやって助け合わないとね」

と、お礼を言うふりをして、

何も出来ないうちの息子の世話を焼くのがあんたの仕事、と

暗に言い含めることがあった。


私はクソ旦のいないところで、クソ姑にはいつもこう言うのだった。

「そうですね。あの人、なーんにも出来ない人ですから。」

卑怯かもしれないが、クソ旦の恨みをクソ姑に吐き出すことで

私はまだ憂さを晴らしていたのだろう。

クソ旦がよくキレることも、「あの人、すぐ怒りますから」と言い、

「お前のバカ息子には手を焼いてるぜ」と言うのを

クソ姑にはチクチクと正直に言うことにしていた。

そのたびにクソ姑は困ったような顔をしていた。


でもクソ姑も思い当たる節がいっぱいあるのだろう。

クソ舅も典型的なモラハラ男だったから。

長年教師をして来て、どこから見ても温厚な立派な紳士なクソ舅だったが、

家の中ではクソ姑に怒鳴り散らして威張り放題だった。

「このグズ!さっさとしろ!」

「ヨタヨタ歩いてないでさっさと歩け!」

脳梗塞で足に麻痺が残った妻に向かってこの暴言。

しかもこのクソ舅、家の中で問題が起きても知らん顔だった。

クソ義両親は長男一家と同居していたのだが、

長男が妻に暴力を振るい、浮気を繰り返していたことで夫婦仲が悪化。

それが原因で妻は新興宗教にのめり込み、

子供たちは家庭内暴力や引きこもり。

長男は会社に単身赴任を申し立て、

とっとと家を飛び出し、一年に1度ぐらいしか家に帰って来なくなった。


そんなひどい状態でも、クソ舅は

「お前の育て方が悪いからこうなった」と妻に責任を押しつけて、

あとは知らん顔だった。


自分たちの兄がそんな状態で、親も寝込むほど困っているのに、

クソ旦やクソ旦のもう一人の兄も知らん顔。

「よく知らない他人がへたに関わると問題が悪化する」

とか何とか言って、知らぬ存ぜぬを通していた。

よく知らない他人って・・・あんたら兄弟だろ?

兄弟や親が泣いて困ってるのに知らん顔かよ!


