Spiderman 3 ここロンドンでは5月4日から公開されている「Spiderman 3」を観て来ました。

この映画を観る前、とあるラジオの映画レビューでコメンテーターがこう言っていたのです。

Spiderman 1 was not bad.
Spiderman 2 was very good.
Spiderman 3 is ... oh, Jesus!!

というわけで、一体どんな出来なのかと思いながら映画館へ足を運ぶと、公開直後の週末とあってロンドンの映画館にしては珍しく満員御礼。
しかも私が行ったところはシネコンで、2つの映写室で上映しているというのに満席ですから、人々の期待の高さが分かります。

それで、作品はというと・・・
ラジオのコメンテーターが「Oh, Jesus!!」と言った意味がよく分かりました・・・

たくさんのエピソードが詰め込まれているので、1つ1つが薄くて話が雑というか不完全燃焼なんです。CGが多用されており、お金がかかっているのはよく分かるのですが、それぞれのエピソードを細かく最後まで描写していないし、登場人物の心情にも現実味がないというか、少しご都合主義っぽいので共感もできませんでした。
しかも戦いの最後のシーンでは、そこかしこで失笑が漏れていました。いや、「漏れる」どころか、映画を観ていた人の半分以上が失笑していましたよ。しかも、そのシーンの直後に3分の1くらいの人が席を立って出て行ってしまいました。まだ映画は終わっていないというのに・・・

というわけで、期待していたのに残念な出来でした。
Blades of Glory 今日はウィル・フェレルとジョン・ヘダー主演の映画、「Blades of Glory」 を観てきました。

私の頭に最初に浮かんだ感想は「あんなデブなスケーターは有り得ん!」でした(笑)。
デブなスケーターとは、もちろんウィル・フェレルのことです。上半身裸のシーンもあるのですが、ちょっとぶよぶよしていて・・・見たくないものを見てしまった感じでした。

随所に笑えるシーンがありますけど、個人的には男子ペアのスケーティングがちょっと気持ち悪いし、ストーリーがあまりに現実離れしているので、今ひとつな印象の映画でした。

(あらすじ)
アウトローなスケーターのチャズ・マイケル・マイケルズ(Will Ferrell)とお金持ちに引き取られて英才教育を受けた身寄りのないジミー・マッケロイ(Jon Heder)は、2002年のフィギュアスケート世界選手権で同点優勝となりましたが、もともと犬猿の仲だった2人は表彰台の上で取っ組み合いの喧嘩を始めます。そして、それが原因で男子シングルのフィギュアスケート界から永久追放を受けてしまいます。
数年後、どうしてもスケーターとしての栄光を諦めきれない2人は、とうとうスケート競技会の抜け穴を発見します。彼らが追放されたのは「男子シングル部門」だったので、それ以外の部門で出場すれば良いのです。というわけで、永久追放を受けてないペア部門で世界選手権に挑戦することになった2人は、ペア部門始まって依頼の男子ペアということで注目を浴びはじめます。

そしてそれを面白く思っていなかったのが、ペア部門の元世界チャンピオンで数年ぶりに復帰して金メダルを狙うストランツとフェアチャイルドの兄妹ペア。妹のケイトに命じて、あの手この手でジミーたちの情報を集め、彼らのペア出場を妨害しようとします。

最後はお約束どおり男子ペアの優勝となるわけですが、破天荒なお笑い映画ですし、スケーティングシーンも茶化していることが多いので、フィギュアを芸術として真剣に捉えている方にはお勧めしません。あまり肩肘張らず、深く考えずに笑うことだけを求めるなら良いのですが・・・
Fracture 今日はアンソニー・ホプキンス主演の「Fracture」 を観てきました。

一緒に行ったイギリス人は「よく考えられていて良い映画だった」と言っていましたが、私はちょっと同意できません。というのも、何事も辻褄が合いすぎてご都合主義的なところが多いからです。

配役も、主役のアンソニー・ホプキンスに「羊たちの沈黙」で見せてくれたサイコっぽさを期待していたのですが、お金持ちの好々爺だけど少しだけプライドが高いせいでひねくれている程度のものしか感じられませんでした。

