強情だな。
ラブって言いなよ、桜島みたいに



ご当地BLです!
タイトルの灰とは桜島から降る火山灰のことなんですね。
都会で仕事も恋もうまくいって第一線で活躍していたリーマンが
その恋愛面で嫉妬されて鹿児島県へ左遷。
東京から鹿児島・・・
最初は主人公、そんなに暴言吐いちゃっていいの?ってくらいに
悪態つくんだけど、
これがですねー、
主人公の仕事が広告代理店ってこともあって
読んでいるうちに
鹿児島って素敵、桜島って見てみたいーー!
って気持ちにどんどん変わっていくんですよね。
ちなみに私は鹿児島へは行ったことがありません。
田舎育ちですので、田舎暮らしはそんなに憧れるほどに簡単じゃないよ~と言えるけど、
降灰の苦労はわかりませんでした。
これ読むだけで、ほえ~、大変!って思っちゃう!
だけど、一度は見ておきたい、そんな桜島の魅力満載の小説でしたよ!


砂原 糖子著「灰とラブストーリー」

灰とラブストーリー (キャラ文庫)/徳間書店
¥670 Amazon.co.jp
大手広告代理店のクリエイティブ・ディレクターとして、社内でも出世頭だった久我山。ところが社内スキャンダルに巻き込まれて、鹿児島の一営業所に左遷!?仕事も土地もローカル一色でふてくされる久我山だけど、隣人で医者の中馬が、なぜか親切に世話を焼いてくれて…!?灰の降る地で咲いた恋の花ワケあり医師×美人広告マンのご当地ラブストーリー!!


2部構成になっています。
最初は恋人同士になるまで、
2部はその後の話。

鹿児島へ左遷となってクサクサした気持ちになっていた久我山。
広告代理店のクリエイティブ・ディレクターとして華々しく活躍していただけに
納得のいく異動ではなかった。
そんなやさぐれていたとき、バスに乗り込むのにも東京と違い、
並ばず我れ先へとバスの席とりをする乗客にうんざりしながら
自分を突き飛ばし、席をとった若者に怒りを覚えてしまう久我山だった。
しかもその彼はなんと男の彼氏を連れてバスの中で手をつないだりといちゃこらし始める。
思わず彼らに対して暴言を吐いてしまう久我山。
益々うんざりとしながら毎日を過ごす久我山に更なる事件が?
知らなかった事とはいえ、自宅マンションの窓を開けっ放しにしていたら
窓から見える桜島の噴火により降灰が!
外はもちろん窓をあけていた部屋の中も灰だらけ。
慣れない大量の降灰処理に右往左往していたら、
お隣の一軒家の住人である男性が色々とアドバイスと手助けをしてくれる。
感謝をし、お隣の住人・中馬に挨拶しようとお互いにマスクを取ると・・・
なんと、優しい隣人中馬はあのバスで言い合いになった、
ホ・モカップルの片割れだったのだ!


久我山は、顔もよく仕事もでき、女からも当然もてる。
でも性格は悪い。
悪態つきたくなる気持ちもわからんでもないけど、
何にでも上から目線で、都会はそんなにえらいんか?と
思ってしまうほどなんですよね。
郷に入れば郷に従え、ってあるとおり、
ええ?と思う事でも、やっぱりその土地土地に根付いたやり方なんかがあるんですよ。
それをいちいちこれだから田舎もんは!と目くじらをたてる。
まあね、久我山にとっては仕事は何も問題なく
ただ単に上司の嫉妬で飛ばされただけという不本意な気持ちが渦巻いているので
鹿児島だろうと北海道だろうと、
とにかく飛ばされたことが気に入らないんだよね。
だから何に対しても悪態をつきたくなるわけで。
だからってこんなに回りに毒をまき散らしていいわけないんで、嫌なヤツってことなんですがー。

中馬はホ・モでもなんでもなく、
単なる久我山の勘違いだったんだけど、
いくらいらついていたもああいう言い方はダメよね。
なんて言うんだろう。
久我山は仕事ができるけど、他のことはお子ちゃまなんだな。

だけど、最後まで嫌なヤツでは終わりません、もちろん。
こんなに田舎が嫌だ嫌だって言っているからこそ、
そこからの田舎愛への変身は
読んでいてなんだか彼の気持ちがわかるようでした。

最初は憎々しく忌々しいこの降灰も
久我山の心の変化によって
どんどん違う見方になっていくんですよ。
だから描写も彼の心の変化に伴い変わっていく。
そこらへんが砂原さんの上手さでもあったんじゃないかな。
最初は、

くそ忌々しい火山め

と思っていたのに最後は、

桜島LOVE

となっているわけです。
力強く美しい、そして地球が生きていると証明してくれる桜島。
広告代理店の久我山が桜島PRのプレゼンをするときも
地元じゃないからこそ、その魅力を前面に出そうと推し進める。

この作品ってご当地BLであるとともにちゃんとお仕事BLにもなっているのが良かった!
リーマンなんだkらら、恋愛ボケしているだけじゃやっぱり物足りなく感じてしまう。

中馬もこんな嫌な隣人の面倒をきっちりみてあげる良い人なのだ。
彼も結構、頑固で皮肉屋だったりするけれど、
それは相手が久我山だったからかなー。
好きになったら結構一途で相手を甘やかすタイプ。
包容力のあるタイプなので、
結局子供っぽい久我山とはお似合いなのよね。


私的には満足のいく作品でした!
そしていつか桜島も見てみたい、
そんな気持ちにさせてくれる作品でもありましよ~。
つか、九州は福岡しか行ったことがないので(しかも仕事だったので何も楽しんでない)
ゆっくり九州を回ってみたいです。


H度ドキドキドキドキ
ストーリー度満月満月満月満月三日月




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