七日前 十月十二日 金曜日 AM八時二十二分
公立F中学校の朝は読書、合唱の時間が設けられている。その後すぐに授業なので連絡事項は、帰りの会に話すことが多い。しかし重要な連絡事項は朝の会に話す。それが今日だった。
「おはようございます。今から少し読書の時間を削って話したいことがある。」
この段階でクラスのみんなは、昨日の盗難事件の続きであることに薄々気づいていた。
「昨日あれから盗難に関して知っていることを証言してくれた人がいた。もちろん誰が何を言ったのかは言えないが今後・・・」
「あ、あの先生!」と先生の話を割って入ってきたのはクラスメイトの一人熊谷だった。
三年C組 体育委員 熊谷大
体格が大きく、体育委員に所属。勉強に関してはいまいちだが、運動神経は抜群。一週間前にあった球技大会もこいつのおかげでC組が優勝できたといっても過言ではない。
「事件のあった昨日の体育で最後まで教室にいて鍵をかけたのは俺です。」と言いながら熊谷は、立ち上がった。
「もちろん、体育委員の仕事で鍵をかけたのですが・・・。」
「そんなこと分っている。熊谷。」
「それで思い出したのですけど、体育の授業の途中、抜けて教室戻ったやつがいて、なぁ本橋。」
「え?」
この発言から平和な日常生活の終わりの始まりだった。
「本橋って教室に戻ったか?」「ほら、あのとき。」「あれか。」
そんな飛び交う声がクラスメイトから聞こえてきた。今になって思い出した。たしかに俺は、教室に戻ったことを。
しかしあれは昨日の体育でサッカーをしているときボールの空気が無くなり空気入れを取りに行くため、鍵を渡され教室に行っただけのこと。
でもこのことは男子だけしか知らない。だからそのことを言わなければ。はやく理由を伝えなければ。と焦る気持ちで話そうとしたとき、
机を手のひらで思いっきり叩いたと同時に「熊谷。それはここでいうことじゃないだろ。後で職員室に来い。話はその時に聞く。」と大声で怒鳴り先生は、教室から出ていった。
クラス全員、静まり返った。俺はこの状況で理由を話すことが出来なかった。
そんな中「みんな聞いてくれ!本橋は、俺が取りに行くはずだった空気入れを代わりに取りに行くために教室に戻っただけだ。そうだろ本橋?」山本は、俺をかばってくれた。
俺の席は、窓側の一番後ろ。何をしても先生にバレにくい席。そしてなにより気に入っているのは、クラス全員の様子を見渡せるところ。
その窓側の一番後ろから「そう、そうだよ。」と言いつつ周りを見渡したが、みんな唖然としていただけだった。
そして一限目のチャイムが鳴った。すぐに数学の先生が教室に入ってきて何事もなかったかのように授業が始まった。それから昼休み、放課後、いつもと変わりなかったので少し安心した。いや安心しろ、何もしていないのだからと心に言い聞かせていた。
だがそれは勘違いにすぎなかった。
そして夜、ご飯を食べ、風呂に入り終わり、今日こそ、サボリ気味だった勉強をしようと思っていた。しかしやる気が出ず、フカフカのベッドに飛び込んだ。
勉強面に関しては、それなりにやっていつも平均点前後の点数をとれていたので満足し、それ以上それ以下の勉強はやらなかった。
電気を消そうと思ったとき机の上においてある白いスマホが鳴った。
ベッドに寝たまま机に手を伸ばし、誰からの電話なのかを見るため手に取った。
宮野からだ。すぐに画面をスライドし、寝た状態で電話に出た。
「もしもし、修二。今日大丈夫だった?」
「ありがとう。大丈夫だと思うけど、もしまだ疑われているんだったら、誤解だと分かってもらえるよう努力するよ。」と笑顔で答えた。
「私にも手伝えることがあったら言ってね!」
「おう! この電話で元気がでたよ。ありがと。」
「ならよかった。じゃあまた明日ね!」「また明日。お休み。」
寝ながら話をしていたつもりが、いつのまにか黒色の回転椅子に座り話しをしていた。そして眠気も消えていた。
「よし勉強するか!」
普段勉強するときでも夜はあまり勉強をしないが、電話で会話したせいかやる気が出て時間を忘れるぐらい勉強し、いつのまにか机でうつぶせになって寝ていた。
長い文でしたが、読んでくれた方、ありがとうございました。
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