しかし、見事なもので、父親がモラ男なら、

息子三人ともども、モラ男にDV三昧。

父親の父親・・つまり、クソ旦の祖父もDVだと聞いた事があるので、

やはりDVは連鎖するんだなあ。


しかもあの家はすごい男尊女卑だった。

またいずれ書くが、男尊女卑を絵に描いたような儀式もあった。

こんな家だから、クソ旦のような男が生まれ育って当然。



さて、話がそれたが、

クソ旦は家のことを何もしないヤツだった。

普通の男性なら出来そうなちょっとした電気仕事。

テレビとビデオをケーブルでつなぐとか、

あげくの果てはビデオの録画すら出来なかった。


大工仕事もそうで、ちょっとドアのねじが取れたぐらいのことも

全くしなかった。

電気もDIYも全部私がした。


車の運転だって、免許を取ったのは結婚して8年目。

離婚寸前まで行って、私を引き戻すために

「免許を取るから」と自分から約束し、ようやく取りに行ったのだ。


それまではどこへ行くにも免許のある私が車を運転し、

彼のお出迎えをやらされた。

いつも偉そうに助手席に座り、

何か気にくわないことがあると、

運転中の私の後頭部を殴ったり、

足を蹴ったりした。


何にも出来ず、やろうとせず、

家庭を築いていこうと言う気のない、幼稚な大人。

気にくわない事があれば体や言葉のDVで

サンドバッグのように私の心を傷め付け放題。


クソ旦は大家族の中で生まれた一番末っ子。

相当周りの大人たちに甘やかされて育ったと言う。

いつも誰かが自分のご機嫌を取ってくれて

その役目を今度は私に押しつけたのだ。


言っておくが、私は元々、男に尽くすタイプではない。

自分の事は自分でする男が好きだし、

クソ旦と付き合う前はそんな自立した男性と付き合っていた。

だから、何でも私にやらせて

太っている自己管理すらしないクソ旦にはいつもイライラしていた。

「自分の事ぐらい自分でしろよ!」

何度そう言いたかったかわからない。


しかもクソ旦の稼ぎは少ないし、金遣いが荒い人だったので、

私は常にフルタイムで働き、内職もしていた。

それに家事までやり、クタクタだったのに、

何の手伝いもしてくれず、むしろ、さらに世話を焼かせた。

結婚前には家事分担が約束だったのに、あっさりと棄却され。


でもDVと言うムチを打たれ、文句を言う事は許されなくなった。

むしろ、ニコニコ笑顔で機嫌よく、

クソ旦を気分よくさせることを常に要求された。



ああ、私ったら。

本当によくやってたなあ。

あんなクソ男のために15年も一生懸命、

辛いキモチを麻痺させてまで、よく耐えて来たなあ。


結婚前、付き合ってる時はホントに「いい格好しい」の連続。

金払いは良かったし、何だかいつも格好つけてプライド満点。


会社でも部下の子たちにおごりまくってたし、

外ではよっぽどいい格好してたんだろうな。


だから離婚の話し合いの時の、「オレ、慰謝料払えない。金ないし」には

腹が立ったけど笑ってしまった。

プライド男の情けない姿を見て、ざまあ見ろ!と想ってしまった。


今回の離婚でも、きっと会社や仕事先で、

「嫁さんに逃げられた哀れな男」と陰口を叩かれていることだろう。

「教職者の家」と言う世間体だけが大事だったクソ舅やクソ姑も、

とても恥ずかしくて息子の離婚を世間様に話せないに違いない。

でも近所ではコソコソ陰口叩かれて

身の狭い思いをしているに違いない。

ざまあ見ろ!


ああ、何度も言うが、あんなヤツらと縁が切れて良かった。

しみじみとそう想う。




「オレほど楽な人間はいねーよ。

 機嫌良くさせてくれてたら良いんだから」


クソ旦の口癖だった。


そうよね、楽よね。

怒らせなかったら良いんだから。

いつも「バカな私」を演じてたら良いんだから。


・・今思えばバカバカしい話だが

クソ旦に言われた事を素直に信じてた。

と言うか、信じないと生きて行けなかった。


機嫌を損ねてしまえば何をされるかわからない。

また殴られる?

殴られなくても不機嫌な態度を取られる?

