First love~初恋~ -2ページ目

First love~初恋~

 恋愛小説を書かせていただきます。
 
 少しでもときめいたり胸がキュンとなってくれたらうれしいです

 First love~初恋~ ♥彩♡
 

それから数日後、公開授業の日が来た。





その日は伊吹が告白されたという話題で持ち切りだった。





「ふーん。あいつ結構モテるんだぁ・・・・・。」





胸がチクリと痛んだ気がした。





「なぁに??やきもち??」





この子は私の親友の桜井優那。





「べ、別にそんなんじゃないしっっっっっ!!!」

「まぁいいんじゃない?あいつあんたにベタボレだし。」

「そ、そんなぁ・・・・・。」





******************************





そして無事放課後まで残り一分となった。





放課後が待ち遠しい。  ・・・・・・・・・・。  私は何を考えているんだ!!!





親がいるんだからそんなことするはずがない・・・・・。





「キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン」

「きりつ。きをつけ。礼。」

「ありがとうございました。」





少ししても伊吹から声をかけられない・・・・・。





「どうしたの?」

「えっ、いや・・・・・。」

「あ~~~~~っ!あいつに誘われないから悲しいんでしょ??」

「・・・・・・・・。」

「図星・・・・・??」

「そ、そんなことないよ。そんなのあるわけないじゃん。」





声が震えないように注意しながら、否定の言葉を並べてみる。


後半は自分に言い聞かせるようにして言ってしまった。


そのまま何のおとがめもなく、その日は帰ってしまった。





私はまだ分かっていなかった。





この気持ちがどういう意味なのかを・・・・・・・・・・・・・。



「まぁいいわ。私と伊吹は昔付き合ってたの。その時あまりにもひどかったの。


それがね私と付き合う前、今のあなたがされているように 一緒に帰ろう って言われ続けたわ。


そんなんだから私の心も徐々に彼にひかれていった。でも彼は逆だった。


私が彼にひかれるのと同時に、彼は私から離れて行ったわ。」





伊吹がこんな美人さんと付き合ってたなんて、はじめて耳にした。





「そのあと、ほかの子に私やあなたにやったのとおんなじことを繰り返したわ。


だからあなたにもそんな悲しい思いはしないでほしい・・・・。」

「あっ!!自己紹介するのを忘れてたわ。私の名前は中川碧。」





ん?????伊吹とおんなじ苗字・・・・・。





まぁいっか。






「えっと、私の名前は佐藤小春です。」





私は考えてみた。伊吹は私のことが好き?????





「一緒に帰ろう」とは言われたけど、「好き」とは言われてないし、私もその気はさらさらない。





「大丈夫ですよ碧さん。」

「え?」

「私は伊吹のこと好きになったりしませんから。」

「それはどうかしらね。」

「まぁ、今日はここまでにしましょ。」

「はい。」

「また会えることを楽しみにしてるわ。」

「私もです。」





碧さんとはあの喫茶店で別れた。





私が思うに彼女は俗にいう お嬢様 というやつなのだろう。





語尾に、「わよ」とか「だわ」とかそんな言葉を使っている人はテレビや漫画の中でしか見たことがなかった。



それから少し歩いた時、前におしゃれな喫茶店が見えてきた。



彼女はその中へと、何のためらいもなく入って行った。



きっと高級なお店なんだろうなぁと思っていた時、背後から





「いらっしゃぁい!」





とても陽気な声が聞こえ、振り返るとそこには愛想の好さそうな老夫婦が立っていた。



少し安心したような、ガッカリしたような気分になった。





「さぁ、座って。」





不意に彼女に声を掛けられて、はっとした。





「あ、はい・・・・・。」

「内容から直接言うわ。中川伊吹はやめときなさい。」

「え!?」





意味がわからなかった。第一、なぜ伊吹のことを知っているのか、それに彼女にそんなことを言われる筋合いはない。



我ながらイラッときた。しかしここは冷静に聞いてみた。





「どうしてですか?」





すると





「どうしても、こうしても、伊吹は女たらしだからよ。」

「あっ!!今何で伊吹のこと知ってるのかって思ったでしょ!?」

「・・・・っ」





この人は勘の鋭い人だ。これが第一印象だった。


中間テストも近づいていたある日、伊吹に「一緒に帰ろう」と誘われたが



その誘いを振り切って家路を急いでいると、





「小春ちゃん・・・だよネ??」





不意にそんな声が聞こえたので振り返ってみた。



すると、そこには私とは比べ物にならないきれいな女の人が立っていた。





「・・・・・っ」





女の私でも彼女に見とれてしまうくらいだから、学校ではさぞ人気者だろう。






しかし私は彼女を知らない・・・・・・。





「小春ちゃん!?」

「は、はいっっっ!!」

「ちょっと話があるんだけど今からヒマ??」

「あ、はい・・・・・」





こんな美人さんが私なんかに何の話があるというのだろう。



そんなことを考えていると、彼女が歩きだした。



ついてこいというサインだろう。私も彼女につられて歩きだした。












キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン



6時限目の終わりを告げるチャイムが全校中に鳴り響いた。



「きりつ きをつけ 礼」

「ありがとうございました」



やっと授業も終わり帰ろうとしていた私。今日は部活もないし、帰ったら何をしようかに考えを巡らせていた時



「伊吹がお前と一緒に帰りたいって」



その言葉に私は固まった。男子経験0 彼氏いない歴14年の私にとっては

意味不明だった。



「うそでしょ?」



最初に発した言葉はこれだった。自分でも可愛くないと思う。



「うそじゃねーし。伊吹に聞いてみれば?」



そう言われても男子とはあまりしゃべらないたちなので困った。



すると



「おい、小春!!一緒に帰ろうぜ」



このとき、男子の中で笑いがおこった。私はからかわれているのだと悟った。



こういう場合、かわいく対処する方法は・・・・と考えていると



「おい 小春!!」

「・・・・っ」



男子に名前で呼ばれるのが少ないせいか少し抵抗を感じた。



「あ、あたし友達と一緒に帰るから無理」



そう言い残すと足早に教室を出て行ってしまった。



かわいくない言動と行動だったと後から思った。



なんせ、逃げるのに精いっぱいでそれどころではなかったのだ。



それに友達と帰るというのは嘘じゃない。



そんな感じでその日はやり過ごしたが、その後も毎日のように「一緒に帰ろう」攻撃が続いたのであった。