バレンタイン前夜、

友達に贈るチョコと、彼に贈るチョコを作った。

出来る限りのラッピングをして。



バレンタイン当日はマラソン大会だった。

丸1日マラソン大会。

マラソン大会のことよりも、彼にチョコを渡すというイベントのことが私のなかでは大きかった。

いつ、どこで、どんなタイミングで渡すのかなんて、きちんと考えていなかった……


登校してからは、

クラスの女の子たち同士でチョコを渡し合った。

そんな中で彼に渡せる訳がなく……


マラソン大会が始まった……

学校から近い競技場の周りを走る。

走ったら髪の毛がボサボサになってしまう……

ボサボサでげっそり疲れた状態で彼に渡すのか…

…最悪だ……

と考えながら走ったことを覚えている。



マラソン大会も終わり学校に戻り、

その後も私は彼に渡すタイミングがなく……


下校時……

みんなが帰り始めて、もちろん彼も帰り支度をしていて……

そんな彼をチラチラと見るけど渡しに行けず……

彼への気持ちを大切にしたいと思って、

彼に「今でも好きです」と伝えたくてチョコを渡すと決めたけど、

でもやっぱり渡せないかも……

私はもう諦めかけていた。



でも、

チョコを渡すと決めたことを知っていた

Aちゃんに背中を押してもらったことを覚えてる。



教室の後ろのドアから出ていく彼を追いかけて、

呼び止めた。

教室の後ろの隅っこで

勇気を出して渡した。


好きです……と伝えたかった。

でも、彼を前にして言ったのは

「これ、バレンタイン……」

だけ。


精一杯だった。

「迷惑かな、まだ好きだなんてやっぱりしつこいかな」そんな気持ちでいっぱいだった。


彼は受け取ってくれた。



その後、自分がどうしたかは記憶にない……汗

ただ、16歳のバレンタイン、

これがあの頃の私の精一杯だったと思う。