何度だって恋に落ちる瞬間がある




声を大にして言いたい。

やっぱりARUKUさん、天才!!!!!


なんだ、なんだこの作品はーー!
題材としては高校生男子の恋なんですよ。
多く使われる題材の一つなんですよ。

それなのに、まるっとARUKUワールドになっていて、
恋する切なさとじわじわ広がる寂寥感で
涙があふれてきてしまう。

すっごくすっごく好きなのに、
まだ17歳で若い彼らは自分だけではどうにもならないこともある。
そしてまたすっごくすっごく好きなのに、
保身も考えちゃったり、そういう自分に嫌気がさして自暴自棄になって・・・。
胸キュンという言葉だけでは物足りない、
もっとギュッと心を鷲掴みにされるそんな話です。


ARUKU著コミック「ほんとは好きだ」
ほんとは好きだ (バーズコミックス ルチルコレクション)/幻冬舎コミックス
¥734 Amazon.co.jp
人里離れた全寮制のカトリック系男子校。家が裕福で大学生の彼女がいるリア充・北条は、暮らすのつまはじき者・柾が気になってしょうがない。この気持ちが恋だと気付いた北条だが、柾に伝える覚悟もなく悶々としたまま。一方、柾は図書館で、昔この学校の生徒が同級生にあてて書いたと思われるラブレターを見つけて‥‥!?


冒頭からぐいっと惹き付けられる。

北条のモノローグから始まるこの話なんだけど、

10年経った今でも17歳の時に失った恋以上に他の誰かを愛することはできない

とあるのね。
だから、悲恋もの?何が二人の間に起きたのか?とドキドキするわけです。
これが常に念頭にあるので、話が進むにつれどんなに二人の恋が上手くいこうとも、
成就する恋ではないのかな?・・・・って思っちゃうの。

そして冒頭モノローグのあと17歳の高校生時代に話が戻る。

北条は一目見てイケメンだしクラスの中心的存在だとわかる。
その北条が見つめる先にあるのは、クラスから浮いた存在の柾だ。
北条は彼のことが気になって気になって仕方ない。
でも、柾はその可愛い顔とは裏腹に言葉も態度も辛辣だ。
誰をも近付けさせない孤高の人・・・・そんな言葉がぴったり。

そんな柾が学校の図書館で見つけた一通の古いラブレター。
柾たちが通う高校は全寮制の男子校だ。
だからこのラブレターはまさに男が男宛に出したもの。

一見何の関係もないこの30年くらい前に書かれたラブレターと
北条×柾の恋愛が上手くシンクロして進んでいくんですよね~。

北条には年上の彼女もいる。なので自分がまさかホ/モだなんて思いたくないの。
本当は柾に恋をしているのに、認めたくない。

だけど、ああ、柾に恋しちゃっているんだぁって素直になった時から、
恋って偉大よね!
17歳の高校男子をポエマーに変えてしまうのよ!!!


笑わない柾が笑顔を向けてくれただけで
それは苦い苦いコーヒーに溶け込んだたった一粒の砂糖のように
僕の世界を永遠に甘く切なく変えてしまった

だとか、

はたまた自転車の二人乗りに誘われた時も
君に向かって 心が落っこちてしまいそうだよ

柾の出生の秘密を聞かされた時にも
背中に君のほっぺたを感じた
それは熱く熟れていて 僕は
これが恋だと 思い知る


柾が北条のことを嫌いと言ったりそれは嘘と言ったりそんな柾の言葉に一喜一憂する北条は、
苦いと甘いの間を引きずり回されて‥‥
意地悪されたり 甘えられたり
僕の心は君の奴隷だ


二人で行った海ではしゃいだ時だって柾を見ながら、
きっと百年後君はいない その事実に僕は泣きたくなってしまう
僕が老人になって死ぬときに思い出すのは この恋のことだと
ただどこまでも青いこの恋だ



これがポエマーじゃなくてなんと言う!???

