成人自閉症の方の余暇支援をするNPO、TOPOの田中一行です。
今年から、知的障害の方が理解して取り組めるスポーツ、
しかも運動量のあるスポーツの開発に取り組んでいます。

知的障害・自閉症の彼の運動技術取得

運動能力が高いにも関わらず
なぜ、そういう風に動くのか?
 

走らせたら速い

泳いでも速い

速いだけでなく機能的な動きを自然に身に着けている

 

そんな彼だが

球技(テニス)になると???

構えがぎこちない

手打ちで

体をスムーズに使ったフォームからは程遠い

体の使い方がすこぶる硬い

 

最初に使った言葉は「優しく」

声掛けは「優しく」これのみにした

自分でも「優しく」と言いながら打ち返すようになる

 

それと並行して壁打ちに取り組む

壁打ちは全部自分の責任

相手が上手いと、走り回ってそれなりに返球できる

自分のところにボールが返ってくるとそれでOKになってしまう

隣で私も壁打ちで打ち続ける
見せつける

最初はフォアハンドで

続いてバックハンド

さらに左右交互に

 

壁打ちと「優しく」の声掛けで

NMくんは上達していった

コートでラリーが続くようになると

次の声掛けは「優しく大きく」

 

フォームのことには触れない

好きなようにやってもらう

他の言葉を使うとそれを守ろうとするが

他の部分がいびつになる

不自然な動きが増える

全体的にマイナス

本人がやりやすいようにやる

それが一番いい

全体としてのまとまりがある

 

そんな彼がラリーが続くようになってから

一本打ちで「コーンに当てる」

「思いっきり打っていい」

ウヒウヒ声を出しながら

生き生きとボールを打っていた

「優しく」を真剣に意識していたのが分かった