どうしてあんな男のために
自分がこんなに傷つけられなくては
いけないんだろうーー


これって
受けも攻めもとにかく性格が悪い!
という話を聞いていて、
ちょっと身構えていた作品だったんだけど、
まー、こういう性格の悪いキャラを主人公に据えるあたり
木原さんらしいといいましょうか~w

二部構成になってまして、
2カポー出てくるんだけど、
どちらのカポ-も
性格はいいとは言えないんだな~。

だけど木原マジックで読んじゃうんだよ。


木原 音瀬著「セカンド・セレナーデ」

セカンド・セレナーデ―full complete version (新装版) (ビーボーイノベルズ)/リブレ出版
¥1,188 Amazon.co.jp
「初めてだと言うわりには、まあまあよかったよ。相性も悪くなかったしね」一途に好きだった高校時代の先生に大失恋してしまった大学生の掛川。しかも先生の秘密の恋人は、自分の友人だった。なかばやけっぱちに誘った年上の男・橋本は、顔は極上だが性格は最悪。カラダで失恋の痛みを慰めてもらうには、うってつけの相手だったが…。商業誌未発表作など、すべてをコンプリートした、あの幻のデビューノベルズがついに新装版で登場。


最低、最低、最低男が出てきます!
絶対こんな奴恋人にしたくないし、上司にだって、同僚にだってなりたくない。
ほんと、最悪なのに、いつの間にか彼をちょい応援しているんだよな~。


「水のナイフ」
生徒×先生
高身長でなかなかのイケメンであると自負している明智は、高校の文化祭で
映画作りに参加することになる。もちろん演じる側で。
というのも相手役が校内一の美女と噂の大友だからだ。
これをきっかけに大友と付き合うことを目論んでいた明智だったが、
大友の好きな人が映研顧問の砂原先生だと耳にしてしまった。
砂原にアドバイスを受けながら映画を作っていくことになった明智たち。
こんな冴えない奴のどこがいいんだと砂原をバカにしていた明智だったが、
大友が砂原に告白するかも知れないと知り、焦ってしまう。
そこで明智は大友には砂原先生との恋を応援すると言いながらも、
砂原には大友が告白してきたら振って欲しいと頼み込むのだった。
砂原がなぜ明智にそんなことを頼まれなくてはならないのか疑問を口にすると、
明智は砂原のことが好きだから誰のものにもなって欲しくないのだと嘘をつく。
心の中では砂原を小馬鹿にしていた明智だったが、自分のついた嘘にどんどんハマっていくのだった・・・


自分に自信があるんだったら、
砂原に断ってくれと頼むまでもないと思うんだけど、
きっと明智はみてくれに自信はあっても中身がうすっぺらなことは自覚していたんだろうね。
だからこそ外見で惹かれる事のない大友に対し焦りを感じたんだと。
砂原はもちろん明智のあれこれとアプローチにもあしらったりしていたんだけど、
明智はそれでも根気づよく砂原を好きだという演技を続ける(こういうことは努力できるんだよな)。
そして砂原が明智に傾きかけたとき、砂原に自分の我がままに付き合わせてすみませんでした、と身を引くのよ。
もちろん裏では砂原に振られたと思い込んでいる大友とそれを慰めていた明智が付き合っちゃうんだけどさ。

マジ、明智のやってることって最低・最悪なわけ。
人の気持ちを弄ぶ。
だけどさ、必ず罰はくだされる。
あんなに焦がれていたはずの大友とつきあっても砂原のことが忘れられないんだよ、明智は。
砂原を騙していたはずだったのに、自分が深みにはまっていたんだよね。
唯一、砂原はこの作品のなかの受け攻めで、嫌な奴ではないか。
明智は悪い奴というよりも子供なのだ。
でも明智のような部分というのは誰にでも持っている部分でもあると思うのよね。
実際に明智のように行動しちゃうかどうかは別にして。
考えようによっちゃあ、明智は自分が欲しいと思ったものはどんな手段でも手にいれる。
相手に迷惑かけようと関係ない行動力の持ち主ってことなのか???はた迷惑だけどww
それに振り回され、ぐったりしたであろう砂原には同情しちゃうな。
砂原・明智双方の気持ちとそのときの状況が読み手にはすごくよくわかるんで、
バカだなー明智、逃げろ砂原、ざまあ明智でも頑張れと
ついつい感情移入して読んでる自分がいます。
砂原は結局は若くてイケメンで自分にぞっこんな子をゲトしたんだから、
付き合うきっかけはアレだったけど、今は幸せそうで何よりです。


