「別に外に限らず、校舎内にだっているよ。きっと」
「ああ、それもそうだな。いや、校舎内ならそれはそれで好都合か」
茂央が顎に手をやりながら宙を仰ぐと、頭をかきむしりながら梅崎が言った。
「ねえ、何なの? アンタ、何かいい方法思いついてるんでしょ? 言いなさいよ」
「最初にも言ったが、これはかなり危険な目論みだよ? 奴等に悟られ、先手をとられたらそこで終わりだ」
「いいから、言ってみなさいよ。どんなのかは知らないけど、アンタの頭ん中だけでぐちゃぐちゃ言ってたって始まらないでしょうが」
言い終えると、梅崎は茂央の目の前のデスクを平手打ちした。
それを見た茂央は半ば諦めた様子で、梅崎美保を見た。
「この作戦には灯油が必要になるけど、用意出来る?」
「灯油? そんなの何に使うの」
「用意出来るかって聞いてんだ」
「出来るよ」
大高がコンピューター室の黒板の横でストーブをつつきながら言った。
「灯油ならここにたっぷりある。何に使うのかは、俺も聞かせてほしいな」
茂央はストーブの側に歩み寄ると、中身のタンクを取り出して軽く上下に振る。すると、タプン、タプン、と、重みを伴う音が響く。
「もう少したくさんあると心強いんだがな。制服を浸す為のバケツは掃除道具箱の中にあるからよしとして――大高、奴等に見つかったら(ストーブを点けたいが灯油がない)とでも言えばいいから、灯油をここまで持って来てくれないか」
「わかった」
――――その後、灯油を抱えて戻って来た大高を含めた一同に、茂央は作戦を説明した。
「ちょっと待て、最初に言ったことと矛盾してないか? これじゃ此方が対抗する姿勢を見せつけるようなもの。優越感につけこむも糞もない」
真っ先に指摘したのは大高だったが、茂央には笑い飛ばされて終わった。
「大丈夫、矛盾は無い。奴等は携帯なんかの、お互いが通信をとる手段を持ち合わせてるに違いない。となれば、先手をとれば後はこっちのもの。“特に異常なし”とでも伝えさせればいいだけ」
「それでも何れは気付かれる。奴等だって馬鹿じゃ無いんだ」
「逆に気付かせればいい。何しろ、そこがこの作戦のミソなんだから」
「ああ、それもそうだな。いや、校舎内ならそれはそれで好都合か」
茂央が顎に手をやりながら宙を仰ぐと、頭をかきむしりながら梅崎が言った。
「ねえ、何なの? アンタ、何かいい方法思いついてるんでしょ? 言いなさいよ」
「最初にも言ったが、これはかなり危険な目論みだよ? 奴等に悟られ、先手をとられたらそこで終わりだ」
「いいから、言ってみなさいよ。どんなのかは知らないけど、アンタの頭ん中だけでぐちゃぐちゃ言ってたって始まらないでしょうが」
言い終えると、梅崎は茂央の目の前のデスクを平手打ちした。
それを見た茂央は半ば諦めた様子で、梅崎美保を見た。
「この作戦には灯油が必要になるけど、用意出来る?」
「灯油? そんなの何に使うの」
「用意出来るかって聞いてんだ」
「出来るよ」
大高がコンピューター室の黒板の横でストーブをつつきながら言った。
「灯油ならここにたっぷりある。何に使うのかは、俺も聞かせてほしいな」
茂央はストーブの側に歩み寄ると、中身のタンクを取り出して軽く上下に振る。すると、タプン、タプン、と、重みを伴う音が響く。
「もう少したくさんあると心強いんだがな。制服を浸す為のバケツは掃除道具箱の中にあるからよしとして――大高、奴等に見つかったら(ストーブを点けたいが灯油がない)とでも言えばいいから、灯油をここまで持って来てくれないか」
「わかった」
――――その後、灯油を抱えて戻って来た大高を含めた一同に、茂央は作戦を説明した。
「ちょっと待て、最初に言ったことと矛盾してないか? これじゃ此方が対抗する姿勢を見せつけるようなもの。優越感につけこむも糞もない」
真っ先に指摘したのは大高だったが、茂央には笑い飛ばされて終わった。
「大丈夫、矛盾は無い。奴等は携帯なんかの、お互いが通信をとる手段を持ち合わせてるに違いない。となれば、先手をとれば後はこっちのもの。“特に異常なし”とでも伝えさせればいいだけ」
「それでも何れは気付かれる。奴等だって馬鹿じゃ無いんだ」
「逆に気付かせればいい。何しろ、そこがこの作戦のミソなんだから」