「銃じゃなくても、これでだって殺せるんだよ? 命が惜しかったら、そのまま内田さんから離れて。少しでも妙な動きをしたら、わかってるよね?」
梓が言い終えたのを確認し、やはりおそるおそるといった風に立ち上がる――しかしそれは、梓の理想に終わった。
神谷健太郎は立ち上がると同時に勢いをつけ、頭部を梓の顎に直撃させる。
バランス感覚を失い、後ろへのけぞり机に倒れかかった梓の襟元を掴み引っ張り上げると、そのまま頬に一発、平手打ちを喰らわす。
「よし、次はこの女だ!」
声を上げると同時に、内田にやったのと同じようにやはりブラウスを引き裂く。背負い投げの容量で床へ張り倒そうと足をかけた瞬間、肩に激痛が走る。
多分、人生で最大の痛みだ。
床には何故か、紅い血液が飛び散っていて、それが自らのものだと気付くまでには数秒を要した。
「まさ……き?」
梓のかすれた声の先には、例のライフルを構えた大高が存在した。
「貴様!」
神谷は我を忘れて大高に声を上げた。梓は自らの状況をも忘れ、内田清美に「大丈夫? 内田さん」と声をかけている。
充血し、もはや人のものとは信じがたい瞳を向けられても尚、大高は視線すら反らさない。
神谷以外の4人は、馬鹿の一つ覚えが如く「傷害罪だ! 傷害罪!」などと叫んでいる。
大高は頭に血が上りながらも、真っ当な反論をしかえす。
「なら今、お前等がやってることは何だ? そこまでしなくたって、銃を持ってるか否かぐらい、わかった筈だろ!?
淫行だ。卑劣極まりない淫行、それ以外の何物でもない! 内田さんに続いて、梓まで手をかけやがって。俺はこの一連の事件が片付いたら自首するさ。次は頭を狙う」
やがて神谷が目をそらし、俯いた。しかし、そして訪れたのは安堵ではなかった。
うずくまっていた梓に再び襲いかかったのだ。
殺せる筈がない。そうタカを括っての行動は、見事に裏目に出て、神谷の頭部を銃弾が貫いた。
梓が言い終えたのを確認し、やはりおそるおそるといった風に立ち上がる――しかしそれは、梓の理想に終わった。
神谷健太郎は立ち上がると同時に勢いをつけ、頭部を梓の顎に直撃させる。
バランス感覚を失い、後ろへのけぞり机に倒れかかった梓の襟元を掴み引っ張り上げると、そのまま頬に一発、平手打ちを喰らわす。
「よし、次はこの女だ!」
声を上げると同時に、内田にやったのと同じようにやはりブラウスを引き裂く。背負い投げの容量で床へ張り倒そうと足をかけた瞬間、肩に激痛が走る。
多分、人生で最大の痛みだ。
床には何故か、紅い血液が飛び散っていて、それが自らのものだと気付くまでには数秒を要した。
「まさ……き?」
梓のかすれた声の先には、例のライフルを構えた大高が存在した。
「貴様!」
神谷は我を忘れて大高に声を上げた。梓は自らの状況をも忘れ、内田清美に「大丈夫? 内田さん」と声をかけている。
充血し、もはや人のものとは信じがたい瞳を向けられても尚、大高は視線すら反らさない。
神谷以外の4人は、馬鹿の一つ覚えが如く「傷害罪だ! 傷害罪!」などと叫んでいる。
大高は頭に血が上りながらも、真っ当な反論をしかえす。
「なら今、お前等がやってることは何だ? そこまでしなくたって、銃を持ってるか否かぐらい、わかった筈だろ!?
淫行だ。卑劣極まりない淫行、それ以外の何物でもない! 内田さんに続いて、梓まで手をかけやがって。俺はこの一連の事件が片付いたら自首するさ。次は頭を狙う」
やがて神谷が目をそらし、俯いた。しかし、そして訪れたのは安堵ではなかった。
うずくまっていた梓に再び襲いかかったのだ。
殺せる筈がない。そうタカを括っての行動は、見事に裏目に出て、神谷の頭部を銃弾が貫いた。