愛の種を自分たちの庭に
いくつもいくつもまいて、
大切に育てよう。
きっといつかは美しい庭になるーーー



安西さんはデビュー2作目を読んでとっても気に入り、
今では作家買いの一人になりました。
が、
レビューを書くのはこの作品が初めてかしら???
まー、いつもの如く私が溜め込んでいるだけなので。。。

安西さんの作品は安心感があって好きなのです。
攻めや受けが相手のことが大好き大好き!!っていうのが
めっちゃ伝わってきて、
読んでいて幸せな気持ちになれるんですよね。
それに文章もすごく読みやすいので
ほっこりしたい時に安西さんの作品はいいかもですねー。


安西 リカ著「ビューティフル・ガーデン」

ビューティフル・ガーデン (ディアプラス文庫)/新書館
¥670 Amazon.co.jp
期限つきの関係だったのに、本気で好きになってごめんね。新進プロダクトデザイナーの倫(りん)は、新たに手がけることになったキッチン用品シリーズ『ザ・ガーデン』の仕事で、メーカー担当者の伊東と知り合う。ゲ/イを公表している倫は直感で彼を同類だと確信するが、伊東は過剰にそれを否定した。嫌悪感もあらわな彼の反応に苛立ち、倫が嫌がらせ半分からかい半分で誘惑してみたところ、伊東に獣のように激しく求められ……?心ふるえる年下攻エモーショナル・ラブ。


倫は家具・家電・日用品などを手がけるプロダクト・デザイナー。
倫のいる会社にとある依頼が舞い込んできた。
そのメーカー担当となったのが伊東。
倫はゲ/イを公言しており、周知の事実なわけだけど、
恋人に要求することはただ一つ。
自分との関係を隠さない事。
これがネックとなって別れることも多数。
伊東とは打ち合わせ後に飲む機会があり、ゲ/イに対して敏感に反応していた伊東に
ゲ/イを嫌っているか、隠れゲ/イか興味を持つようになり、
誘うようにからかってしまった倫。
しかし、これが発端となり、伊東が激しく倫を求めてくるようになってしまった。
しかも、これまでずっと隠してきた性癖を
倫によってあっけなく暴かれ、我慢してきたものが一気に溢れ出してしまったのだ。

自分はずっと隠し続けるつもりでいたのに、あんたのせいだ、
そう言う伊東に責任をとってしばらく発散させてやる、と倫も応戦。
回りにゲ/イだということを隠していたい伊東と
恋人には自分とのことを隠さずにいて欲しい倫とは別々の考えだけど、
これは取引であって恋人同士ではないのだから、と
2人は秘密の関係となっていく・・・
だけど、取引関係だったのに、段々と伊東のことを本気で好きになりはじめてしまった倫は・・・



話だけを書くと割とあるような話になっちゃうのかも知れないけど、
読むと安西さんらしさに溢れているなぁって感じます。

カミングアウトってBLにとっては一つのテーマでもあるし、
ストーリーの山場であったりもするよね。
伊東の考えも倫の考えもわかるんだよ。
育ってきた環境や仕事によってカミングアウト出来る人もいれば、
絶対回りに知られたくないって言う人もいる。
だから一概にどちらの考えが正しいなんてものはないと思うんだ。
なので最初は頑なな倫の態度になんでそこまで頑固なんだーって思ったけれど、
高校時代の辛い思い出が倫に
故郷も家族も捨てる覚悟を決めさせたのだ。
それを思うととても悲しくて寂しくなるのよね。
めいっぱい傷ついてきた倫は、
だからこそ嘘偽りなく自分を恋人だと公言してくれる人じゃなきゃ
恋人となる気はないわけ。
かたや伊東は素敵な家族に囲まれ、
特に兄は早世した父になりかわって自分の面倒を見てくれたこともあり
そんな兄をがっかりさせることはできないと思っている。

そんな倫だったけど、どうしても伊東を離したくなくて、
自分の考えを変えてでも伊東と付き合っていきたいと思った矢先、
伊東から他人行儀な態度をとられ、もう時既に遅し・・・と後悔してしまうんだよね。
その時、初めて倫は同僚から言われた言葉が身に染みるの。
それが「折り合う」ってこと。
自分の主張を押し通すだけでなく、ある程度ひくことも大事なのだと。

安西さんのいいなぁって思うところは
こういう心の揺れ具合がすごく自然で
相手を思う気持ちが伝わってきて、思わず主人公たちを応援したくなっちゃうとこ。
最初は恋愛経験豊富で年上で才能あるデザイナーの倫と
仕事は出来るけど恋愛ではちょっと晩生でウブな伊東という図式が
徐々に読んでいくと変化していくのもいいよね。
その変化もまたとてもなめらかというか。

倫が自分の考えを変えてでも付き合っていきたいと覚悟した途端、伊東はあんな態度だし、
それで諦めかけたら、今度は伊東から追いかけてくる。
ちょっとした掛け違いはあったけれど、
結局は互いを思い合っているので、
2人でずっと一緒にいるための最善の方法を考えよう、と
伊東が言ってくれて良かったよぉ~。
てか、これじゃどっちが年上だかわからんなw(一応、倫の方が経験豊富な年上なんですけど~w)

安西さんの作品はいつもだいたい2部構成で、
1部がくっつくまでだとしたら、
2部はその後の2人の絆が益々強まるエピだったりする。(いちゃLOVE度が上がるともいう)
今回は倫のトラウマの原因である
先輩のことや家族のことに決着がつくって感じかな。
倫は高校時代、先輩(♂)と付き合っていたけど、
保身を考えた先輩に酷いことを吹聴され、それが狭い田舎に広まり
家族にも知られることとなって、家族とも疎遠となった原因になってしまった。
いろんな誤解や後悔がそこにはあったんだけど、
倫がそれを乗り越えて(もちろん伊東の手助けや先輩への宣言もあってのことだけど)
家族ともまたわかり合える・・・って感じのラストで、
本当の意味で大団円ですね。

読後感がタイトルのように爽やかなので、
読んでいて笑顔になれるそんな作品なのでした。


H度ドキドキドキドキドキドキ
ストーリー度満月満月満月満月



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