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尚の小説気まぐれブログ!!

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お化け屋敷やジェットコースター。色々行った。いろいろ話した。あっという間に夕方になっていて、もう少しで彼女と別れなければいけないという自覚が出てきた。
「楽しかったねー。」
彼女が話しかけてくる。
「あぁ。」
と俺。
「・・・・・真紅。やっぱり最後は観覧車だよな。乗りに行くか?」
「・・・うん。そうだね。行こうか。」
彼女は「最後」という言葉に反応して、少し悲しそうな顔をした。歩き始めようとしたその時、彼女は僕を呼び止めた。
「まって、洋一。喉渇いちゃった。ちょっとお茶買ってくるね。」
そう言って彼女は自動販売機の方へと向かっていった。
「あ!真紅!僕にもお茶かってきて!」
「おっけぇ!」
彼女は一度振り返り僕に返事した。そのあとは振り返ることもなく、彼女は人ごみの方へと消えていった。

(もうちょっとで真紅ともお別れなんだよな。僕は彼女を楽しませてあげていられてるのだろうか。彼女は無理をしていないのだろうか。・・・いや、そんなマイナスなことを考えるのはやめよう。僕は、真紅を信じなければいけないのだから。)

「・・・・真紅遅いな。自動販売機まではそう遠くない距離だと思うんだけど。・・嫌な予感がする。まさかお茶が売ってないわけでもないだろうに。」
僕は、遅い彼女を迎えに行くことにした。

「お~い、真紅・・・って。・・え?」
僕は目の前の光景に言葉を失った。二人の男に彼女が絡まれたいるのだ。
(どうする?助けに。いや、僕に出来るのか?無理だ。でも、真紅が・・・・。痛いのは嫌だ。逃げたい。怖い。・・もう逃げるか?)
そんな最低な考えに頭をフル回転させているとき、ふと。一瞬。本当かどうかもわからないが。彼女の目に、涙が浮かんでいた気がした。
―――――何考えてるんだ。「楽しませる」って言ったのは僕じゃないか。助けなきゃ!彼女を泣かしてどうするんだよ!そんなんだったら死んだほうがマシだ!
「やめろぉぉぉぉ!!!」
ぼくは、自分がどうなるということも考えずに。その二人の前に立ち、彼女をかばっていた。
「なんだお前?」
その言葉とともに、腹部に強い衝撃を感じた。・・・殴られたのかな?やっぱ痛いな。・・・でも、僕は彼女を守るしかないんだ。
「おらっ、いきがってるんじゃねぇぞ。」
「そうだそうだ。いきなり突っかかってきやがって。」
・・・・・何分間殴られ続けたのだろう。いや、もしかしたら一分も経っていないのかもしれない。ただ、ただその間。僕は彼女のことだけを考えていた。誰かが警備員を連れてきてくれたのがわかった。あはは、守りきったぞ。・・・やった・・。
僕の意識は、そこで途切れた。

目が覚めると、さっき行くはずだった観覧車の中。彼女に膝枕されていた。
「ごめん。楽しませてあげるって言ったのに。」
「誰が楽しくないって言ったの?そんなマイナスに考えないの。ほら、足痺れちゃった。」
「あ、ごめん」
「ねぇ洋一。夕日が綺麗だよ?見てみて。」
僕は、彼女に言われるままに外を見た。
「本当だ。すっごく綺麗。」
「洋一。」
「ん?」
呼ばれるままに彼女の方を向いた瞬間だった。

チュッ


―――――え?キス・・だよな?

「えっ?」
「ダメだった?だって死ぬ前にしときたかったんだもん。」
「い、いや。べつに嫌じゃないんだけど。」
「良かった。」
その一言を行った時の彼女の顔。それを見ただけで。「順序ってものは」なんて言いたかった言葉は吹っ飛んでいった。告白した日にみたような夕日が、また僕たちを照らしているのだった。


帰りに彼女は僕の家に来ることになった。
「洋一のそばで死にたいから。大丈夫、家族はもう居ない。一人暮らしだから。」
と言って聞かなかったからだ。僕にも家族はもう居ない。第一に僕は捨て子だ。養護施設から出たばかりだしな。
テレビを見ながら笑っている彼女を見て、俺はこのまま死なせたくないと思った。
「洋一、あのね。お願いがあるの。」
彼女はすこしうつむいていった。
「どうした?」
「私のこと、絶対に忘れないでね?」
・・・・・・・僕は泣きそうになった。そして、毎回の如く涙をこらえ返事をする。
「あぁ、あたりまえだろ?」
「幸せだったよ。洋一。」
彼女はもういってしまうかのような口ぶりで言った。
「何でそんな事言うんだよ。まだいきてるじゃないか!」
「ううん。私の体はもうもたない。自分だからわか.............る....の」
バタッと彼女は床に倒れこんだ。
「真紅?おい、目を開けてくれよ!お願いだからさぁ!」
彼女はまだ息をしていた。
「だい・・・じょ・うぶ・・・・だ・・よ?だから・・・・なか・・ないで?」
弱弱しい声で彼女は言う
「あぁ、笑うよ、だから、生きてくれよ・・・」
そして、彼女は「コレが賭けられる最後の言葉だよ」とまた弱弱しい声で言った。
「本当に好きだったよ。洋一。だ・・・から・・・・どうか・・わすれないで・・ね?お・・・ねが・・・い・・・だ・・よ。」
そうして彼女は、息を引き取った。
「嘘だろ?そんな、真紅。大して良くも無いデートを真紅は喜んでくれたじゃないか。分かってたけど・・もういっちゃうのかよ。うそだろ?まだちゃんと話せても無いのに?そんなの嫌だよ・・・・・」
冷たくなった彼女のほほをまたもう一つ冷たくするように、僕は涙を流した。その涙は、もう彼女に届かないと分かっていても。泣かずにいられなかったのだった。