これみよがしに「ハーッ!」と大きなため息をつかれたり、

ブスッと何日でも無視したり、

ドアをバーン!と強く閉めたり、

モノに当たったり。


たかだか、ため息だの無視だのドアの音だのと言わないでほしい。

クソ旦が不機嫌モードに入るだけで、

昔、殴られた恐怖が蘇るのだ。

死ぬほどの恐怖、戦慄・・言葉でうまく説明できないぐらい

恐ろしい感覚・・。


クソ旦は結婚して8年目でDVを止めた。

8年目の時にひどいDVを受けた私は、

もうここまで・・・と限界を感じ、

実家に飛び込むように帰った。


前にも書いたけど、それが初めてじゃない。

何度目かのDVと家出。

しかも、断っておくが、私は元々、相当ガマン強い方だ。

実家に帰るのはよっぽどのことだ。

それを何度も繰り返していたと言うことで、

どんなに日常的に虐げられていたかを解ってほしい。



さて、その8年目の時には両家の実家を巻き込んで

大騒ぎとなった。

私の両親が、「もうこれ以上、娘をガマンさせられない」と猛烈に怒り、

私にも別れるように勧めた。

私も今よりはうんと若かったし、やり直しも出来る。

もっとまともな人と再婚して、

クソ旦といては得られない「幸せな家庭」だって持つことが出来る。

親として当然のキモチだろう。

私も限界を感じて、離婚を決めた。



でも、クソ旦の、「もう一度だけチャンスをくれ」と言う必死の願いに

負けてしまった。

クソ旦の実家の両親と兄弟が、私の両親に謝りに来た事も

私の心を動かした。


でも、私の両親は必死で止めた。

あんな男にやり直せるはずがない。

ただの甘っちょろいボンボンだ。

あんなヤツといてももっと不幸になるだけだ。


でも、私は止める両親を振り切ってクソ旦の元に戻ってしまった。

「今度こそ、信じてみよう。もう一回頑張ってみよう。」

・・・と書くと、夫を信じて付いて行こうとする

けなげな妻を想像させて、美しい感じがするが、そうじゃない。

前回も書いたように、私はクソ旦の「アメ」、

つまり、DVの「ハネムーン期」に負けてしまったのだ。


今、DV被害者のためのセミナーやカウンセリングを受けたりして

DVについて学んでいるが、

この「ハネムーン期」に負けて戻る人がとても多いと聞いて

ものすごく納得した。

「DV被害者は平均して7~8回は加害者の元に戻る」

と言う、調査報告もあるぐらいだ。


私が以前見たDV掲示板では、

「もう10回以上も、夫の元を出たり戻ったりしている」

と書いていた人もいた。

今では夫の方がその奥さんをバカにしてしまって、

「またか」と相手にしないらしい。

今度こそ別れようと決心して家を出ても、

DVを振るって謝るどころか、

「いい加減にしろ」と怒るらしい。

それでまた恐くなるのと、

帰った直後に夫が優しくなるの事にまた期待してしまって、

すごすごと戻るのだと言う。


バカだな、いい加減に学習すればいいのに・・と

思わないであげてほしい。

前回も書いたけれど、それぐらい加害者の元を離れるのは

被害者にとって大変な事なのだ。


変な宗教に洗脳されてしまった信者を

脱会させるのと似ていると思う。


こういう場合、絶対に、第三者の力が必要だ。

出来ればDV被害に理解のある専門家が良い。

各都道府県にDV被害者支援センターみたいなところがあるが、

被害者はまずそこに相談してほしい。

何時間でも、何度でも、しつこいぐらい、

支援センターの専門家に話を聞いてもらって、

そして、加害者から離れられるよう、

力をもらってほしい。


私の経験上、身内や友達はあてにならない。

やっとの思いで加害者の元を離れたとしても、

「何でもっと早くに逃げて来なかった」だの、

「あなたが弱虫だから、なめられてるのよ」だのと、

全くデリカシーに欠けた責められ方をする事がある。

今まで逃げて来られなかったのには

もう、どうしようもない訳があることを、

専門家でもない素人の彼らに解るはずがない。

加害者にボロボロにされた自尊心を

さらに傷めつけられる可能性は大だ。


逆に、もしこれを読んで下さってるあなたが

DV被害者の友人なら、

どうか、専門家の力を借りるよう勧めてあげてほしい。

そして、被害者を責めたりしないで。