僕の心は君の奴隷だ・・・!

これぞ恋する男の真骨頂!

そんな北条の努力の甲斐あってか徐々に柾も北条には懐いてくれる。
時々毒も吐くんだけど、それさえも可愛いと思っている北条はかなりの重症だww

柾は教会のポストに捨てられていた子供だった。
神父様が引き取って育ててくれたのだけど、小さい頃からいじめにあって、
頑なに自分の世界に閉じこもるようになってしまった。

初めて他人から好意を向けられ戸惑い怯えそれでも徐々に徐々に
心を開いていくんですね。
でも柾は北条が自分に害をなす人間だとは思っていないから、
結構最初から北条には我がまま言って甘えているのがわかるの。
ツンデレな柾なんです。
北条じゃないけど、

柾が超絶可愛くてどうにかなってしまいそーー!

ってやつですねww
柾が大事なものをしまっているクッキー缶、
あのエピもすごく好きだった!

クラスで孤立している柾に北条がどうしたら孤立しないのか、アドバイスするの。
それからちょっとクラスメイトの見る目が変わって野球とかにも誘われたり、
そこでレフトフライを捕球した柾が、このレフトフライも缶の中に入れることができたらいいなって。
そんな柾を見て、北条はクッキー缶に収まる小さな柾の世界を守ってあげたいって思っちゃうのだ。

柾も北条に対して恋に落ちてしまうのも
そういうエピソードの一つ一つが丁寧に描かれているから、
納得がいくものなんですね。

それでもね、そこは全寮制の男子校。北条だって人の目をやっぱり気にしている部分がある。
柾を好きだと思う反面、皆にもしこの秘密の恋がバレたら・・・・と思うと怖くてたまらない。

そういう気持ちがあるから悲劇が起きちゃうのよね。

でもそれを見ても北条を責める気持ちにはなれなかったな、私は。
なぜなら一番北条自身が後悔して自分を許せないって思っているから。。。。
それに北条もなんだかんだといっても17歳。
完璧に見えてもまだ子供の部分があっても当然。
母親との確執だってそのいい例だと。

それにあんな行動をとった柾の気持ちもわかるのよね。
あれは・・・・・お父さんである神父様の言葉でもあるんじゃないかな。
自分のためじゃなく相手のための道を選べって。

一番ラブラブな時にジェットコースターのように急降下してしまった二人の恋。

出だしの前振りがあっただけに、
これなのかー、これで二人は・・・って。

もっと書きたいこともたくさんあるんだけどさ、
例えば寮の自治会長とのこととかね。
最初、酷いヤツだと思ったんだけど、違ったわー。
ちょっとこういう人のことをもっと知りたくなっちゃうわね。

あ、それと肝心の30年前のラブレター。
あれももちろん、北条たちの話とともに誰のことかわかってくるの。
私、最初、ラブレターを出した主は逆だと思っていたんだよー!
あれもちょっとやられたよね。
彼らのその後も気になるなぁ。


そして、、、、
北条たちはどうなったのか。

いやー、まさか、北条があんな残念な男になっちゃうとはーー!www
でもそんな残念感満載な北条、嫌いじゃないです!むしろ好き!( ´艸`)

柾は・・・・
一体、何があったのーーー???

不良、不良だわっっっっ!!!
でも美人!!!


とにかく、普通の男子高校生の話と思わせて
読むと奥が深くて泣けてくる。

そしてポエマー北条のモノローグや
おバカ丸出しな台詞も魅力になっています!


いいもんを読ませてもらいました~!

TwitterでARUKUさんの4コマがこの北条と柾をモデルに描いていて
めっちゃ可愛いのです。
そちらも良かったら是非ーー!


H度ドキドキドキドキドキドキ
ストーリー度満月満月満月満月満月





  参加しています。よろしくねラブラブ


BL ブログランキングへ