「そ、そんな…だってコーンは、妖精で人間じゃないはず…。そうか!人間に変身して、コーンが敦賀さんになってたってこと?」

「あの…いや💧そう言うんじゃなくてね。元々俺は、人間なんだよ。キョーコちゃんと初めて会った時、俺に"貴方妖精さん?名前何て言うの?"なんて言うから、すっかり俺が妖精だって信じきっちゃって…。まだ君は幼かったし、純粋な子供の心を傷付けたくなくて妖精を演じてただけなんだ。ゴメン…。」

敦賀さんが、申し訳ない顔をして頭を下げて平謝りしてきた。

「妖精じゃなくて、人間なの…?髪の色も違うけど…じゃあ名前も嘘ついてたの?コーンって名前も本名じゃないの!?何で今まで、黙ってたのよ!」

私は、目に涙を浮かべながらつい怒り混じりに、ポカポカと敦賀さんの胸板を叩いてしまった。

「落ち着いてキョーコちゃん。髪は黒く染めてるんだ。名前も、少し違うけど嘘はついてないよ。正しくは、クオンって言うんだ。ク・オ・ンだよ。」

あれ?その名前、何処かで聞いたことあるような…。

「英語混じりのイントネーションで教えたから、コーンって聞こえたんだろうね。キョーコちゃんの、その呼び方に何か面白くなって、別にいいかと思って正さなかった。多分おそらく、別れた後も会うことはないだろうなと思ってたし。でも、まさかこの芸能界で再会するとは思ってもみなかったよ。」

敦賀さんは、私の頭を優しく撫でながら話しを続けた。

「ほら、あの青い石。事務所の階段から落としたことあったろ、それを見たときに子供の時に出会ったキョーコちゃんだって気付いたんだ。でも、俺は素性を隠して芸能活動していたから名乗り出る事が出来なかった。」

「何で素性隠して芸能活動してたの…?クオンって聞き覚えがある名前なんだけど。えっと…クー先生の息子さんの名前が確か、久遠って。偶然?同じ名前なだけ?それとも…まさか…。」

私は、もしかしてと思って聞いてみた。すると、瞳を閉じて軽く頷いた。

「そのまさかだよ。俺の本名は、久遠・ヒズリ。君が父親と慕う演技の師匠でもあるハリウッド俳優、クー・ヒズリの息子だよ。母は、トップモデルで女優でもある、ジュリエナ・ヒズリ。」

敦賀さん、いやコーンの思いもかけないカミングアウトに私は声が出なかった。

「俺は、アメリカで子役をしていたんだけど、両親が有名すぎて周りから七光りだコネだ。と言われてね、中々実力を認めて貰えなかった。しかも人種差別まで受けていたし…空回りしてばかりだった。やさぐれた時期もあったよ。そして遂には、家にこもるようになってしまったんだ。そんな俺を見て、父さんが宝田社長に助けを求めたら日本で一からやり直さないか?って提案してきたんだ。」

辛い顔をして俯いて、自分の過去を話す敦賀さん。私は、手が震えてる事に気付いて、そっと左手に自分の手を重ねて握ってあげた。

「クー・ヒズリの息子だって知られないために、実力勝負で芸能活動するために髪を染めてカラコンを入れて、"敦賀蓮"として俳優活動すべく15歳の時に日本に再びやって来たんだ。日本での芸能活動をする際、過去は絶対に持ち込まないって決めていたんだけどね。」

「そうだったの…。敦賀さんにも辛い過去があったんだ。」

話を終えると、今度は右手で私の頬を触ってきた。

「なのに、まさかキョーコちゃんと再会するとは思ってもみなかったよ。俺が君への恋心に気付いたのは、ダークムーンの撮影時でスランプに陥った時だったんだ。ほら、俺の部屋でダークムーンごっこをやったろ?あの時だよ。」

優しい笑みで告白してくると、私も顔が火照ってしまって自分では見えないけどおそらく真っ赤になってることに違いない。

「ぷっ。キョーコちゃんも顔が赤いよ、もしよかったら返事聞かせてもらえないかな?」

私は、もう二度と恋なんてしないと決めていた。
その感情は、人を愚かにする駄目にするとショータローに捨てられた事で見に染みていたから。
でも、またこの感情が芽生えてしまったけど、この恋心は墓まで持っていくと決めていたのに…。
敦賀さんの好きな人が私だったなんて…両思いだったなんて信じられない。
涙が止まらない…。

「き、キョーコちゃん!?どうしたの?」
「うっく、ヒック。だって、まさか両思いだったなんて嘘みたいで…嬉しくて。」
「え?それって…。」
「私も…敦賀さんの事、好きです。いつの間にか好きになっていました。」
「本当に!?うそじゃないよな?やったぁ!!ありがとう!!キョーコ!!」

私が告白すると、敦賀さんがまた思いっきり抱き締めてきてベッドに押し倒してきた。

「きゃあ!つ、敦賀さん!いきなり呼び捨て!?」
「だってグアムの時にも言ったろ?呼び捨てにしていいって。」

な、なんか…いつもの敦賀さんより何か幼い感じがするんですけど~~💦
もしかしてコッチが素なの?
それよりもー!上半身裸で、私はパジャマ上だけ着ててこの状況どうしたらいいの~~😳💦
あわてふためく私を尻に、いつの間にか朝なのに夜の帝王と化した顔が近づいてきた。すると…

「んっ!」

いきなりキスしてきた~~💦

「あ…ふぁん。ううん…。」

何度もキスしてくる敦賀さん。私も思わず声をあげてしまい自然と首に手を回していた。
そして、パジャマのボタンに手をかけて外し始めたところ…。

プルルルル!!

ベッドサイドのチェストに置かれた家電の子機が鳴ったのである。

「…いいところだったのに。誰だ!こんな朝っぱらから電話かけてきたのは!もしもし!」

『うわっ!何だよ蓮。朝から何怒ってるんだ?』

「あれ?社さんですか?」

5へ。
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ん~~何だか、こっちも長くなるのかな??(笑)
停滞してる話多いってのに、新たな連載始めちゃって何やってるんだか私は(^_^;)