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涙なくして語れないある夫婦の物語
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仕事から帰宅すると、
妻は食事の支度をしていた。
僕は彼女の手を握り「話があるんだ」と切り出した。
妻は何も言わず席についた。
その目は苦痛に満ちていた。
ふと、僕はどう切り出したらいいのか
分からなくなった。
でも言わなければならない。
「離婚したいんだ」と。
僕は冷静に、その言葉を口にした。
妻は大したリアクションも見せず、
ただ静かに聞き返した。
「どうして?」
その問いに敢えて答えないでいたら、
妻はとうとう怒りをあらわにした。
彼女は箸を投げ散らかし叫んだ。
「あんたなんか、男じゃない!!」
その夜、口論のあと
僕らはとうとう一言も言葉を交わさなかった。
妻のすすり泣く声がかすかに聞こえた。
わかっている。
どうして僕らがこうなってしまったのか、
妻はその理由を知りたがっているのだ。
でも僕は、彼女を納得させられるような説明を
とうてい与えられるはずはなかった。
それもそのはず。
僕は他の女性を愛してしまったのだ。
妻のことは、、、もう愛していなかった。
ただ哀れんでいただけだったのだ!
深い罪悪感にさいなまれながら、
僕は離婚の「承諾書」を書き上げた。
その中には、家は妻に譲ること、車も妻に譲ること、
僕の会社の30%の株も譲渡することを記した。
彼女はそれをチラと見ただけで、ビリビリと破り捨てた。
僕がこの10年という月日を共に過ごした、この女は
僕にとってもはや「見知らぬ誰か」に成り下がっていた。
彼女が今まで僕のために浪費した、
時間、労力、エネルギーに対しては、
本当に申し訳ないと思っている。
でも自分が他の女性を愛しているという気持ちに、
これ以上目を背けることは出来なかった。
承諾書を破り捨てた後、
妻はとうとう大声をあげて泣き始めた。
ヘンな言い方だが、僕はその彼女の泣く姿を見て、
少しホッとしたのだ。
これで離婚は確定だと。
この数週間、呪いのように頭の中に
つきまとっていた「離婚」という二文字は、
これでとうとう現実化したのだ。
その翌日、僕は仕事からかなり遅くに帰宅した。
家に戻ると、妻はテーブルに向かって
何かを一生懸命に書いていた。
夕食はまだだったが食欲など到底なく、
僕はただベッドに崩れるように倒れ込み寝入ってしまった。
深夜に一度目が覚めたが、その時も妻は
まだテーブルで何かを書いているようだった。
僕はもはや大した興味もなく、ふたたび眠りについた。
朝になって、妻は僕に「離婚の条件」と突きつけてきた。
⇒
驚きの「離婚の条件」とは?