ep1「箱の中に収まって」

我輩は猫である。
という一言から始まる有名な小説があるそうだが、私とそれは全く関係がない。
そもそも、私が猫だということは一目見ればわかることであり、
わざわざ書き記すことでもあるまい。
よって、私は猫である私自身の半生をご覧に入れたいと思う。

始まりは、雨と厚紙の匂いだった。
目を覚ますと私の周りには、確かにあった筈の母の温もりが失せ、
柔らかい毛皮の代わりにごわ着いたタオルが私を寝かしつけていたようだった。
しとしとと降る雨の音に聴き入り、梅雨の入口を目の前に見せられているような気分だった。
また、私がいた場所は、暖炉のある家ではなく、厚紙で作られた箱だったのだ。
私はすぐにこの箱が嫌いだったのを思い出した。
確か「段ボール」とかいう名前の癖に球体でないため遊べなかったし、
側面に書かれた「みかん」の文字が、猫であるはずの私を柑橘類にしたてあげているようで嫌だった。
この時何も考えていなかった私に、今の私はこう言ってやりたい。

お前は、捨てられたのだと。






はい、自作小説の初回です。
実はこれ、僕が小学校の時に書いたものを大幅にリメイクしたものなんです。
よって拙い部分もあるかもしれませんが、感想などいただければ幸いです。
はじめまして。
フジヒサと申します。
今回初めてブログをやってみるので、
わからないことも多いですが、
頑張って行きたいと思います。
日々の日記、オススメの小説、自作の小説などをのせていきたいと思います。
よろしくお願いします。