全体的に次の展開をドキドキしながら見るスリルもなく、私にはちょっと物足りない映画でした。

Break Out! 今日はお気に入りのパフォーマンス集団 Yegam Company の新作、「Break out!」を見てきました!
ワールドプレミア、世界初でたった1週間の公演ということで楽しみにしていたのですが・・・

つまらなかった・・・・悲

「Jump」 のパワフルでダイナミックなパフォーマンスが気に入っていただけに、コントとブレイクダンスを組み合わせただけなのが物足りなく、あまり脈絡のないストーリーなので、全体的にごちゃごちゃした印象が免れませんでした。


そうそう、また私たちの斜め前の人がパフォーマー達につかまっていじられていました。前回の「Jump」といい、今回といい、もう少しのところだったのでちょっと残念!

house of mirth 今日はテレビで放映していた「House of Sand & Fog」 を観ました。
見る人によって、色んな感情移入の仕方ができる作りになっており、その辺が映画製作者の力量なのだと思います。

個人的には、やはり主人公であるベラーニに肩入れしてしまいます。
家族には黙って肉体労働に耐え、相手を真っ直ぐに見つめながら話す姿は、断固とした決意と威厳を感じさせます。そして、彼は何ひとつ悪いことをしていません。移民としての苦渋に耐えながら、ひたむきに自活の道を歩んでいるだけです。結末は意外なものでしたが、このように市井で生きる人々が、ふとした行き違いや過誤からどんどん転落していく様子がうまく描かれています。

この下はネタバレ(あらすじ)なので、興味のない人は読まないでください。

(あらすじ)
ベラーニ(ベン・キングズリー)は、かつてイランで軍の大佐で政府の高官とも交流がありましたが、そのために革命後にアメリカへ亡命せざるを得なくなりました。アメリカへ持ち出せた金は限られており、金銭的にイランでの裕福な生活レベルを保つことが難しい状態です。かといって金銭的な苦境を知られたくないというプライドと心配をかけたくないという気持ちから、家族には黙って肉体労働を掛け持ちしていました。そんな彼の望みは政府の競売で家を安く買い取り、それを転売して利益を得ること。念願の家を手に入れた彼は、遠くに海と夕日を見渡せるバルコニーを屋根に取り付け、転売するために「売り物件」の看板を掲げます。そして、このバルコニーから見える夕日は電柱と電線に遮られているものの、かつて家族が所有していたカスピ海のほとりに建つ豪邸から見る夕日を髣髴とさせ、彼らの心の拠り所となります。

彼が競売で手に入れた家は、キャシー(ジェニファー・コネリー)の家でした。しかし、払う義務のない事業税の督促を無視し続けていたために差し押さえられた家だったため、キャシーは差し押さえに立ち会ったシェリフのレスター(ロン・エルダード)に勧められて公の弁護士のもとを訪ねます。一旦は弁護士も「これはカウンシル(区)の手違いで差し押さえられたものだから、取り戻せるはず」と言うのですが、最終的にはキャシーが光熱費などの請求書を無視して未払いが続いていたことが分かり、カウンシルの差し押さえは有効であると告げられます。

家を差し押さえられた後も、キャシーは家を取り戻そうと何度もベラーニのもとを訪れます。しかし、家の購入を検討している人の前で「この人は泥棒よ!」と叫んで逃げ去ったり、人の敷地となった彼の家に侵入して足に怪我を負い、ベラーニの妻に介護されたり、やることなすことが少し常識から外れています。というのも、彼女は以前アルコール中毒を患ったことがあり、8年前に夫に逃げられた後は働きもせず、家に篭っていたのです。
モーテル暮らしをするキャシーは宿代を踏み倒して逃げたり、働くこともなく、家を取り戻すことばかり考えて過ごしています。
その一方で、妻子のあるシェリフのレスターと不倫関係をもち、そのためにキャシーに肩入れするようになったレスターは、偽名を使ってベラーニの家を訪れて「私は移民局にもコネがある。強制送還されたくなかったら、今すぐに家を引き渡せ」と脅します。ベラーニは脅しを聞いて心配する家族に対しても狼狽することなく、気落ちする姿を見せることもなく、父として夫として不器用ながらも断固として問題を解決しようと行動を起こします。