僕は、この日ずっと泣いていた。彼女の死を受け入れられずに。分かっていたことなのに。
「人は大切なものを失ったときに強くなれる。」
けど・・・・僕は弱いままだ。決して強くなんか無い。僕は雨の中傘もささずに、一人でぶらついていた。びしょびしょになっても歩いた。・・・・・・会いたい。会いたい。そう思う一心に、居ないと分かっていても、彼女を探した。
「ここは.................」
気づいたら、あの告白した場所。裏山へ来ていた。そこからの景色を見て僕は呟いた。
「わすれないで・・・・か。忘れられるわけ無いだろ。大好きだったのに。もっと色々話したかったのに。最後、強がって我慢してた真紅の涙がこぼれるのをみたのに・・・・・・。もう・・真紅のところに行くよ。」
はぁ................きっと怒られるだろうな。「何で?」って「どうしてそんな事をしたの?」って
「キミに会いたいからだよ、真紅。だって僕・・・・真紅居なかったら一人じゃん。友達いねぇしさぁ、でもコレで一緒に居られるな。今からいくよ、真紅。」
真紅だったら許してくれるよな。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ごめんな。やっぱり出来なかったや。真紅。いずれ行くからそれまで待っててな。絶対だぞ?
死ぬって怖いよな、それと闘ってたんだな。真紅は。真紅の分まで生きるよ。
「真紅も忘れんなよ」
高いところで流した涙は、雨に混ざり消えていった。

「有難うもいえなかった。ろくなプレゼントも渡せなかった。もっと色々行きたかった。だからさ、あまり話せなかった思い出。これから作る思い出。全部僕たちのにしような。絶対に話しに行くから、絶対待ってろよ!」



「さよなら」とは言わなかった彼女の気持ちが、今やっと分かった気がしたのだった。


僕の名前は「桐嶋 洋一」 20歳だ。高校を卒業してからは教育大学に入って、今は養護施設の先生を目指している。昔からお世話になっていたのが養護施設で、恩返しをしたかったからだ。.........恩返し、か。恩を返したい人はあと一人いる。凄く凄く大切で、これからも忘れることは無い人。だが、その人はもう居ない。たった一日、たった一日で、受けた恩。それが返したくて仕方なかった。けれどもう返せないんだ。
家に帰って、しばらくすると、郵便が届いた。小さめの箱に入れられているみたいだが・・・・
「誰からだろう。」
僕が送り先を確認したそこには、驚きの名前が書かれてあった。
「立花・・・・真紅!?」
そう、二年前いなくなってしまった、彼女の名前。僕が一番大切にした人の名前だ。僕は急いで中身を確認した。中には一冊の本と、手紙が入っていた。
「手紙?」
僕は本よりも先に、手紙を確認した。
「洋一。もう20歳だね。私のことを覚えていますか?この手紙は、18の私が書いています。日付は、洋一が私を楽しませてくれる。そう言った日、そう、デートの前日です。もうこれを呼んでいるときには、私はいませんが、これは私の言葉ですからね。しっかり心においてください。洋一は今日で大人です。この先辛いこと、逃げ出したくなること。たっくさんあると思います。だけど、いつでも私がそばに居ることを忘れないで下さいね。そこにいなくても、私はずっと君を見守ってますから。なにがあっても逃げないで下さい。約束ですよ?        真紅」
・・・・・・・・・・今日は、今までの中で一番最高の、一番泣いた誕生日だろう。
「大丈夫だよ、真紅忘れるわけ無いだろう?今も、この先も真紅のことを好きでいる。愛しているから。」
僕の思いをうつしだしたのか、涙が止まらない。手紙ももうくしゃくしゃになっている。手紙の最後の方に、
「一緒に入れてある本。あの時買った本の主人公と、ヒロインがね、私たちに似てるんだよ?スッごく格好いい主人公なの。・・・・・・・・明日楽しみだなぁ」
と書かれていた。その本の名前は「彼女のための一日」という名前の本。本当に僕たちと状況が似ている。けど、この主人公みたいに、彼女を楽しませたとは到底いえないデートを思い出し、僕は思わず笑ってしまった。