変に励ましたりしないで。

もし必要ならシェルターに避難するとか、

とにかく、被害者が安全に身を置けるように

専門家に相談するよう勧めてほしい。


被害者のあなたも、素人である友達に相談して

変に納得させられないでほしい。

私が友達に相談して多かった答えは、

「怒らせたあなたにも原因はあるんじゃないの?」

「どこの家でも何かしら問題があるのよ。

 ご主人を怒らせないよう頑張ってみたら?」

「夫婦j喧嘩は犬も喰わないって言うしね。」と、

本気に取らない人もいた。


まあ、まだDV防止法が出来る昔の話だし、

DVと言う言葉もなければ、

社会的に問題にもなっていなかった。

だから友達も本気にしてくれなかったし、

私も、「私が悪いから殴られるんだ。大したことじゃないんだ」と

自分に言い聞かせて、感覚を麻痺させようとしてた所があった。

実家に戻っても、そのころはまだ両親も

「ガマンしなさい。あなただって悪いのよ」

と私を悟らせた。


もっと早くにDVが社会問題になっていたら・・

残念でならない。



さて、話がずれてしまった。

8年前にクソ旦と離婚寸前まで行きながら

もう一度やり直そうと戻った私。

クソ旦は確かにDVをピタリと振るわなくなった。

一見、ガマン強くなったように見えた。


「オレはDVを止めた」

がご自慢のようで、だからすごいだろ、とでも言いたげだった。

私も「止めてくれてありがとう」と心から感謝していた。

私のためにDVを止めてくれた、優しい人、と思っていた。


でも、それって大間違いなんだよね。

去年、ある専門家にクソ旦とのことを相談したら、

「良いですか?DVなんて振るわないのが当たり前ですよ。

 そんなことを感謝なんてしなくて良いんです。

 むしろ、DVを振るって悪かった、

 今まで辛い思いに耐えてくれてありがとう、と

 感謝すべきは夫の方でしょう」

と言われて、ハッと気が付いた。


言われてみればそうだ。

DVなんて振るわないのが当たり前。

振るっちゃいけないんだ。

それを止めるのは当然のこと。

それを感謝なんかしなくていい。



でも、感謝するようにコントロールさせられてるんだよね。

被害者の心境って、そうなんだよ。

「DV止めてくれてありがとう」

「優しくしてくれてありがとう」

「こんな私を生かしてくれてありがとう」

・・ホント、これぐらい卑屈な心境なんだよ。

だって、支配者に仕える奴隷にされてるから。


支配者に逆らうことなんて、死んでも出来ない。

もちろん相手が恐いのもあるし、

相手に逆らうことに

強い罪悪感を植え付けられ、

自分に対する自信も奪われているから、

支配者である加害者に逆らおうと思っても、

「逆らうなんて、そんな事を思う私が間違ってるんだ

 正しいのはあの人なんだ」って

思ってしまうんだよね。

もう、本当に、奴隷の心境。


私、今はもうだいぶ回復したけど、

クソ旦といる時は、自分の事を、

「私は生きていてはいけない、ダメ人間なんだ」

ぐらいに思っていたもん。

だって、「お前なんか何も出来ないダメなヤツ」とか、

「お前と言う人間が、オレは恥ずかしい」とか、

「お前なんか最低の人間だ!」

「人間のカスだ!死ね!」

なんて、何度も言われてごらん。


ついでに頭を殴られてごらん。

蹴られてごらん。

自分がどんどんボロ雑巾みたいに

生きる価値のないヤツに思えて来るんだから。


そう言えば、「死ね!」って後頭部を殴られて

後ろから蹴られた時は、いつも、

自分がボロボロの服を着た、弱々しい子供に思えたなあ。

私はれっきとした人間で、それなりの社会経験も経て

出来ることもいっぱいある一人前の大人なのに、

クソ旦といると、そんなの吹っ飛んじゃうんだよね。

「何にも出来ない、生きる資格もないゴミのような人間」

・・そんな風にしか思えないのよ。


そんな風に思って、15年間生きて来たんだ。

もう、死ぬしかないんだ・・・って思い詰めて、

カッターで手首を切ったんだ・・・。

こんなダメ人間、生きていたってしょうがないでしょう。

あの人の言う通り、生きて恥をさらしているだけだよ。

生きる価値ないよ・・・・



そして私は心をぶっ壊したんだ。