「セカンド・セレナーデ」
若手新人俳優×リーマン
2カポー目が表題作です。
攻めの掛川は1話目の「水のナイフ」に明智の同級生で出てきて、
このときは結構いいイメージだったのに、2話目でダークな子になってしまいました。
それというのも掛川は砂川のことが好きだったのよね。
でも先生はノーマルだからと諦めていたのに、明智と砂原がキスしているのを見て
非常にショックを受けてしまうわけ。
それで半ば自暴自棄になっていたところに出会ったのが超性格の悪い橋本だったのだ。
この橋本が本当に本当に性格が悪い。
木原作品だからこそこの最悪な性格の持ち主である橋本も最後には可愛く思えてしまえるわけだが、
普通ならばなんでこんな人を受けにするわけ?全然感情移入できなくてダメ!と
受け付けなかったことでしょう。
力量がある木原さんだからこそ、橋本も性格悪いなりに主役扱いとなり、
ラストあたりでは納得させてしまうことが出来るんだろうな・・・。
やっぱり木原さんの凄さを感じた作品でもあります。

橋本のことを性格が悪いとずっと書いているけど
どのくらい悪いかというと、とにかく上から目線なわけです、何に対しても。
自分は常に一流の人間で、自分の言うことは絶対だと思っている。
だから辛辣な言葉も平気で言うし、やることなすこと自己中心的。
言葉がストレート過ぎてトゲ以外ないって感じで・・・。
言われた相手は血まみれですよ~あせる
普通だとさ、こんなこと言ったら相手が傷つくな、とか、悪いから言えないな・・とか
思ったりするじゃない。
でも橋本はそんなことおかまいなし。ズバズバどんどん言っちゃう。
そうなると彼の回りは敵だらけになるのも無理ない。

砂原のことでやけくそになっていた掛川はバーで知り合った橋本の別れのシーンを目撃。
橋本のあまりの酷さに逆に橋本に興味をおぼえ、
砂原のかわりに橋本を抱いたのだ。
だけど橋本には一目惚れと嘘をついた掛川。
ここから自分のことを好きだと言う年下の掛川と女王様のように振る舞う橋本の
付き合いが始まるんですよね。
掛川は橋本のことなんかこれっぽっちも好きじゃない。
でも酷い奴だから橋本にこっそり酷いことをして鬱憤を晴らしてもいいだろうって感じなの。
ね、掛川もなかなかのブラックでしょ。
口では橋本のことが好きだから抱かせてって言いつつ、
腹の中ではベロを出している。

橋本は女王様だから持ち上げられれば気分がよい。
掛川があまりにもお願いするから抱かせてあげるって自分では思っているわけww

なかなかこの2人のやりとりは面白いというか、興味深いものがあったわ。

橋本はゲ/イだけど世間体や家族のために結婚をするという。
だから掛川にも我慢をして欲しい、良い子にしていたら結婚しても付き合ってあげる
と、のたまうのだ。

掛川も橋本のような最悪な奴なんぞどうでもいいと思っているわりには、
やっぱりどこかで橋本を求めているところがあったりするんだな。

だからエリート然としていた橋本には何か冷めた対応だった掛川だけど、
橋本が全てを失ったあとの方が優しかったよね。
確かに何もかもダメになった橋本はいつものような傍若無人ぶりは影を潜め
弱々しくて可愛く思えたけれど・・・
しかしその可愛さも数日しか続かないのが橋本らしかったがw

勧善懲悪ものでもないのに、こんなにはっきりしたヒールって
かえって面白かったかな。
しかもそのヒールが本来愛されるべく位置にいる受けであるってのも
読んでいてむかつきながらも楽しいと思わせるところがあった。

なんというか、どこか間違ったスタートから始まった2人の恋愛だけど、
最後にはしっかり愛情で繋がっているのがわかっちゃうの。
マイナーだけど俳優として活動をはじめた掛川。
そんな風になっても甲斐甲斐しく橋本の世話を焼く掛川に
橋本への本物の愛情を感じるシーンは、
監督じゃなくてもそういうことは2人っきりのときにやれって言いたくなっちゃうw


こんな性格悪カポーの話はCDにもなっていますよW
セカンド・セレナーデ/井上剛
¥5,143 Amazon.co.jp
■CAST
掛川進:井上剛、橋本道也:立花慎之介



H度ドキドキドキドキ
ストーリー度満月満月満月満月三日月



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