妻子を放ってキャシーのそばにいたレスターはオフィスの前で待ち伏せしていた妻に咎められ、キャシーに「これからは夜を過ごすことはできない。いつでも君の力になるが、2~3時間以上はいられないだろう」と告げ、それを聞いて悲嘆に暮れたキャシーはベラーニのものとなった家に赴き、自殺を図ります。そんなキャシーを、ベラーニとその家族は温かく介護しますが、キャシーが夫妻のベッドで眠ってるときに、キャシーを心配したレスターが家に押し入ってきます。そして、拳銃で脅して家族をバスルームに押し込め、明日すぐにカウンシルへ行って家を手放す手続きをするよう脅します。

翌朝、ベラーニは「家は渡さない。しかし、4,500ドルの小切手を渡す」という申し出をし、レスターはそれを受けるようキャシーに勧めます。そして、その手続きをするためにベラーニと息子のイズマイルを外へ連れ出します。

外に連れ出されても後ろからレスターに脅されている親子でしたが、隙を見てイズマイルがレスターから拳銃を奪い、レスターに拳銃を向けたそのとき、警察がそれを発見して、イズマイルに照準があてられます。その状況に狼狽しているイズマイルに向けて警察の拳銃が火を噴き、彼の胸を貫通しました。
一旦は、その場で拘束されたベラーニですが、無実だと分かり開放されるや否や息子が収容されている病院へ向かいます。しかし、アッラーの神に祈りを捧げる姿も虚しく、イズマイルは帰らぬ人となりました。

レスターは刑務所へ送られ、キャシーは状況に困惑しながら、なすすべもなく海辺をさまよっていました。
帰宅したベラーニは妻に多くを語らず、大量の睡眠薬を入れた紅茶を勧めます。夫妻に間に会話はありませんでしたが、妻は夫が心中を図ろうとしていることを察し、夫を見つめながら紅茶を飲み干します。バルコニーで夕日を見つめながら息を引き取った妻をベッドに横たえ、ベラーニは大佐時代の正装に身を包み自害します。

海辺からベラーニの家に戻ったキャシーはベッドルームで夫妻の遺体を発見します。必死に蘇生を試みますが、無駄でした。

ラストシーンでは、家に到着した警察がバルコニーにたたずむキャシーに「これはあなたの家ですか?」と訪ねます。少しの沈黙の後、彼女は「This is not so my house.(私の家ではありません)」と答え、幕が閉じます。


--- ネタバレここまで ---


私が考えさせられたのは、最も真摯に生きている一家が破滅し、その原因となった女性が元アル中で妻子がある人と知りながら不倫関係をもつような人でありながら、彼女だけが罪に問われることも代償を払う必要もないことです。かといって、最終的に彼女も幸せではありません。

レスターですら彼女のために妻子と仕事を失って投獄されたというのに、キャシーからはそれに対するコメントが1つもないということからも、彼女が自分のことばかり考えるタイプの人間だということが分かります。とはいえ、彼女にも感情はあり、自分のしたことに後悔し、ずっと「これは私の家だ!」と主張し続けていたにもかかわらず、こうした悲劇の後にはようやく「もはや私の家ではなかったのだ」と理解できる程度の常識だけは持ち合わせていることが、映画の作り手の賢いところだと思います。精神的に完全に壊れた人間ではなく、元アル中で少々常識に欠ける点はあるものの、特別な悪意を持っているわけではありません。その行為は幼稚で常識を逸していますが、単に自分の家を取り返したかっただけのことです。

かといって、私にしてみれば健康な体があるのに働こうともせず、平気でモーテルの代金を踏み倒したり、妻子のある人と分かって不倫関係をもつような人に同情は出来ません。私にとっては「最低な女」でしたが、見る人によっては彼女に同情的な人も多いと思います。そのように見る者によって感情移入の仕方が異なり、さまざまな見方ができるところがとても上手な作り方をされている映画でした。