と言うか、クソ旦にぶっ壊されたんだ。


それで精神科に行き、3ヶ月近く入院をし・・・

最初は閉鎖病棟で、カギ付きの部屋で厳重警戒だったよ。

自傷行為があったし、自殺の危険性もあったしね。

それぐらい、クソ旦にぶっ壊されてたんだ。

それが1年前・・・

今はウソのように順調に回復しているけど、

それでもPTSDとウツは残っていて、

不安定な波に苦しめられている。

いつ回復するのか社会復帰出来るのか全く不明。



明らかに、クソ旦のDVとモラハラによる後遺症なのに、

「それをさせたお前が悪い」と言う認識しかないんだよね。

全然自分が悪いって思ってないし、

「何をいつまでも被害者ぶってんだよ。しつこいな」って

思ってるんだろうね。



でも、クソ旦。

お前のやったことは、れっきとした犯罪だよ。

DVは明らかに法律違反だし、

私が堂々と生きる権利、

恐怖と不安なくモノを言える権利、

自己主張する権利・・

基本的人権を奪った、立派な犯罪行為なんだよ。


私が自殺に成功して死んでたら、

間接的にお前が殺したんだよ。

クソ旦、お前、人殺したんだよ。



でも、そんな感覚ないんだよね。

お前、バカだから。

「ボクは何も悪いことしてないも~ん」としか思えない

バカなお坊ちゃまだから。

どうせお前のおっかさん、つまり、クソ姑も、

「勝手に実家に帰って、病気だなんてオーバーな・・

 うちの息子を不幸にして可哀想に・・

 なんてひどい女なんでしょう。」って

親戚集めて私の悪口大会でもしてんじゃないの。


息子の暴力に一度だけ謝っただけで、

「でも私の苦労に比べたら、あなたの暴力の苦労なんて

 全然大したことないわ」と言いのけた

とんでもないクソ姑だったしね。


でも、そんな人たちと別れられて良かったよ。

もし別れずに戻ってたら、

「勝手に家を飛び出して、

しかも息子さんに苦労かけてすみません」って土下座して謝されて

あげくの果ては、クソ旦の兄の嫁さんたちに、

クソ姑と舅の介護を押しつけられてたよ。

それでなくても、長男と次男のクソ嫁たちに

なぜか三男の嫁の私が、親の世話をさせられてたけどね。



・・・話がずいぶんあっちこっち飛んでしまいました。

もう、書ききれないぐらい、いろいろあった15年だったので。



と、書いていたら、クソ旦からメールが来ました。

私がクソ旦からのメールも手紙も無視してるので、

「何があったのか」と聞いて来たのです。


これも無視するつもりだけど、

内面は穏やかじゃないです。

「無視したらエライことになる(怒らせてしまう)」

「常識として返事は出さないとまずいのではないか」

などと、恐怖と不安と、罪悪感が

未だに私を苦しめ、

返事を出さないで無視することに

動揺させています。


だいたい、心配もしてないのに

心配するふりすんな!

心配するんなら、見舞いのひとつ、

慰謝料でも寄越せよ、バーカ!

私が精神病院にいる時も

人ごとみたいに手紙寄越して、

「あなたは今まで頑張りすぎたんじゃないですか?

頑張る性格を直しましょう」って書いて来やがった。


頑張らせたのはお前だろ!

お前が恐怖と不安で私を常に緊張させ、焦らせ、

お前が家のことを見事に何もしないから
(自分の履いた靴下を洗濯かごに入れる事すら、

 男なら誰でもやれそうな、ビデオの録画すら出来なかった

生活面では全部私がやらざるを得なかったんだよ。

お前が何もしなかったから

私が全部家のことをしなきゃいけなかったんだよ。

フルタイムで働きつつ、内職もしながらね。

あんたの安月給と金遣いの荒さのせいで、

私は家のことと、仕事とで相当頑張らないと

生きていけなかったんだよ!



それと、もう離婚したんだから

お前とは縁が切れたんだよ。

連絡してくんな、クソ男!

勝手にどっかで生きてろ!

優しいママに甘えて面倒見てもらえよ、ボンボン!

全く、ろくな子育てしなかったね、クソ姑。

3人の息子は全員、暴力男で

パートナーと家庭を作って行く心構えが全くなくて。


はー、とにかくそんな家と縁が切れて良かった。

ようやくそう思えて来たわ。

別れた直後はずいぶん離婚を後悔したけど、

もう、離婚して大正解!


だから、DV男と別れるかどうか迷ってる人に言いたい。

もし、別れを選択すれば、あなたの前にあるのは明るい未来。

戻れば、地獄。

へたすれば前よりひどい地獄かも。

脅すわけじゃないけど、それぐらい用心して

今後のことを考えてほしいです。


被害者の皆さんに、明るい未来がありますように。

同じ道を経て来た者として、心からお祈りしています。



DVのサイトをいろいろ見て過ごす。
被害者の相談やつぶやきがいっぱい。
被害者の中には私のように離婚する人が多いが
中には別れずに夫とやり直す人も結構いるみたい。
この間も、夫とやり直す道を選んだ人の手記を読んだ。
でも無理だと思う。
DV男が改心するなんて、あり得ない。
DV男の脳は、一生そのまんまよ。
断言してあげるわ。
元夫のDVが原因で何度も家を飛び出し、
その都度「もうしないから」「努力するから」と誓った元夫。
確かにDVは止まったけれど、
暴言は相変わらず。
私を支配するのもそのまんま。
結局、妻を貶めて自分が上位に立ち、
「オレ様ルール」で生きようとする発想は変わらないのよ。
今までたくさんのDV被害支援者の人たちに会って
話を聴いた。
多くの被害者、加害者にも会って来たベテランたちだ。
彼らも口を揃えて言っていた。
「DV男は変わらない。」と。
「離れるのが一番だ。」と。
でもなかなか加害者の元を離れられないのよね。
ひどい人だけどでも愛してる、って言う気持ちもあるだろうし、
「お前はオレなしでは生きていけない」って
洗脳されてしまってるし、
そして恐いのは加害者が与える甘いアメ。
ほら、加害者って、DVの後に「ごめん」って優しくなるでしょう。
この優しさが被害者にはたまらなく甘いアメなの。
この味が忘れられなくて、つい加害者の元に戻ってしまう。
「今度こそ優しい人に変わってくれるんじゃないか。」
「いい関係でやり直せるんじゃないか」
って期待してしまう。
それぐらい、DVの後の加害者ってうまく化けるのよね。
これにホロッとだまされて、「もう一度信じてみよう」って思ってしまうのよ。
このアメの時期のことを「ハネムーン期」って言うんだって。
DVにはサイクルがあって、DV爆発期、ハネムーン期、
それから何も起こらないけど、DV潜伏期みたいな時期、だったかな。
このハネムーン期に被害者は弱い弱い。
私も何度この時期にくじけた事だろう。
離婚した後も、クソ旦がメールや手紙を寄越して来て、
ずいぶん優しいことが書いてあった。
クソ旦のせいで自殺未遂や精神科入院までさせられたのに、
いつの間にやらそんなこと吹っ飛んで、
すぐにクソ旦の元に戻りたくなった。
離婚したことを何度も何度も後悔した。
別れずにやり直せばよかったのかも・・って。
でも、DV被害者支援の人たちから、目を覚まして!って強く言われた。
これはアメよ!
アメの味に騙されて、また地獄に戻るの?
もう一度、奴隷になりたいの?
誰のせいであなたは自殺未遂までしたの?
あなたの自尊心を奪い、命まで奪おうとした人よ。
あなたを殴って傷めつけても、謝りもせずに、
「殴らせたお前が悪い」と言いのけた人よ。
彼は無意識で、アメであなたを支配しようとしてるのよ。
もう戻らないで!
彼の奴隷としてなんかじゃなく、
自尊心を取り戻して、あなたらしい人生を生きて!
・・私は彼らのおかげで、アメに騙されずにすんだ。
でも、すごい意思の力が必要だった。
だから、被害者がすぐ加害者の元に戻ってしまうのは
仕方がないことかもしれない。
ものすごい意思の力が必要だし、
アメに惑わされてしまう自分の目を覚ましてくれる
第三者がいないと、独りではとても無理。
そのぐらい、加害者と別れるのは大変なことなのだ。
今日、DVの掲示板を見ながら、
「加害者の元に思いとどまる」ことを選んだ人に
思わず叫びたくなった。
「戻ってはダメ!勇気を出して別れて!
 そんな男のために自分の一生を台無しにすることはない。
 自分を大切にして!目を覚まして!
 今、あなたは加害者に支配されて洗脳されているのよ!」
そして、ここでは名前を出さないが、
「夫とは別れずに、夫婦で助け合ってDVを直しました」
と手記を出した人にはムカムカ来た。
まるで、「愛の力があればDVは直せます」とでも言いたげ。
愛だの信じるだの、神の力だのと言った
うわべだけやたらに美しい言葉の羅列や、
少女趣味なイラストや言い回しが、私を猛烈にいらいらさせた。
「DVを愛の力で直しただなんて・・
 ただあなたが離れられなかっただけでしょう?
 単なる「共依存」じゃないの?
 今はDVが止まっているだけで、いつまた再発するかわからないじゃない。
 弱い者を痛めつけて支配する思考まで治ったと言い切れるの?
 たかだか何年かの経過で、治ったなんて断定するんじゃないわよ。
 甘っちょろいこと書いて、DV被害者の心を揺さぶらないで!
 せっかく離れたほうがいいケースでも、
 また元に戻ってしまう哀れな被害者が出てくるかもしれないのよ。
 あんた責任持てるの?」
DVで死ぬほど苦しんだ私にとって、
それは本当に甘っちょろい、吐き気がするほど甘っちょろい本だった。
こういう本に騙されて、ヘタに加害者の元に思いとどまろうとする被害者が
増えないことをただ祈る。